2019年07月03日

明恵上人集 (改版2009年)岩波文庫

「明恵上人歌集」より


「夢の世のうつゝなりせばいかゞせむ さめゆくほどを待てばこそあれ」


「山のはにわれも入りなむ月も入れ よなよなごとにまた友とせむ」


「あかあかやあかあかあかやあかあかや あかあかあかやあかあかや月」



「明恵上人夢記」より


「夢に云はく、石崎入道之家の前に海有り。海中に大きなる魚有り。人云はく、「是鰐也。」一つの角生ひたり。其の長一丈許り也。頭を貫きて之を繋ぐ。心に思はく、此の魚、死ぬべきこと近しと云々。」


「正義房之魂とて、たこの如き躰の物の生類なるあり。家の中に動き行く。義林房、之を取りて、刀を以てこそげ、なやして池中に投ぐ。其の形、亀に似て、向ひの岸へ行くべしと思ふに、底に沈み了んぬ。」


「夢に、自らの手より二分許り之虫、〔ふと虫の如し〕懇ろに之を出せりと云々。即ち懺悔の間也。」


「初夜の行法の時、水加持作法の間に眠り入る。夢に、我が身一尺許りの小さき竜と成ると云々。」


「大磐石有り。其の石に小さき穴有り。成弁、其の中に入りて思はく、出づるに猶称はず。義林房・縁智房、先づ此の石の上面かを過ぎたり。成弁、中に在りて義林房に告げて言はく、「いかゞして出づべき。」即ち、誦文を教へて成弁に誦せしむ。其の誦文、連歌の如し。いさなきのと云々。成、之を受け之を誦するに、大きなる□氷の日に尽くるが如く、誦するに随ひ次第に消ゆ。消え畢りて頭面漸く出づ。出で已りて又消えて腰に到る。今少し残れるを、とかくなして、抜きて之を出づ。磐石の残れるはぬけがらの様にて軽薄にして捨て畢んぬ。今は皆消えなむと思ふ。


明恵上人集 (改版2009年)岩波文庫 

「今は勝れて能き人もなく、勝れて悪き人もなし。何れも同じ様にて、善悪も見えわかず。是末代の故也。」

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2019年07月01日

「死んだ男」 鮎川信夫

たとえば霧や 

あらゆる階段の跫音のなかから、 

遺言執行人が、ぼんやりと姿を現す。 

−−これがすべての始まりである。

遠い昨日…… 

ぼくらは暗い酒場の椅子のうえで、 

ゆがんだ顔をもてあましたり 

手紙の封筒を裏返すようなことがあった。 

「実際は、影も、形もない?」 

−−死にそこなってみれば、たしかにそのとおりであった

Mよ、昨日のひややかな青空が 

剃刀の刃にいつまでも残っているね。 

だがぼくは、何時何処で 

きみを見失ったのか忘れてしまったよ。 

短かかった黄金時代−− 

活字の置き換えや神様ごっこ−− 

「それが、ぼくたちの古い処方箋だった」と呟いて……

いつも季節は秋だった、昨日も今日も、 

「淋しさの中に落葉がふる」 

その声は人影へ、そして街へ、 

黒い鉛の道を歩みつづけてきたのだった。

埋葬の日は、言葉もなく 

立会う者もなかった、 

憤激も、悲哀も、不平の柔弱な椅子もなかった。 

空にむかって眼をあげ 

きみはただ重たい靴のなかに足をつっこんで静かに横わったのだ。 

「さよなら。太陽も海も信ずるに足りない」 

Mよ、地下に眠るMよ、 

きみの胸の傷口は今でもまだ痛むか。

 

(『鮎川信夫全詩集』1965・荒地出版社刊より)


昨日掲載した幽霊船長が若い頃に、同人誌に書いた詩である。Mという人物が昭和に読んだ時と、令和の今においては意味すること存在感が変わって受け留められるポエム作品。

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2019年06月30日

『大都会隠居術』荒俣宏編 隠居名人たちの隠居小説、エッセイを多数収録。

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第1ステップ 都会隠居術事始め世の煩わしさから逃れる
大岡昇平、永井荷風、谷崎潤一郎、水木しげるほか

第2ステップ 都会に潜む悦楽女子供に分らぬ世界へ 江戸川乱歩、内田百間、幸田露伴、岡本かの子ほか

第3ステップ それぞれの隠居たち心朽ちた聖者の伝記を読む宇野浩二、古今亭今輔、千早柊一郎ほか

第4ステップ 骨董、味道の悦楽 平成あこがれのご隠居たち 宇野千代、青山二郎、北大路魯山人ほか

第5ステップ そして、死との対面 都会での死に方を知る 稲垣足穂、ピーター・S・ビーグル、ボリス・ヴィアン

永井荷風「短夜」(みじかよ)「短夜」は現世の波にもまれるばかりで、真の男女の情交を味わえずにいる男たちへの、最大の慰めといえる。編者はこれを読み返すたびに全身がわななく。涙があふれてくる。都会隠居にぜひとも必要なのは、肉体の交わりを忘れさせるほど心打つ物語を、果てしなく語ってくれる伴侶なのである。

「繊細な然し鋭いお前の爪先で弛んでしまった私の心の絲を弾け。」

「幽霊船長」こと鮎川信夫は私生活について完全な秘密主義を貫いて、連絡先は母の家、晩年は甥の家と徹底していた。1986年10月17日に世田谷区成城の甥・上村佑の家に郵便物を受け取りに行って、甥家族とスーパーマリオブラザーズしている時に、脳出血で倒れて搬送先の病院で死去した。焼かれて骨になってから、幽霊船長の晩年日録には次旨の言葉を知らされた。

「人生(ライフ)は単純なものである。人がおそれるのは、畢竟一切が徒労に帰するのではないかということであるが、人生においては、あらゆる出来事が偶発的(インシデンタル)な贈与(ギフト)にすぎない。そのおかえしに書くのである。正確に、心をこめて、書く。――それがための言葉の修練である」

人生における一切は「偶発的な贈与にすぎない」、更に「そのおかえしに書くのである」という驚くべき信念を秘めていた鮎川信夫。詩人の残した言葉に絶句するのだった。


 荒俣 宏編『大都会隠居術 』 序文

老人になるとは、要するに心朽ちることであります。


世のありさまの裏おもてをすべて知りつくし、もはやいかなる対象に対しても青春の活きいきとした夢を託さぬことであります。現世のあらゆる部分で実行されている厳密なルールをもった人生ゲームから、あっさり降りてしまうことであります。


そして、そのあとにようやく心静かな自由が訪れる。生きながら死んでいることの喜ばしさよ。まるで、浮世のわずらいから解き放たれた幸福な魂のように。

いやそれどころか、わが日本では、自らすすんで心朽ちた老いの境地に至るための習俗があったのであります。何を隠そう、これすなわち、隠居であります。


隠居なることばの意味は、伝統的には、家督を子孫に譲って自ら第一線をしりぞくことと解されるようであります。世に隠れて暮らすのですから、社会的には、文字どおり「生きている死者」となるわけです。しかし封建社会にあっては、むしろ、老境に達したから身を引くというのではなく、次世代の成長をもって自らは現世を脱し、「次の人生」にはいることを意味していたのです。つまり、「定年」による隠居ではなく、あとの憂いがなくなったところで次の人生にチャレンジしていく、というような積極的姿勢に立つ引退であります。その意味では、かつての隠居は、子育てが終わり、さてこれからが人生本番と、キラキラ輝いている中年婦人たちの姿に近かったわけであります。換言すれば、社会生活を営むよりも上に、もう一つ別の「生きざま」があったことになります。中国風にいえば、仙人になる道、企業でいえば、相談役か顧問、アカデミズムでいえば名誉教授。名称は何でもよろしいが、隠居は文字どおり解放を意味していたのです。(荒俣 宏)


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光文社の叢書刊行はアンソロジーシリーズ“文学の森”に企画も続いている印象で全10冊の構成になっていた。

(1)筒井康隆編『夢探偵』

(2)種村季弘編『放浪旅読本』

(3)山田詠美編『せつない話』

(4)青木雨彦編『会社万葉集』

(5)荒俣宏編『大都会隠居術』

(6)立松和平編『わたしの海彦山彦』

(7)池田満寿夫編『私の大学』

(8)加藤幸子編『子どもの発見』

(9)佐佐木幸綱編『肉親に書かずにいられなかった手紙』

(10)田辺聖子編『わがひそかなる楽しみ』


山田詠美さんの(3)は文庫化され第二集も編まれた。読書好きであれば興味を惹かれるのは、(1)(2)(5)だろうか。

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種村季弘 編『放浪旅読本』(光文社)

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1989「〔光る話〕の花束」というシリーズの第2巻は絶品である。アンソロジーは書物をたくさん読みこなさないと不可能な編集作業。対談でも次々と繰り出される文学作品の数々に、選者としての眼差しが感じられる。ともすれば「放浪旅」という凡庸なテーマに、次のように六段階での旅への構成と好奇心を齎らす内容は流石ですね。



【収録内容】

T    旅への誘い

旅上(萩原朔太郎)/放浪への誘い(森敦)/港の感傷(結城昌治)/仙台屋台誌(村上善男)/リュックの中味(高田宏)/旅枕(向田邦子)/勉強記(坂口安吾)/

U   芸能道中

浅草花屋敷(武田百合子)/夕焼けと山師(辻まこと)/売り絵師の話(池内紀)/たのしいドサまわり(駒田信二)/学校といふ浮浪者(長谷川伸)/ニューヨークは今日も大変だ!-抜粋(篠原有司男)/

V   逃避行

陽は西へ-抜粋(色川武大)/摩天楼(島尾敏雄)/百人斬りの守神健次(森川哲郎)/日光円蔵の墓(子母沢寛)/追剥団(野尻抱影)/

W   無銭道中

世界放浪記-マレーの巻(金子光晴)/宗不旱の白骨(高木護)/いろは長屋(添田唖蝉坊)/突貫紀行(幸田露伴)/なめとこ(高橋新吉)/

X   冒険

海ゆかば(宮本常一)/チベット滞在記-抜粋(多田等観)/森(土方久功)/木曽より五箇山へ(柳田国男)/

Y   コスモポリタン

大連ふたたび(清岡卓行)/異沢とダダ大泉黒石・辻潤(大谷利彦)/ブラジル生活の早取写真(堀口九万一)/遅れてはきたけれど(細川周平)/履歴書-抜粋(南方熊楠)


アンソロジーとして抜群な内容で、これは文庫本にならないのだろうか。種村季弘さんは『東京百話』(ちくま文庫)などに代表される稀代アンソロジストで、多岐に渡るジャンルの広さが特徴である。


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ヘボな詩集や音楽を聴いているより、豊かな魂を感じる憩い。
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筒井康隆【夢アンソロジー】2冊

筒井康隆編『夢探偵』光文社


夢を見ることは人間であることの条件。現代日本の傑作小説と貴重な日記17編とで夢のふしぎな力を探る。文学の前衛に立つ編者によるアンソロジー。「夢」を復権する傑作小説、日記17編。


【収録作品】

 お爺さんの玩具  内田百

 音楽論  清岡卓行 

 夢、覚え書  武田百合子 

 願望  星新一 

 阿波環状線の夢  安部公房 

 夢  澁澤龍彦 

 夢飛行  小泉八雲 

 法子と雲界  筒井康隆 

 鞄の中身  吉行淳之介 

 孤島夢  島尾敏雄 

 夢の殺人  石川淳 

 夢三態  八木義徳 

 夢の底から来た男  半村良 

 雀  色川武大 

 私の夢日記  横尾忠則 

 夢日記  正木ひろし 

 夢の検閲官  筒井康隆


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1989年に光文社から刊行された夢テーマのアンソロジーで、「〔光る話〕の花束」シリーズの第1巻。

編者の筒井康隆さんが「おれの大好きな作品である」という「夢の底から来た男」は、以前アンソロジーに入れることが出来なかったらしく全編掲載されている。創作だったり夢への考察であつたり、夢日記であったりするが、夢は抑圧された欲求や過去への憧憬など、精神の丸裸だったりするので、バラエティ過ぎてばらばらな書物になってしまう可能性がある。しかし「夢」への解剖と構成は「夢の検閲官」で試みられるように、手ばさき見事な俎板に乗せられて読者の席に運んで来られる。



光文社から1980年11月刊行されたこの前編となる、傑作というべきアンソロジーもあった。


『いかにして眠るか』筒井康隆・編


本書を、眠れぬ人、眠りたい人、睡眠に興味を持つ人、夢に興味を持つ人、寝ること(横たわる意味の)が好きな人に捧げる。編者自身も、なろうことなら一日中寝ていたい怠け者である。サラリーマン時代には、朝、起きることができず困った経験がある。さらに大学時代の卒業論文のテーマは夢であった。本書を編集する資格のある人間ではないかと思うがいかがであろうか。

さらにまた、眠れなくて困った経験も数多く持っている。ところで最近、その不眠症に対するこのような発言にしばしばお目にかかる。

「眠れなくて困る、などという人がいるが、人間は眠らずにいられるものではない。眠れなければ起きていればよろしい。そのうちに必ず眠くなる。無理に眠ろうとしなくてもよい」不眠に対する、なんたる無理解であろうか。この人はどのような生活をしているのであろう。もちろんぼくも含め、われわれが眠れなくて困る時は、翌朝に重大事をひかえているときである。だからこそ心配で眠れないのであって、無理に眠らなくてもいいのんびりした状態の時には、そもそも眠くなるなどという事態に遭遇したりはしない。
筒井康隆・編「いかにして眠るか」序文)


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【収録内容】

ベンチリー(訳:浅倉久志)「HOW TO SLEEP」

北畠美代「堀たゑ子様へ」

安部公房「睡眠誘導術」

星 新一「不眠症」

三木 卓「ねむる」

ヒルティ(訳:小池辰雄)「眠られぬ夜のために(序言)」

山口 瞳「睡眠」

筒井康隆「寝る方法」

モンテーニュ(訳:関根秀雄)「睡眠について(『随想録』より)」

島崎敏樹「意識のたそがれ」

井上光晴「木曽宿にて」

金子光晴「冬眠」

チェスタトン(訳:別宮貞徳)「ごろ寝の楽しみ」

サヴァラン(訳:関根秀雄・戸部松実)「眠りについて 食飼の休息睡眠および夢に及ぼす影響」

チェーホフ(訳:神西 清)「ねむい」

堀 辰雄「眠れる人」

生島治郎「ゆたかな眠りを」

デメント(訳:大熊輝雄)「夜明かしする人、眠る人〈第2章〉」


◆1988年/光文社文庫

図版収録された「HOW TO SLEEP」はDVD『マルクス兄弟・オペラは踊る』映像特典になって「眠る方法」という邦題で収録されて、映像を観ることができる。

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2019年06月25日

『折りたたみ北京』 現代中国SFアンソロジー (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)

中国に史上初のヒューゴー賞をもたらした「円」など7作家の13作品を、『紙の動物園』著者のケン・リュウが選び収録。いま一番SFが熱い国・中国の粋を集めたアンソロジー。
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 ”交替”が始まった。これが二十四時間ごとに繰り返されているプロセスだ。世界が回転し始める。鋼鉄とコンクリートが折りたたまれ、きしみ、ぶつかる音が、工場の組立ラインがきしみを上げて止まるときのように、あたりに響き渡る。街の高層ビルが集まって巨大なブロックとなり、ネオンサインや入口の日よけやバルコニーなど外に突き出した設備は建物のなかに引っこむか、平らになって壁に皮膚のように薄く張りつく。あらゆる空間を利用して、建物は最小限の空間に収まっていく。「折りたたみ北京」より。

【収録作品】

鼠年(陳楸帆)/麗江の魚(陳楸帆)/沙嘴の花(陳楸帆)/百鬼夜行街(夏笳)/童童の夏(夏笳)/龍馬夜行(夏笳)/沈黙都市(馬伯庸)/見えない惑星(郝景芳)/折りたたみ北京(郝景芳)/コールガール(糖匪)/蛍火の墓(程 婧波)/円(劉慈欣)/神様の介護係(劉慈欣)/エッセイ

ケン・リュウ   KEN LIU
1976年、中国・甘粛省生まれ。8歳のときに米国に移り、以降カリフォルニア州、コネチカット州で育つ。ハーヴァード大学にて英文学、コンピューターサイエンスを学ぶ。プログラマーを経て、ロースクールにて法律を勉強したのち、弁護士として働く。2002年、作家デビュー。2011年に発表した短編『紙の動物園』で、ヒューゴー賞・ネビュラ賞・世界幻想文学大賞の短編部門を制する史上初の3冠に輝く。2015年には初の長編となる『蒲公英王朝記』を刊行。中国SFの翻訳も積極的に行っている。
https://wired.jp/2017/05/20/ken-liu/
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2019年06月24日

『壊れやすいもの』ニール・ゲイマン/ 金原 瑞人, 野沢 佳織 訳(角川文庫)

ニール・ゲイマンの短篇集。既訳短篇ほとんどと詩篇も収録。電子書籍も発売。
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 収録作品
・「翠色の習作」
・「妖精のリール」
・「十月の集まり」
・「秘密の部屋」
・「顔なき奴隷の禁断の花嫁が、恐ろしい欲望の夜の秘密の館で」
・「メモリー・レーンの燧石」
・「閉店時間」
・「森人ウードゥになる」
・「苦いコーヒー」
・「他人」
・「形見と宝」
・「よい子にはごほうびを」
・「ミス・フィンチ失踪事件の真相」
・「ストレンジ・リトル・ガールズ」
・「ハーレクインのヴァレンタイン」
・「髪と鍵」
・「スーザンの問題」
・「指示」
・「どんな気持ちかわかる?」
・「おれの人生」
・「ヴァンパイア・タロットの十五枚の絵入りカード」
・「食う者、食わせる者」
・「疾病考案者性喉頭炎」
・「最後に」
・「ゴリアテ」
・「オクラホマ州タルサとケンタッキー州ルイヴィルのあいだのどこかで、グレイハウンド・バスに置き忘れられた靴箱の中の、日記の数ページ」
・「パーティで女の子に話しかけるには」
・「円盤がきた日」
・「サンバード」
・「アラディン創造」
・「谷間の王者――『アメリカン・ゴッズ』後日譚」

「考えうる最も正確な地図とは土地そのもので、完璧に正確だが、地図としてはまったく用をなさない。物語とは、原寸大の地図のことだ」
「髪と鍵」「おれの人生」「指示」などの詩に作風エッセンスが凝縮されている。
ヒューゴー賞受賞作「翠色の習作」「顔なき奴隷の禁断の花嫁が、恐ろしい欲望の夜の秘密の館で」「メモリー・レーンの燧石」「閉店時間」「形見と宝」「ミス・フィンチ失踪事件の真相」「疾病考案者性喉頭炎」「ゴリアテ」など代表短編はあらゆるジャンルを超えて物語る。

ニール ゲイマンNeil Gaiman

ファンタジー作家

英国 1960年ポートチェスター生まれ

ジャーナリストとして修業を積んだ後、児童書を皮切りに、アメリカン・コミック「サンドマン」の原作を手がけ一躍注目される。〈サンドマン〉シリーズとして多くの国で翻訳されベストセラーとなる。小説では「グッド・オーメンズ」など一連の独創的な作品でストーリーテラーの第一人者となった。世界幻想文学大賞、ヒューゴー賞、ネビュラ賞、ブラム・ストーカー賞など、SF・幻想・怪奇・ファンタジー系の文学賞を総なめにする。邦訳された著書に、コミック「サンドマン」(1〜5巻)、「デス ハイ・コスト・オブ・リビング」「愛の狩人」、長中編小説に「ネバーウェア」「コララインとボタンの魔女」「アナンシの血脈〈上・下〉」「グッド・オーメンズ〈上・下〉」「アメリカン・ゴッズ」などがある。1999年「もののけ姫」海外公開時の英語版脚本を担当し話題となる。2007年、1999年に発表したコミック「スターダスト」が英国のマシュー・ボーン監督によって映像化され同年来日。

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2019年06月23日

木山捷平ユーモア詩篇

『白いシヤツ』木山捷平
旅でよごれた私のシヤツを
朝早く あのひとは洗つてくれて
あのひとの家の軒につるした。
山から朝日がさして来て
「何かうれしい。」
あのひとは一言さう言つた。
木山捷平
2904年、岡山県笠岡市に生まれ。地主の実家農業を継がずに文学を志して二十代で上京。平明な言葉遣い、独特のユーモアとエロスで郷里の風物を描いた詩集『野』(1929)、『メクラとチンバ』(1931)で詩人デビュー。やがて散文へと進み、文学の夢に破れて家業を継がざるをえなかった父親との軋轢、太平洋戦争時に満州で嘗めた辛酸、戦後の貧窮生活を糧に、急がず騒がず、時流に乗らないのではなく、乗りたくても乗れない生理を苦々しく楽しく、持てあましながら忘れがたい佳品を残す。

「濡縁におき忘れた下駄に雨がふつてゐるやうな/どうせ濡れだしたものならもつと濡らしておいてやれと言ふやうな/そんな具合にして僕の五十年も暮れようとしてゐた。」
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2019年06月21日

『ジェイムズ・ジョイスの謎を解く』 柳瀬尚紀 (岩波新書)

20世紀最大の文学者の一人であるジョイスの代表作『ユリシーズ』。このとてつもなく巨大で重層的な作品に作者は無数の謎をしかけた。なかでもダブリンの安酒場で滔々と語る《俺》とは誰か,この作品中最大の謎に緻密な論証により世界で初めて決定的な解答を与え,さらに次々に現れるあらたな謎を快刀乱麻に読み解いて,文学的スリルと興奮の世界へ誘う。

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『ユリシーズ』の第12章はホメロスの『オデュッセイア』の出てくる一つ目の巨人キュクロプスが章題。名前のわからない「俺」が主筋を語り、正体不明の語り手がパロディを挿入する。従来は(未だに)「俺」は「取り立て屋」なる人物だといわれてた。しかし「俺」一人称キャラクターは「犬」だった。世紀の「大発犬」を検証していく。全18挿話のうちの1章について新書1冊で面白く解く。柳瀬さんの翻訳は訳本と原典を突き合わせて、解読する最大の興趣がある。
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1995年11月3日に読売新聞紙上ではじめて筆者が「<俺>=犬」説を披露して、国内外からさまざまな反応があって、外国からのもっとも早い反応はジョイスの縁者かららしい。


「ジェイムズ・ジョイスは、自分が実に貧しい創造的想像力しか持ち合わせていないと語ったことがあります。金の扱いがまるでできないことを除けば、私の受け継いでいるのもせいぜいそれしかありませんので」と、同氏はアイリッシュユーモア(?)を付け加え、「私の想像力では<俺>を犬として第12挿話を読むことはできそうにありません」と書いてきた。


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語り手が故ミセス・リオーダン夫人の元飼い犬のテリア犬だとすると、謎だった箇所が明らかに筋が通る。

語り手の使う間投詞「Gob!」が「God!」の意味で使われて、「b」を裏返して、反対から読むと「dog」になるアナグラムはジョイスらしい。「俺」がぶらりとパブから出て、下痢便を出すのも人間としての「俺」が小用を足すという解釈よりも尤もらしい。わんわんと臭う解釈に脱帽です。



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2019年06月19日

「日本語ほど面白いもの はない邑智小学校六年一組特別授業」 柳瀬尚紀著/新潮社刊

天才の柳瀬先生、すばらしい時間をありがとう―『チョコレート工場の秘密』の訳者が島根県の山奥・美郷町で学ぶ十六名の前で教壇に立った。さて、事の顛末は...。子供たちの可能性は無限大!感動の教育ドキュメント。

生徒は六年生全員の十六人。2009年10月28日に行われた特別授業。

1 子どもの本屋さんに誘われて・・・著者の経歴、特別授業のきっかけについて 

2 みんな日本語という世界の住人−第一回特別授業

3 六年一組十六名からの手紙
4 邑智小学校は開校七年目・・・過疎という現実と、教育環境の素晴らしさについて
5 最大の奇蹟は言語である−第二回特別授業
6 子どもたちの創作
7 空想授業:邑智中学校一年生に向けて

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▽ 心に残った文章達(本書からの引用文)
一連のロアルド・ダール翻訳を世に出してみて、「子供」というものは決して侮れないと知ったこともある。読者ハガキに書かれている感想の言葉がすばらしかった。工夫を凝らした訳語に対して、常識にとらわれない新鮮な反応が返ってくる。少年・少女というものがどれだけの可能性を秘めているか、ぼくはいささか無知でありすぎた。

「言葉のはじまり」を考えるとき、ぼくの頭にはいつも、人間同士が共通に持っている気持、通じ合っている気持というものが浮かびます。なにかとても近い間柄同士で交わされている気持の通じ合い方があって、そんな中から言葉が生まれてきたのではないかとも思うのです。言葉はもともと暖かい関係の中から生まれてきたのではないか、そんなふうにも考えたくなるときがあるのです。

言葉があるおかげでおたがいに通じ合える、言葉は他人に何かを伝える。そしてもう一つ、当たり前すぎていちいち意識しないでしょうが、言葉は他人だけでなく、自分に何かを伝えるんですね。
つまり、ほとんど一日中、話相手がいなくても言葉といっしょなんですね。いつも言葉がいっしょにいてくれるから安心できる。
言葉は生き物です。ですから、大切に、ていねいに、使ってあげなくてはいけません。
「本」という文字は、「木」という文字に横棒が一本ついています。
この横棒は木の根もとを表します。本は、言葉を手に入れて文字を手に入れた人間の根もとになってくれるんですね。
木の葉は次から次へと生い茂ります。言葉というものも、みんながどんどんしゃべったり書いたりすることにより、言葉が言葉をどんどん生んで、葉っぱのように増えてゆく。「言葉」と書くようになった理由は、だいたいこういうことではないかと、古い国語の学者たちは言っています。
芥川の文章の中に、「最大の奇蹟は言語である」という言葉があります。人間にとって、ほんとうに珍しく貴重な出来事は「言語」、言葉を持ったことだと言っているんです。
「すごくいい」と言ったのは、言葉が、ええと、どう言ったらよいかな…言葉が、そう、きみらの瞳みたいに生き生きしてる。言葉が、きみらの瞳のように、ひたむきなんです。うそがない。ごまかしがない。
去年、坂井先生とゆっくりお話したとき、小六のきみたちについてこうおっしゃっていました。
「みんな、力いっぱい遊んでいます」
いい言葉だなあ、と、心打たれました。「力いっぱい」という言葉には、充実感があります。
何が「本」で、何が「末」か。
これはなかなか厄介な問題です。中学生になって、これからぐんぐん大人になっていくきみたちは、将来、この難問に出会うことがしょっちゅうあるはずです。それは自分で決めなくてはいけない。自分で決めるしかない。きみたちなら大丈夫だと信じていますから、ああしろ、こうしろと、ぼくは言いません。
きみたちなら大丈夫だと信じていますと言ったのは、きみたちの六年生のときの「学級目標」を知っているからです。目にしたとき、ぼくはほんとに感心しました。
「利他の行動」
「物事を追究」
「力を出し尽くす」
この三つですね。
この言葉さえ忘れなければ、これから先の人生で、何が「本」で何が「末」かという問題を正しく解いていけるはずです。
強烈に印象に残ったボードレールの言葉があります。天才とは、随意に再発見される幼少期である。天才というのは、好きなときに好きなように思い起こす幼少期なのだ、と、天才詩人は言っているのです。
(本書から引用)
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ランボーの10月詩篇

Jean Nicolas Arthur Rimbaud

(中原中也/ 翻訳)



「災難」


霰弾の、赤い泡沫しぶきが、ひもすがら

青空の果で、鳴つてゐる時、

その霰弾を嘲笑あざわらつてゐる、王の近くで

軍隊は、みるみるうちに崩れてゆく。


狂気の沙汰が搗き砕き

幾数万の人間の血ぬれの堆積やまを作る時、

――哀れな死者等は、自然よおまへの夏の中、草の中、歓喜の中、

甞てこれらの人間を、作つたのもおゝ自然おまえ!――


祭壇の、緞子の上で香を焚き

聖餐杯(せいさんはい)を前にして、笑つてゐるのは神様だ、

ホザナの声に揺られて睡り、


悩みにすくんだ母親達が、古い帽子のその下で

泣きながら二スウ銅貨をハンケチの

中から取り出し奉献する時、開眼するのは神様だ

〔一八七〇、十月〕Jean Nicolas Arthur Rimbaud

(中原中也/ 翻訳)



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「シーザーの激怒」


蒼ざめた男、花咲く芝生の中を、

黒衣を着け、葉巻咥へて歩いてゐる。

蒼ざめた男はチュイルリの花を思ふ、

曇つたその眼めは、時々烈しい眼付をする。


皇帝は、過ぐる二十年間の大饗宴に飽き/\してゐる。

かねがね彼は思つてゐる、俺は自由を吹消さう、

うまい具合に、臘燭のやうにと。

自由が再び生れると、彼は全くがつかりしてゐた。


彼は憑かれた。その結ばれた唇の上で、

誰の名前が顫へてゐたか? 何を口惜くやしく思つてゐたか?

誰にもそれは分らない、とまれ皇帝の眼めは曇つてゐた。


恐らくは眼鏡を掛けたあの教父、教父の事を恨んでゐた、

――サン・クルウの夕べ夕べに、かぼそい雲が流れるやう

その葉巻から立ち昇る、煙にジツと眼めを据ゑながら。

〔1870年10月〕Jean Nicolas Arthur Rimbaud

(中原中也/ 翻訳)


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「キャバレールにて」


午後の五時。

五六日前から、私の靴は、路の小石にいたんでゐた、

私は、シャルルロワに、帰つて来てゐた。

キャバレールでバタサンドヰッチと、ハムサンドヰッチを私は取つた、

ハムの方は少し冷え過ぎてゐた。


好い気持で、緑のテーブルの、下に脚を投出して、

私は壁掛布かべかけの、いとも粗朴な絵を眺めてた。

そこへ眼の活々とした、乳房の大きく発達した娘こが、

――とはいへ決していやらしくない!――


にこにこしながら、バタサンドヰッチと、

ハムサンドヰッチを色彩いろどりのある

皿に盛つて運んで来たのだ。


桃と白とのこもごものハムは韮の球根たまの香放ち、

彼女はコップに、午後の陽をうけて

金と輝くビールを注いだ。

〔一八七〇、十月〕 Jean Nicolas Arthur Rimbaud

(中原中也/ 翻訳)

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2019年06月18日

アルチュール・ランボー詩篇より 「いたづら好きな女」「失われた毒薬」

「いたづら好きな女」


ワニスと果物の匂ひのする、

褐色の食堂の中に、思ふ存分

名も知れぬベルギー料理を皿に盛り、

私はひどく大きい椅子に埋まつてゐた。


食べながら、大時計オルロージュの音を聞き、好い気持でジツとしてゐた。

サツとばかりに料理場の扉とが開くと、

女中が出て来た、何事だらう、

とにかく下手な襟掛をして、ベルギー・レースを冠つてゐる。


そして小さな顫へる指で、

桃の肌へのその頬を絶えずさはつて、

子供のやうなその口はとンがらせてゐる、


彼女は幾つも私の近くに、皿を並べて私に媚びる。

それからこんなに、――接唇くちづけしてくれと云はんばかりに――

小さな声で、『ねえ、あたし頬ほつぺたに風邪引いちやつてよ……』


シヤルルロワにて、1890

(中原中也/ 翻訳)



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「失はれた毒薬」(未発表詩)


ブロンドとまた褐かちの夜々、

思ひ出は、ああ、なくなつた、

夏の綾織レースはなくなつた、

手なれたネクタイ、なくなつた。


露台ルコンの上に茶は月が、

漏刻が来て、のんでゆく。

いかな思ひ出のいかな脣趾くちあと

ああ、それさへものこつてゐない。


青の綿布めんぷの帷幕とばりの隅に

光れる、金の頭の針が

睡つた大きい昆虫のやう。


貴重な毒に浸されたその

細尖ほさきよ私に笑みまけてあれ、

私の臨終をはりにいりようである!


OEVRES D'ARTHUR RIMBAUD

アルチュール・ランボー Jean Nicolas Arthur Rimbaud

(中原中也/ 翻訳)

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2019年06月16日

新編バベルの図書館 / ホルヘ・ルイス・ボルヘス編纂序文 (国書刊行会)

「バベルの図書館」全30巻は絶版になっているので、図書館で借りて読もうとしたら、「新編バベルの図書館」全6巻となっていた。

変形版「バベルの図書館」シリーズは図書として縦長で軽くてユニークなものだった。合本となると以前のように、寝転んで物語世界へ惚けてはいられないかも知れない。ボルヘスの選んだ作品の目次だけでも記憶しておこう。


1: アメリカ編: Hawthorne, Poe, London, James, Melville. 

2: イギリス編1: Wells, Wilde, Saki, Chesterton, Kipling. 

3: イギリス編2: Stevenson, Lord Dunsany, Machen, Hinton, Beckford. 

4: フランス編: Voltaire, Villiers de L'Isle-Adam, Bloy, Cazotte. 

5: ドイツ・イタリア・スペイン・ロシア編: Kafka, Dostoyevsky, Andreev, Tolstoy, Meyrink, Papini, Alarcón. 

6: ラテンアメリカ・中国・アラビア編: Racconti Argentini, Le mille e una notte : Galland, Le mille e una notte : Burton, P'u sung-ling, Lugones, Borges


収録作品

1: ウェイクフィールド / ナサニエル・ホーソーン著 ; 酒本雅之訳

人面の大岩 / ナサニエル・ホーソーン著 ; 竹村和子訳

地球の大燔祭 / ナサニエル・ホーソーン著 ; 竹村和子訳

ヒギンボタム氏の災難 / ナサニエル・ホーソーン著 ; 竹村和子訳

牧師の黒いベール / ナサニエル・ホーソーン著 ; 酒本雅之訳


盗まれた手紙 / エドガー・アラン・ポー著 ; 富士川義之訳

壜のなかの手記 / エドガー・アラン・ポー著 ; 富士川義之訳

ヴァルドマル氏の病症の真相 / エドガー・アラン・ポー著 ; 富士川義之訳

群集の人 / エドガー・アラン・ポー著 ; 富士川義之訳

落し穴と振子 / エドガー・アラン・ポー著 ; 富士川義之訳

マプヒの家 / ジャック・ロンドン著 ; 井上謙治訳

生命の掟 / ジャック・ロンドン著 ; 井上謙治訳

恥っかき / ジャック・ロンドン著 ; 井上謙治訳

死の同心円 / ジャック・ロンドン著 ; 井上謙治訳

影と光 / ジャック・ロンドン著 ; 井上謙治訳

私的生活 / ヘンリー・ジェイムズ著 ; 大津栄一郎訳

オウエン・ウィングレイヴの悲劇 / ヘンリー・ジェイムズ著 ; 林節雄訳

友だちの友だち / ヘンリー・ジェイムズ著 ; 林節雄訳

ノースモア卿夫妻の転落 / ヘンリー・ジェイムズ著 ; 大津栄一郎訳

代書人バートルビー / ハーマン・メルヴィル著 ; 酒本雅之訳


2: 白壁の緑の扉 / H・G・ウェルズ著 ; 小野寺健訳

プラットナー先生綺譚 / H・G・ウェルズ著 ; 小野寺健訳

亡きエルヴシャム氏の物語 / H・G・ウェルズ著 ; 小野寺健訳

水晶の卵 / H・G・ウェルズ著 ; 小野寺健訳

魔法屋 / H・G・ウェルズ著 ; 小野寺健訳

アーサー・サヴィル卿の犯罪 / オスカー・ワイルド著 ; 小野協一訳

カンタヴィルの幽霊 / オスカー・ワイルド著 ; 小野協一訳

幸せの王子 / オスカー・ワイルド著 ; 矢川澄子訳

ナイチンゲールと薔薇 / オスカー・ワイルド著 ; 矢川澄子訳

わがままな大男 / オスカー・ワイルド著 ; 矢川澄子訳

無口になったアン夫人 / サキ著 ; 中西秀男訳

お話の上手な男 / サキ著 ; 中西秀男訳

納戸部屋 / サキ著 ; 中西秀男訳

ゲイブリエル-アーネスト / サキ著 ; 中西秀男訳

トーバモリー / サキ著 ; 中西秀男訳

名画の額ぶち / サキ著 ; 中西秀男訳

非安静療法 / サキ著 ; 中西秀男訳

やすらぎの里モーズル・バートン / サキ著 ; 中西秀男訳

ウズラの餌 / サキ著 ; 中西秀男訳

あけたままの窓 / サキ著 ; 中西秀男訳

スレドニ・ヴァシュター / サキ著 ; 中西秀男訳

邪魔立てするもの / サキ著 ; 中西秀男訳

三人の黙示録の騎士 / G・K・チェスタトン著 ; 富士川義之訳

奇妙な足音 / G・K・チェスタトン著 ; 富士川義之訳

イズレイル・ガウの名誉 / G・K・チェスタトン著 ; 富士川義之訳

アポロンの眼 / G・K・チェスタトン著 ; 富士川義之訳

イルシュ博士の決闘 / G・K・チェスタトン著 ; 富士川義之訳

祈願の御堂 / ラドヤード・キプリング著 ; 土岐恒二訳

サーヒブの戦争 / ラドヤード・キプリング著 ; 土岐恒二訳

塹壕のマドンナ / ラドヤード・キプリング著 ; 土岐恒二訳

アラーの目 / ラドヤード・キプリング著 ; 土岐知子訳

園丁 / ラドヤード・キプリング著 ; 土岐知子訳


3: 声たちの島 = The isle of voices / ロバート・ルイス・スティーヴンソン著 ; 高松雄一, 高松禎子訳

壜の小鬼 = The bottle imp / ロバート・ルイス・スティーヴンソン著 ; 高松雄一, 高松禎子訳

マーカイム = Markheim / ロバート・ルイス・スティーヴンソン著 ; 高松雄一, 高松禎子訳

ねじれ首のジャネット = Thrawn Janet / ロバート・ルイス・スティーヴンソン著 ; 高松雄一, 高松禎子訳

潮が満ち引きする場所で = Where the tides ebb and flow / ダンセイニ卿著 ; 原葵訳

剣と偶像 = The sword and the idol / ダンセイニ卿著 ; 原葵訳

カルカッソーネ = Carcassonne / ダンセイニ卿著 ; 原葵訳

ヤン川の舟唄 = Idle days on the Yann / ダンセイニ卿著 ; 原葵訳

野原 = The field / ダンセイニ卿著 ; 原葵訳

乞食の群れ = The beggars / ダンセイニ卿著 ; 原葵訳

不幸交換商会 = The bureau d'echange de maux / ダンセイニ卿著 ; 原葵訳

旅籠の一夜 = A night at an inn / ダンセイニ卿著 ; 原葵訳

黒い石印のはなし = The novel of the black seal / アーサー・マッケン著 ; 南條竹則訳

白い粉薬のはなし = The novel of the white powder / アーサー・マッケン著 ; 南條竹則訳

輝く金字塔 = The shining pyramid / アーサー・マッケン著 ; 南條竹則訳

第四の次元とは何か = What is the fourth dimension? / チャールズ・ハワード・ヒントン著 ; 宮川雅訳

平面世界 = A plane world / チャールズ・ハワード・ヒントン著 ; 宮川雅訳

ペルシアの王 = The Persian king / チャールズ・ハワード・ヒントン著 ; 宮川雅訳

ヴァテック = Vathek / ウィリアム・ベックフォード著 ; 私市保彦訳



4: メムノン / ヴォルテール著 ; 川口顕弘訳

慰められた二人 / ヴォルテール著 ; 川口顕弘訳

スカルマンタドの旅行譚 / ヴォルテール著 ; 川口顕弘訳

ミクロメガス / ヴォルテール著 ; 川口顕弘訳

白と黒 / ヴォルテール著 ; 川口顕弘訳

バビロンの王女 / ヴォルテール著 ; 川口顕弘訳

希望 / ヴィリエ・ド・リラダン著 ; 釜山健訳

ツェ・イ・ラの冒険 / ヴィリエ・ド・リラダン著 ; 井上輝夫訳

賭金 / ヴィリエ・ド・リラダン著 ; 井上輝夫訳

王妃イザボー / ヴィリエ・ド・リラダン著 ; 釜山健訳

最後の宴の客 / ヴィリエ・ド・リラダン著 ; 井上輝夫訳

暗い話、語り手はなおも暗くて / ヴィリエ・ド・リラダン著 ; 釜山健訳

ヴェラ / ヴィリエ・ド・リラダン著 ; 井上輝夫訳

煎じ薬 / レオン・ブロワ著 ; 田辺保訳

うちの年寄り / レオン・ブロワ著 ; 田辺保訳

プルール氏の信仰 / レオン・ブロワ著 ; 田辺保訳

ロンジュモーの囚人たち / レオン・ブロワ著 ; 田辺保訳

陳腐な思いつき / レオン・ブロワ著 ; 田辺保訳

ある歯医者へのおそろしい罰 / レオン・ブロワ著 ; 田辺保訳

あんたの欲しいことはなんでも / レオン・ブロワ著 ; 田辺保訳

最後に焼くもの / レオン・ブロワ著 ; 田辺保訳

殉教者の女 / レオン・ブロワ著 ; 田辺保訳

白目になって / レオン・ブロワ著 ; 田辺保訳

だれも完全ではない / レオン・ブロワ著 ; 田辺保訳

カインのもっともすばらしい見つけもの / レオン・ブロワ著 ; 田辺保訳

悪魔の恋 / ジャック・カゾット著 ; 渡辺一夫, 平岡昇訳



5: 禿鷹 / フランツ・カフカ [著] ; 池内紀訳

断食芸人 / フランツ・カフカ [著] ; 池内紀訳

最初の悩み / フランツ・カフカ [著] ; 池内紀訳

雑種 / フランツ・カフカ [著] ; 池内紀訳

町の紋章 / フランツ・カフカ [著] ; 池内紀訳

プロメテウス / フランツ・カフカ [著] ; 池内紀訳

よくある混乱 / フランツ・カフカ [著] ; 池内紀訳

ジャッカルとアラビア人 / フランツ・カフカ [著] ; 池内紀訳

十一人の息子 / フランツ・カフカ [著] ; 池内紀訳

ある学会報告 / フランツ・カフカ [著] ; 池内紀訳

万里の長城 / フランツ・カフカ [著] ; 池内紀訳

鰐 / ドストエフスキー [著] ; 望月哲男訳

ラザロ / アンドレーエフ [著] ; 金澤美知子訳

イヴァン・イリイチの死 / トルストイ [著] ; 川端香男里訳

J・H・オーベライト、時間 - 蛭を訪ねる / グスタフ・マイリンク [著] ; 種村季弘訳

ナペルス枢機卿 / グスタフ・マイリンク [著] ; 種村季弘訳

月の四兄弟 / グスタフ・マイリンク [著] ; 種村季弘訳

泉水のなかの二つの顔 / ジョヴァンニ・パピーニ [著] ; 河島英昭訳

完全に馬鹿げた物語 / ジョヴァンニ・パピーニ [著] ; 河島英昭訳

精神の死 / ジョヴァンニ・パピーニ [著] ; 河島英昭訳

「病める紳士」の最後の訪問 / ジョヴァンニ・パピーニ [著] ; 河島英昭訳

もはやいまのままのわたしではいたくない / ジョヴァンニ・パピーニ [著] ; 河島英昭訳

きみは誰なのか? / ジョヴァンニ・パピーニ [著] ; 河島英昭訳

魂を乞う者 / ジョヴァンニ・パピーニ [著] ; 河島英昭訳

身代わりの自殺 / ジョヴァンニ・パピーニ [著] ; 河島英昭訳

逃げてゆく鏡 / ジョヴァンニ・パピーニ [著] ; 河島英昭訳

返済されなかった一日 / ジョヴァンニ・パピーニ [著] ; 河島英昭訳

死神の友達 / ペドロ・アントニオ・デ・アラルコン [著] ; 桑名一博訳

背の高い女 / ペドロ・アントニオ・デ・アラルコン [著] ; 菅愛子訳


6:

アルゼンチン短篇集/千夜一夜物語 ガラン版/千夜一夜物語 バートン版/蒲松齢/レオポルド・ルゴーネス/ホルヘ・ルイス・ボルヘス

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『塩の像』レオポルド・ルゴーネス 牛島信明 訳(国書刊行会)

衝撃的に創造性ある面白い短篇集だが絶版となっている。作者L・ルゴーネスは、1874-1938のアルゼンチンの作家。ボルヘスの先駆者である。

巻頭の短編「イスール」は飼い猿に言葉を教えるのにとり憑かれた科学者の物語。猿に並々ならぬ関心で「説明し難い現象』と人間嫌いの紳士が人格分裂を起こしたとき、もう一人の「自分」は猿の形を示した。

イスール Yzur

火の雨 La Lluvia de Fuego

塩の像 La Estatua de Sal

アブデラの馬 Los Caballos de Abdera

説明し難い現象 Un Fenomeno Inexplicable

フランチェスカ Francesca

ジュリエット祖母さん Abuela Julieta


「アブデラの馬」は挙って馬の飼育に熱中する国で、甘やかされた馬が人間並みの知性を持ってしまい反乱を起こす。かなり寓話的・比喩的な内容で、最後の結末に驚く。

「火の雨」はゴモラの街に火の雨が降り始まり、住民が死に絶えた街で最後まで生きていた男の目から描いた終末の話。

「塩の像」はソドムの町で隠遁生活をしていた修道僧が、塩の像になったロトの妻と会う話。対となって描かれるゴモラは栄耀栄華を謳歌していた人類の滅亡の儚さを叙情的に語られ、ソドムのほうは神と人間の対立する焦点を濃厚に展開される。


J・L・ボルヘス編纂 バベルの図書館 18 レオポルド・ルゴーネス『塩の像』 1989年国書刊行会

ルゴーネス

1874-1938。アルゼンチンの詩人、小説家。ボルヘスの師。

詩集

『黄金の山々』 (Las montañas del oro) 1897年

『庭園の黄昏』(Los crepúsculos del jardín) 1905年

『感傷的な暦』 (Lunario sentimantal) 1909年

『世俗的な頌歌』 (Odas seculares) 1910年

『風景の書』 (El libro de los paisajes) 1917年

『昔からの詩』 (Poemas solariegos) 1927年

『リオ・セコのロマンセ』(Romances del Río Seco) 1938年

短編集

『ガウチョの戦い』 (La guerra gaucha) 1905年

『奇妙な力』 (Las fuerzas extrañas) 1906年 収録作に「イスール」(Yzur)など。


牛島信明

1940年生れ。東京外国語大学教授。主要著訳書--『反=ドン・キホーテ論』(弘文堂)、パス『弓と竪琴』(国書刊行会)、ガルシア・ロルカ『血の婚礼 他二篇』(岩波文庫)、セルバンテス『ドン・キホーテ』(岩波少年文庫)ほか。

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ボルヘスが編纂しイタリアのフランコ・マリーア・リッチ社から刊行された文学全集『バベルの図書館』全30巻。本の形は縦長で箱入り、瀟洒という言葉が当てはまる装丁。一冊は本棚に置きたい、書物メディアの魅力をいかんなく発揮しているシリーズだった。


絶版になっている本書の亡き訳者を敬いつつ「塩の像」訳文をWB公開されていた。

http://www.k-hosaka.com/nonbook/shionozo.html

短編「塩の像」レオポルド・ルゴーネス 
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ボルヘス『詩という仕事について』(岩波文庫)

【1967年にアメリカのハーヴァード大学で行われたボルヘスの講義録より】


The woods are lovery, dark, and deep,

But I have promises to keep,

And miles to go before I sleep,

And miles to go before I sleep.


「森は美しく、暗く、深い、しかし、私には果たすべき約束がある、

眠りに就く前に歩くべき道のりが、

眠りに就く前に歩くべき道のりが」


 これらの詩行は完璧そのもので、トリックなどは考えられない。しかしながら、不幸なことに、文学はすべてトリックで成り立っていて、それらのトリックは−−いずれは−−暴かれる。そして読み手たちも飽きるわけです。しかしこの場合は、いかにも慎ましいものなので、それをトリックと呼ぶのが恥ずかしいほどです(ただし、他に適当な言葉がないので、そう呼ばせてもらいます)。

 何しろここでフロストが試みているのは、誠に大胆なものですから。同じ詩行が一字一句の違いもなく二度、繰り返されていますが、しかし意味は異なります。最初の "And miles to go before I sleep." これは単に、物理的な意味です。道のりはニューイングランドにおける空間としてのそれで、sleep は go to sleep 「眠りに就く」を意味します。二度目の "And miles to go before I sleep" では、道のりは空間的なものだけでなく、時間的なそれでもあって、その sleep は die 「死ぬ」もしくは rest 「休息する」の意であることを、われわれは教えられるのです。詩人が多くの語を費やしてそう言ったとすれば、得られた効果は遙かに劣るものとなったでしょう。

私の理解によれば、はっきりした物言いより、暗示の方が遙かにその効果が大きいのです。人間の心理にはどうやら、断定に対してはそれを否定しようとする傾きがある。エマソンの言葉を思い出してください。

"Arguments convince nobody" 「論証は何ぴとをも納得させない」と言うのです。

それが誰も納得させられないのは、まさに論証として提示されるからです。われわれはそれをとくと眺め、計量し、裏返しにし、逆の結論を出してしまうのです。

『詩という仕事について』ボルヘス(岩波文庫)より


「詩は隠喩だ」とボルヘスは言った。

アルゼンチンの詩人ルゴネスから言葉を引きつつ「単語はすべて死せる隠喩である」という。
ボルヘスによると kingの語源は代表者、熟慮を意味するconsider という単語は元来は「星占い」という意味だった。それが「王」「熟慮」という意味になったらしい。
知らずしらずのうちに「隠喩」を使っているが、ボルヘスは「読み手が隠喩として受け止めるものに限定」していた。

目と星、時と河、女と花、夢と生、眠と死、戦と火など、書き手の関心のある隠喩に絞って執筆トレーニングを積み重ねればいい。 


 ボルヘス『詩という仕事について』(岩波文庫)電子書籍

https://www.iwanami.co.jp/smp/book/b248482.html


レオポルド・ルゴネス(Leopoldo Lugones, 1874年6月13日 - 1938年2月18日)アルゼンチンの詩人、短編作家。アルゼンチン近代を代表する文学者の一人で、モデルニスモ文学の担い手の一人。行動的な性格と旺盛な知的好奇心の持ち主で、著作の中には哲学や数学に踏み込むものもある。斬新な詩風と巧みな修辞が評価されている。ルゴーネスとも表記する。

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2019年06月12日

『金沢・酒宴 』吉田 健一( 講談社文芸文庫)

『金沢・酒宴 』吉田 健一( 講談社文芸文庫)

金沢の町の路次にさりげなく家を構えて心赴くままに滞在する、内山という中年の男。名酒に酔い、九谷焼を見、程よい会話の興趣に、精神自由自在となる"至福の時間"の体験を深まりゆく独特の文体で描出した名篇『金沢』。

灘の利き酒の名人に誘われて出た酒宴の人々の姿が、四十石、七十石入り大酒タンクに変わる自由奔放なる想像力溢れる傑作『酒宴』を併録

「菊正という酒はどこか開き直った、さよう、然らば風のところがあって寝転んでなどは飲めないが、こっちもその積りで正坐して付き合っていれば、味は柾目が通っていて、酔い心地もかえって頭を冴えさせるのに近いものだから、まずは見事な酒である。これに比べると、酒田の初孫という酒はもっと軟かに出来ていて、味も淡々として君子の交りに似たものがあり、それでいて飲んでいるうちに何だかお風呂に入っているような気持ちになって来る。自分の廻りにあるものはお膳でも、火鉢でも、手を突き出せば向うまで通りそうに思われて、その自分までが空気と同じく四方に拡る感じになり、それが酔い潰れたのではなしに、春風が吹いて来るのと一つになった酔い心地なのである。」(「酒宴」)


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2019年06月09日

アステリズムに花束を 百合SFアンソロジー (ハヤカワ文庫JA)

最前線の作家陣が贈る 

百合とSFをテーマにした 

世界初のアンソロジー 


百合――女性間の関係性を扱った創作ジャンル。創刊以来初の3刷となったSFマガジン百合特集の宮澤伊織・森田季節・草野原々・伴名練・今井哲也による掲載作に加え、「ゲンロン 大森望 SF創作講座」出身の新鋭女性作家2名による共作「海の双翼」、『元年春之祭』の陸秋槎が挑む言語SF「色のない緑」、そして『天冥の標』を完結させた小川一水が描く宇宙SF最新作「ツインスター・サイクロン・ランナウェイ」などを収める、世界初の百合SFアンソロジー。


http://www.hayakawa-online.co.jp/shopdetail/000000014242/

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クリエイティブな編集術

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地方同人誌のような田舎くさい、
泥臭い世界から遠く離れた感覚。
「編集術」によって、
映像も言葉も音響も化学反応をおこす。
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2019年06月06日

『続・ニホンという滅び行く国に生まれた若い君たちへ』―16歳から始める思考者になるための社会学― 秋嶋 亮(旧名・響堂雪乃)

続・ニホン内容説明全目次版.TXT

待望のベストセラー続編が堂々完成!


私たちが直面する「重層化する危機」とは何なのか?

もはや国家の消滅は避けられないのか?

そして私たちはこの時代を生き抜くことができるのか?

本書はそれに明晰に答える最高峰の社会学テクストである。


目次

第1章 これから君たちは政府が消滅した時代を生きる

1  主権が無くなったことに誰も気付いていない

2  自国のことを自国で決めてはならないというルール

3  国民の議会が廃止され外国の企業が政府になる

4  離脱も撤回も永久に許されない協定に署名した

5  政治家もTPPの内容を知らない

6  代表する権利の無い者が勝手に協定を結んだ

7  国民を守る機能としての政府はもう無い

8  相手国を破滅させる貿易を何と言うか

9  津波や地震よりもグローバルな資本が脅威である世紀

10  主権を明け渡して繁栄できるわけがない

11  ニホンは植民地主義に呑み込まれた

12  TPPに不参加のアメリカがTPPを通じてニホンを支配する仕組み

13  ニホンという地域は残るが日本という国家は消える 

14  メキシコの国境フェンスが暗示するニホンの未来

15  新聞テレビが外国企業の手先となり侵略の実態を隠した

16  やがて投資家の訴訟がニホンのおカネを奪い尽くす

17  どれほど酷いことになるかは隣の国を見れば分かる

18  国を売ることが一番儲かる時代

19  経済特区は現代の租界

20  世界で最も愚かな国であることの証明

21  『家畜人ヤプー』さながらの人々

22  移民社会は低賃金社会である

23  失業者で溢れ返る国が100万人の移民を呼ぶ狂気

24  国産の奴隷よりも安く使える外国産の奴隷が欲しい

25  移民の数だけ雇用が消える

26  かつてない「就業の大競争時代」の到来

27  この貧困のスパイラルから永久に逃れられない

28  下層に転落した人々の運命

29  イギリス国民は移民に悲鳴を上げEU離脱を求めた

30  移民国家は犯罪国家になる

31  なぜ貴重な雇用を国民ではなく移民に与えるのか

32  天文学的な移民コストは国民の負担となる

33  要するに外資の配当のための移民政策であるということ

34  少子化を仕掛け労働者不足を訴える

35  移民を呼ぶためにわざと出生率を引き下げた

36  グローバル資本が描いたニホン人削減計画

37  国民が移民に入れ替わってもニホンと言えるのか

38  野党もグルになって移民を推進した

39  安価な外国人を輸入するため国会で用いられた詭弁

40  ギャンブル依存症者が世界一多い国でカジノを作る

41  外国の食い物にされる国は何と呼ばれるか

42  植民地主義は生活領域にまで広がる

43  「水による支配」は未来永劫続く

44  縁故主義者が生命の水を外国に売り飛ばした

45  水道の民営化によって政治家が手にする報酬の額

46  社会資本を私物化した挙句に生きる権利を粉砕する

47  重大な問題が伝えられないのではなく、重大な問題だからこそ伝えられない

48  東欧の女性と同じ悲劇がニホンの女性を襲う

49  地球的な経済暴力が弱者を翻弄する時

50  「生きづらさ」は海を超えてやって来た

51  白昼堂々と売春婦の募集車が行き交う


第2章 「政治が存在しないこと」について語ろう

52  国会は国会議員が法律を作っていると錯覚させるための「劇場」である

53  与野党の対立はシナリオに基づく

54  重要な事は絶対に国会で取り上げられない

55  政治家が政治をやっているのではないから、政権が交代したところで何も変わらない

56  避難者の支援打ち切りが与党と野党の談合を浮彫りにした

57  本質を読み解くため極論から出発すること

58  被選挙権のない者たちが法律を作っている

59  それでも政治家が政治をやっていると思っているなら頭がどうかしている

60  「威嚇の装置」として置かれている在日米軍

61  外国の軍隊が駐留して政治を決める

62  公式には認められないが非公式の事実であること

63  アメリカの政界にばら撒かれたおカネがニホンの法律を決定する仕組み

64  経済が失敗すると国民は貧しくなるが投資家は栄える

65  人間のクズたちに支配される社会

66  有権者は肉屋を支持する豚に等しい

67  響きは美しいが中身は空っぽの言葉がある

68  宗教と政治が癒着し地獄のような社会を作った

69  政府が国民に仕掛けるテロリズム

70  選挙の開票結果は最初から決まっているのか

71  外資からおカネを貰い外資のための法律を作る

72  法律を商品として取引する市場がある

73  政治家の人柄ではなく政治家の金脈から考えること

74  歴史は政治家が金融家の下僕であることを語る

75  国民を安売りすることで成り立つ経済

76  外資をボロ儲けさせるために計画倒産する国

77  消費税が投資家の配当に化ける仕組み

78  国民からマネーを搾り取る装置としての消費税

79  考えないことを伝統とする社会

80  生きるという行為そのものに課税する

81  福祉の解体が国策であること

82  「世帯の貧困」を「子どもの貧困」という言葉で誤魔化す

83  政治が失敗したからではなく、政治が成功したから貧困が蔓延した

84  これほど豊かな国がこれほど貧しい理由

85  国民の老後のおカネを戦争産業に貢ぐ最低の国になった

86  日米関係とは主人と奴隷の関係だと考えればいい

87  500年にわたる文明の蹂躙の果てに

88  本当の権力は常に透明である

89  ニホンの財政が悪化するほど外資の利益は増える

90  人類史上最も搾取される社会


第3章 原発事故は終わっていない

91  ニホン人の民度を超えた問題であること

92  悲観か楽観かではなく、何が事実かを考える

93  事故の処理にかかる費用の一切が国民の負担となる

94  怒りで頭の中が真っ白になること

95  自分の利益のために他者の人生を奪う

96  2+2=5的な思考の強制

97  矛盾を受容させ思考力を破壊する

98  東京ドームが衆愚ドームになった日

99  ド級の原子力災害の最中にオリンピックを開催する

100  国連の人権委員に「風評被害」と言えるのか

101  検閲と宣伝によって成り立つ政府

102  学者もエコノミストも現実を理解していない

103  沈黙する君も悪の共犯である

104  国民を虐待する政府の登場

105  道徳と法律が同時に崩壊した

106  無抵抗であるほど残虐度は増す

107  最悪の時代に最悪の事故が起きたという意味

108  文学者も哲学者もこれほど危険な社会を想像できなかった

109  だから国民は永久に抵抗しない

110  戦時社会と酷似した同調圧力の下で

111  チェルノブイリより酷い汚染地帯に子どもたちを住まわせるな

112  この軽薄の群れを人間の集合と言えるのかよく考えて欲しい

113  卑劣な人々によって災禍は果てしなく広がる

114  冷静でいられるのは理性的だからではなく理解力に欠けているからだ

115  それでも楽しく歌い踊れる人々

116  正常な思考を麻痺させるもの

117  報道の自由度は原発事故によって先進国中最悪になった

118  世界から軽蔑されるきっかけとなった出来事

119  新聞を信じる者は生き残れない

120  ニホンが世界の核処理場になると狂喜する新聞社

121  地球上で最も汚染された国の末路として

122  自由貿易の枠組みで原発事故を捉えると恐ろしい現実が見える

123  経済の破滅に気付かない経済人たち

124  言語の壊乱が社会の錯乱を表す

125  自分は何も知らないと自覚すること

126  その場限りのデマカセが公式の話法になった

127  この国の人権はあくまで「目安」であって、法律によって保障されたものではない

128  「絆」は家畜を縛る道具の意味なのだが

129  迷信と疑似科学で纏められる国民

130  原子炉の爆発とともに巨大なカルト国家が出現した

131  進化ではなく退化を目指す文明

132  悪は裁かれるという妄想を捨てること

133  なぜ子どもたちを守ろうとしないのか

134  これはやがて国際問題に発展するが幼稚な詭弁は通用しない

135  存在の基盤が液状化する現代

136  国家の消滅は人類社会のありふれた事件なのだ

137  私たちの文明はオブラートのように溶解的な基層の上に立つ

138  人間の生命が羽毛のように軽い時代になった


第4章 メディアという意識の牢獄から抜け出す

139  巨大な不況が戦後最長の好況に偽装された

140  報道が認識を歪め事実を不明にする

141  現実は在るのではなく作られるということ

142  メディアが提供する虚構の共有によって社会は成立する

143  国民は無知に沈められる

144  問題はどのようにすり替えられているか

145  とろい人々を標本にして政府が望む世論をデッチ上げる

146  対日支配の道具としてのテレビ

147  大衆とは情報に操作される群れを意味する

148  ニホン人を「下等人種」にするためのプログラム

149  身体ではなく精神を破壊する戦争

150  見てきたものは領土ではなく地図に過ぎない

151  テレビに気を取られている隙に国を乗っ取られた

152  派手なスキャンダル報道の裏で危険な法案がひっそりと決まる

153  マスコミと政治家が酒を飲みながらニュースの内容を決定する国

154  自民党に献金する日本新聞協会

155  知的レベルが低い者ほど新聞を信用する

156  思考しない脳の餌となるもの

157  レベルの低い文化の泡からレベルの低い国民が生まれた

158  「文化一般は死の文化である」という言葉の意味

159  世界観はマスコミによって作られた擬制である

160  新聞テレビを神と崇めるのか

161  この国では50歳の大人の政治知識が15歳の子どもと大差無い

162  マスメディアを所有する者たち

163  内閣官房機密費に飼われる卑しいジャーナリストの群れ

164  世界の投資マネーで潤う北朝鮮がニホンを攻撃する理由などない

165  「騙されやすい軽信の時代」を象徴する北朝鮮問題

166  1億人がポスト真実に惑わされている

167  「民は愚に保て!」という号令が聞こえないか

168  全てが見えているようで何も見えていない

169  ある年齢を過ぎて事実を知ると発狂する


第5章 生き残るために世界の仕組みを知ること

170  ニホンの主義を誰も知らない

171  国家は国民のためではなく資本のためにある

172  何重にも巻き付けられた支配の鎖

173  戦争をやっている国よりも人が殺されている

174  人間の本性は危機で露わになる

175  グローバルな戦争経済の中で全てが繋がった

176  バラバラに見えるものが一つの恐ろしい構造を示す

177  金融と軍事の連合に支配される「自由の国」

178  大統領も末端の使い走り程度の者に過ぎない

179  政治家は選出母体の代理人であるという原則 

180  資本は議会に命令する

181  だから戦争は永久に無くならない

182  憎悪と対立を煽れば支配が容易になるという論理

183  暴力の思想が戦時から今に繋がる

184  気付いた時には戦争前夜

185  自由から逃走する時代の再来

186  ニホンのナチ化が東京から始まった

187  戦争を経済の中心に据える構想

188  やがて非国民という言葉が日常語になる

189  右翼も左翼も形式的に存在するだけで機能は無い

190  愛国者ほど国を批判し、売国奴ほど国を賛美する

191  支配を正統化するための神話とフィクション

192  馬鹿が多くなると社会は右翼化する

193  こうすれば憲法は簡単に改正できる

194  派遣の兵隊になって死んだところで何の補償もない

195  監視と検閲と弾圧の未来

196  権力に付け込まれている内に思考力を失い無反応になった

197  鋳型でモノを成型するように学校で大衆を生産する

198  非理性を振りかざす醜い大人たち

199  素直に死ぬ群れに調教する手段であったものが今も残っている

200  学校は「準軍隊」なのだから残酷なのが当たり前

201  愚か者が宗教に取り込まれ政治に利用される

202  兵器産業に投資する聖職者たち

203  宗教は普遍の支配ツールである

204  科学と疑似科学の境界を見極められるか

205  危機は砂山のように堆積している

206  迷いを深める答えが本当の答え

207  滅び行く国に生まれた若い君たちが考えなくてはならないこと

208  「大衆」として生きるか、「分衆」として生きるか

209  知識によって世界像を新しく塗り替える


(白馬社)


秋嶋亮(あきしまりょう)響堂雪乃より改名。 
社会学作家。ブログ・マガジン「独りファシズムVer.0.3」http://alisonn.blog106.fc2.com/を主宰し、グローバ リゼーションをテーマに精力的な情報発信を続けている。主著として『独りファシズム―つまり生命は資本に翻弄され続けるのか?―』(ヒカルランド)、『略奪者のロジック―支配を構造化する210の言葉たち―』(三五館)、『終末社会学用語辞典』(共著、白馬社)、『植民地化する日本、帝国化する世界』(共著、ヒカルランド)、『放射能が降る都市で叛逆もせず眠り続けるのか』(共著、白馬社)、『北朝鮮のミサイルはなぜ日本に落ちないのか―国民は両建構造(ヤラセ)に騙されている―』(白馬社)などがある。 
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2019年05月24日

幻想哲学小説『創造者』ミュノーナ(蝸牛文庫)

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絹山絹子:訳 黒死館附属幻稚園:発行

カント哲学に溺れたマッド・サイエンティストに、自我の世界を究極まで拡大されると、如何なる結果が現れるか。そんな実験材料にされた男女の物語。技術とオカルティズムの破天荒な融合がここに驚くべき結末を迎える。


ドイツの幻想作家ミュノーナの幻想小説の翻訳。訳者あとがきによれば、ミュノーナは『小遊星物語』のシェーアバルトと知り合いで、カント学者でエルンスト・マルクスの友人らしい。


作者の友人アルフレッド・クービンが挿絵を担当して、図版を再現した翻訳を自主出版された。
蝸牛文庫 B6 132p 900円
只今売切れ絶版。再版を願いましょう。

ミュノーナ [Mynona] 本名ザロモ・フリートレンダー。哲学者で作家。1871年ゴランチュ(ポーゼン)にユダヤ人医師の長男として生まれる。初め医学を専攻していたが、哲学に転じて、1902年ショーペンハウアーの位置づけ並びにカント「純粋理性批判」の認識論的基礎に関する試論で学位取得。哲学の主著に『創造的中立』『フリードリヒ・ニーチェ』。
ベルリンでミュノーナ、匿名(Anonym)のアナグラムの筆名で詩や短篇を発表、ダダイストたるバーダーやハウスマンとともに雑誌『地上1915年』を計画、シュティルナーの個人主義を旗印にした雑誌『唯一者』刊行。1933年パリに亡命、闘病生活の後1946年パリに客死。「カントと道化のジンテーゼ(統合)」を自認するフリートレンダー/ミュノーナはアヴァンギャルド文学の寵児。
posted by koinu at 14:54| 東京 ☀| 本棚 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする