2020年09月25日

『ルパン最後の恋』(Le Dernier Amour d'Arsène Lupin)モーリス・ルブラン

『怪盗ルパン最後の恋』
ルパンシリーズの最終作は1934年に発売された「カリオストロの復讐」1941年の「ルパン最後の事件(ルパンの大財産)」とされていたが、「近年、ルブランの伝記を記したジャック・ドゥルアールの調査によってそのタイプ原稿が発見され、フランス本国で2012年5月に刊行された」という。なんと約70年ぶり新刊。

8F5C6337-3C6F-4F1F-8AA8-BC6682A9B360.jpeg
『ルパン最後の恋』(Le Dernier Amour d'Arsène Lupin)モーリス・ルブラン

【あらすじ】
父親のレルヌ大公が突然自殺し、一人娘のコラは悲しみに沈んでいた。そんなコラを助けるのは、大公から後見を託された4人の男たち。大公は遺書の中で、「実はこの4人の中に正体を隠したアルセーヌ・ルパンがいる。ルパンは信頼に足る人物なので、それが誰かを見つけ出して頼りにするように」と記していた。やがて思いがけない事実が明らかになる。大公はコラの本当の父親ではなく、コラは母親がイギリスのハリントン卿との間にもうけた子だったのだ。高貴な血をひくコラは、にわかに国際的陰謀に巻き込まれ、そんなコラを救うべく、ルパンは動き出すが……永遠のヒーロー『ルパン』と姿なき敵との死闘が幕を開ける!

原稿を発見するまでの経緯はNHKが以下のように報じており、もうちょっとくわしいあらすじがわかります。

怪盗ルパン最後の恋 - NHK 海外ネットワーク

最後のルパンの原稿はどのようにして見つかったのか。ルブランの孫のフロランスさん。原稿の発見は、全くの偶然だった。パリの自宅で、両親の遺品を整理していたところ、父親の書類の中から原稿が見つかった。ルブランは毎回、出版の直前まで推こうを重ね、作品の完成度を高めていった。ただ、手直しされていないページもあり、フロランスさんは「このころはもう晩年で、思うように作業が進まなかったようだ」と話す。出版を決断したフロランスさんは「祖父の作品が完結しないのは残念なことだと思った。みんなに気に入ってもらえるとうれしいです」と話す。

作品には、貴族や資産家から財宝を盗み出すこれまでの姿とは全く別のルパン像が描かれている。舞台は、1920年代のパリ郊外。ルパンは、先祖から受け継いだ1冊の本をめぐって、イギリスの諜報機関に命を狙われる。教師になりすまし、小さな街に身を隠すルパン。貧困に苦しむ子どもたちを目にし、ルパンは街で出会った男に決意を明らかにする。その決意は、街にガス・電気・公園を整備し、家を建てるというもの。男が「そんな金はどこにあるんだ?」と問いかけるとルパンは「これから盗んでくる」と話す。さらにパリ社交界きっての美女との恋も描かれている。研究者は「金持ちばかりと接してきたルパンが、今回は貧しい人たちのために、彼独特の方法でよいことをしようとしている全く新しい世界が描かれていて、とても興味深い」。

危機的似非(エッセ・クリティック)(執筆者・平岡敦) - 翻訳ミステリー大賞シンジケート
posted by koinu at 15:00| 東京 ☀| 本棚 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする