2020年08月06日

『青い箱と紅い骸骨』稲垣足穂(角川書店)

稲垣足穂の初期作品集。巻頭に著者の絵画作品「新婚旅行」「月の散文詩」「吸引と反撥」「明方の誘惑」をカラー掲載。表題作品のほか下記全13篇を収録。


【収録作品】

青い箱と紅い骸骨

七話集

北極光 Aurora borealis

星澄む郷

矢車菊

薄い街

或る小路の話

美しき穉き婦人に始まる

地球

愚かなる母の記

底なしの寝床


「足穂地獄に堕ちる楽しさ」野坂昭如

角川書店1972年(定価1800円)


 山と海のあいだの斜面にその都会はあるが、山も西方になると急に低まって、起伏する無数の丘々の重なりになってしまう。……

……西方に較べると、もう本当の山懐に属している部分だから、そこから海まで狭くなって、傾斜も急なので、夕方など山際の高い煙突から吐き出された、白い、しめっぽい煙が、ずっと下方の人家のあたりまでただようてきて、風向きによると、数時間も各戸の庭や座敷を閉じこめてしまうことがある。……「青い箱と紅い骸骨」より

posted by koinu at 08:46| 東京 ☁| 本棚 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする