2020年06月30日

柳本々々「なんか、その霊の話、すっごく、こわれてない?」

毎日歌壇:加藤治郎・選 

◎あがってきてはだかで冷蔵庫あけ、わたしはすごい風のベランダ 

東京 柳本々々

【評】短い時間が流れている。バスルームを出てベランダにいる。「すごい」という気分に根拠はないのだろう。


毎日新聞 https://mainichi.jp/articles/20200629/ddm/014/040/036000c

特選



「この電車ちがう!」と言ってぼくの手をとってひっぱりだす女の子 柳本々々

(日経新聞・日経歌壇2018年9月20日穂村弘 選)



髪を撫でつけた店員がわたしのもとにやってきて、レジをしめちゃうんでこれから三十分は会計できないんですけどいいですよね、わたしは、反射的に、はい、と答え、すぐあとに、わたしはここにこれから三十分じっとしているのか。三十分ここにいろっていわれたなんてなんだかすさまじいきがして、

(柳本々々「三十分」『現代詩手帖』2018年10月号、松下育男・須永紀子 選)



夜の秋コンビニエンスストアに木 柳本々々

(東京新聞・東京歌壇2018年9月23日小澤實 選)



つむってるからどんな器具がつっこまれてるかわからない歯の治療


なんでわたしを愛することをやめないんだろうときいたことがある


(柳本々々「かわいい青年」『かばん』2018年10月号)



シンポジウムのときは雲をみているあたまに濡れた髪がはりつく


ぱふぱふってなんですかねTシャツを干すとき仰ぐまばゆい光


(柳本々々「この子できないのかな?」『かばん』2018年9月号)


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柳本々々「なんか、その霊の話、すっごく、こわれてない?」 『文學界』2019年9月号掲載


〈「なんであの幽霊は、わたし、っていったんだろ」「ゆるされたかったんじゃないかな、だれかに」〉柳本々々「幽霊の主語はわたし」『現代詩手帖』2020年6月号


posted by koinu at 10:00| 東京 ☁| 本棚 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする