美しい死の匂いは芳しい。
「あるときは角砂糖を一箱たべて寝たり、外套を着たまま寝たりして、どんな夢を見るかためしたもんだ」
ジャン・コクトー「初めから、僕には、ラディゲは借りものであって、やがて返さなければならないことがわかっていた」「一番賢明なのは、事情がそれに値する時にだけ狂人になることだ」
弱冠20歳で『肉体の悪魔』と『ドルジェル伯の舞踏会』を書いて、夭折したラディゲは三島の憧憬だった。
『ラディゲの死』三島由紀夫
神の兵隊によって、3日間のうちにぼくは銃殺されるんだ、という自らの予言。その通りにラディゲはコクトオに見守られながら二十年の生涯を閉じた。コクトオはラディゲの庇護者。三島が少年のときから心酔しつづけてきたラディゲ。夭折の天才。その晩年と自由を描く。他13短編。(解説=野島秀勝)