『深夜の告白』(Double Indemnity)ビリー・ワイルダー監督
アメリカ映画(1944年パラマウント社作品。モノクロ)。日本は1953年公開
フィルム・ノワールの古典。不倫による生命保険金殺人する倒叙型サスペンスの先駆で、多くの映画・テレビドラマに影響を与える。
原作のジェームズ・M・ケイン小説『倍額保険』(1936年)は、保険会社勤務の経験を持つケインが、1927年に実際に起きた保険金殺人事件「ルース・スナイダー事件」に触発されて執筆した。
《あらすじ》
深夜に車を蛇行させて、保険会社ビルに乗り付けた男。よろめきながら無人のオフィスに辿り着き、事務用録音機をセットして、罪の告白を始める。
ロサンゼルスの保険会社の敏腕外交員であるウォルター・ネフは、顧客の実業家ディートリクスンの自宅で、美貌の後妻フィリスに出逢った。
フィリスに誘惑されたネフは彼女と不倫の関係に陥り、結果、倍額保険金目的の殺しに荷担してしまう。
欺いての倍額保険契約締結、不慮の事故で怪我を負ったディートリクスンを、敢えて列車で同窓会の会合に出席させるよう巧みに仕組んだフィリスの工作、駅頭や列車内で「ディートリクスン氏」の目撃者を作るためのネフの変装など、殺人は周到な偽装のもとに仕組まれ実行される。
その結果、ディートリクスンの死は単なる列車転落事故と処理されて、殺人は完全に成功したと思われた。だが保険会社でのネフの同僚である敏腕調査員バートン・キーズは、長年の経験による勘から疑問を抱き、死亡保険金支払いを差し止めさせて、フィリスの身辺調査に乗り出した。
保険金も得られないままになり、手詰まりの膠着状態に追い詰められたネフとフィリスは、運命共同体という立場にありながら、相互不信に陥るのだった。
それにつれてフィリスの恐るべき正体が徐々に明らかとなってくる。ネフはついにある重大な決断を下すことにする。
監督 ビリー・ワイルダー
出演 バーバラ・スタンウィック/フレッド・マクマレイ/エドワード・C・ロビンソン
映画脚本: ビリー・ワイルダー、 レイモンド・チャンドラー
ノミネート: アカデミー作品賞、 アカデミー主演女優賞、 アカデミー監督賞、