
「矛盾が多ければ多いほど、その人物は面白いと言うことができます」(キーン氏)
──三島は、矛盾に富む人だった。
文学を愛し古典の教養溢れる一方で、日本の自然や食文化には無頓着。
国内より海外で評価されることを切望し、貴族の存在を嫌いながらも度々作品に登場させた。
長年にわたる文通で親交を深めたドナルド・キーン氏と、 取材者として三島に信頼され、割腹自殺の直前に檄文を託された徳岡孝夫氏。
作家・三島由紀夫の知られざる素顔と葛藤を目撃していた両著者が、亡き友を偲び語り合い、貴重な証言録となった追善紀行。 『悼友紀行』改題。
https://www.shinchosha.co.jp/book/131356/
目次
まえがき 徳岡孝夫
『天人五衰』の尼寺
回想の三輪明神
旧志賀直哉邸
あの人の「仮面」とは
アジャンタの合歓
落魄のニューヨークで
垣間見た痛々しさ
むしろ鏡花に
美作へ吹き抜ける風
くらい手紙
津和野ストイシズム
松江瞥見
与兵衛の殺意
あとがき ドナルド・キーン
文庫版あとがき 徳岡孝夫 ドナルド・キーン