2020年04月09日

古い世に別れを告げて、新しい世の入口へ

「老齢」エドマンド・ウォラー


今まで吹いていた風がやむと、海は静かになる。

それと同じで、激情が収まると、人間も穏やかになる。

結局無意味になるのが分かりきっているのに、

くだらないことを自慢していた自分の空しさが、

歳をとってやっとわかってくる。

若い時には、自惚れに眼が曇り、つい見落としていたものごとの儚さが、

老人になってやっと分かってくるのだ。


魂を覆っている肉体という小屋がぼろぼろになると、

「時」が穿った隙間から新しい光が射してくる。

人間というものは、弱くなってさらに強くなり、

神の御許に近づくに従っていよいよ賢くなってゆく。

古いこの世にまさに別れを告げ、新しいあの世の入口に立つに及んで、

やっと両方の世界が同時に見えてくるのだ。

Old AgeEdmund WallerEngland, 160687

『イギリス名詩選』岩波文庫より

posted by koinu at 19:00| 東京 ☀| 本棚 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする