2020年04月04日

松本たかし短歌

チチポポと鼓打たうよ花月夜

春月の病めるが如く黄なるかな

海中に都ありとぞ鯖火燃ゆ

夢に舞ふ能美しや冬籠

水仙や古鏡のごとく花をかゝぐ

雪だるま星のおしやべりぺちやくちやと

(松本たかし短歌より)


定型歌はリズムがあり、結晶のように圧縮されて、視覚要素へも響く。

反対に自由形式での詩作は、雑文のような吐き溜まりになりがちとなる可能性はある。

短い歌の機能は速いスピード感の視覚表現に似て、反射神経が次のように求めらる。


夏めくや庭を貫く滑川

大島と久に逢ひ見て梅雨晴れぬ

咲きのぼり梅雨晴るる日の花葵

遠雷や波間波間の大凹み

幟の尾垂れたる見えて夕庇

荒れ荒れし人も神輿も息みをり

二つづつ放り出しけり早苗束

早苗束放る響きの谷間かな

早苗束膝に当ててはくくりけり

蚊遣火や夕焼冷むる淡路島

渦巻の残りすくなき蚊遣香

日蔽舟扇使ひの人見ゆる

氷食ふ二階の欄にまたがりて

蛍籠飛ぶ火落つる火にぎやかに

桐の花散りひろごれり寺静

百日紅こぼれて庫裡へ石畳

えごの花かかりて蜘蛛の糸見えず

雨音につつまれ歩く若葉かな

下闇に遊べる蝶の久しさよ

左右より芍薬伏しぬ雨の径

一面の著莪にさざめく洩日かな

紫陽花の大きな毬の皆褪せし

睡蓮の葉に掌をかけて亀しばし

ほのぼのと泡かと咲けり烏瓜

青蔦の這うて暗しや軒の裏

萍に松の緑を摘み捨てし

(松本たかし短歌より)

posted by koinu at 14:00| 東京 ☀| 観測 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする