2020年01月05日

『エピクロスの園』アナトール・フランス・大塚幸男訳(岩波文庫)

LE Jardin d'Épicure ,Anatole France 


わたくしが前提としているのは、歴史家は確実な証言を眼の前にしているが、実際には欺かれるものであるということ、そして歴史家がある証人を信用したり、他の証人を信用しなかったりするのは、感情上の諸理由によってにすぎないということである。

歴史は科学ではない。藝術である。

歴史においては想像力によってしか成功できない。(97P)断章 歴史



「皮肉」と「憐れみ」とはふたりのよき助言者である。前者は、ほほえみながら、人生を愛すべきものにしてくれ、後者は、泣いて、人生を聖なるものにしてくれる。わたくしがその加護を祈る「皮肉」は残酷なものではない。それは愛をも美をもあざけりはしない。それはやさしく、親切である。 

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『エピクロスの園』アナトール・フランス・大塚幸男訳(岩波文庫)


【目次】

断章

女子修道院について

昨晩、アルファベットの起原について幽霊と交わした対話

女子教育について

奇蹟について

カルタの城

エリュシオンの野にて

アリストとポリフィル―形而上学的言葉づかい

小修道院にて


作家アナトール・フランスは思想的には懐疑主義の流れを継ぐ自由思想家といわれる.本書はその随想集.宇宙全体がはしばみの実くらいに縮んだとしても,人類はそれに気づくことはないだろうという「星」をはじめ,さまざまな題材を用いて洒脱にその人生観を述べている.芥川はこの書の影響を受けて『侏儒の言葉』を書いた.


試煉は万人にとってひとしくはない。

生まれたかと思うとすぐ死ぬ子供や、白痴や、狂人にとって、人生の試煉とは何であるか?

これらの反対意見にはすぐ答えられてきた。

今も常に答がなされているが、あれほどたびたび答を繰り返さなければならないところを見ると、答は非常に立派なものではないと思わなければならない。

人生は試験場のようなものではない。人生は、むしろ広大な陶器製作所に似ている。


ここでは何のためだかわからない用途のためにあらゆる種類の器が造られているが、それらの器のいくつかは、鋳型の中でこわれて、一度も使用されることなく、価値のない破片として投げ捨てられる。


そしてそれ以外の器は馬鹿げたことや嫌悪を催させるようなことにしか用いられない。こうした壺が、われわれである。



アナトール・フランス 

1844年4月16日 - 1924年10月12日

フランスの詩人・小説家・批評家。本名はジャック・アナトール・フランソワ・ティボー(フランス語: Jacques Anatole François Thibault)。パリ出身。アカデミー・フランセーズの会員を務め、ノーベル文学賞を受賞した。代表作は『シルヴェストル・ボナールの罪。【ウィキペディア】

posted by koinu at 13:00| 東京 ☀| 本棚 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする