2019年06月30日

筒井康隆【夢アンソロジー】2冊

筒井康隆編『夢探偵』光文社


夢を見ることは人間であることの条件。現代日本の傑作小説と貴重な日記17編とで夢のふしぎな力を探る。文学の前衛に立つ編者によるアンソロジー。「夢」を復権する傑作小説、日記17編。


【収録作品】

 お爺さんの玩具  内田百

 音楽論  清岡卓行 

 夢、覚え書  武田百合子 

 願望  星新一 

 阿波環状線の夢  安部公房 

 夢  澁澤龍彦 

 夢飛行  小泉八雲 

 法子と雲界  筒井康隆 

 鞄の中身  吉行淳之介 

 孤島夢  島尾敏雄 

 夢の殺人  石川淳 

 夢三態  八木義徳 

 夢の底から来た男  半村良 

 雀  色川武大 

 私の夢日記  横尾忠則 

 夢日記  正木ひろし 

 夢の検閲官  筒井康隆


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1989年に光文社から刊行された夢テーマのアンソロジーで、「〔光る話〕の花束」シリーズの第1巻。

編者の筒井康隆さんが「おれの大好きな作品である」という「夢の底から来た男」は、以前アンソロジーに入れることが出来なかったらしく全編掲載されている。創作だったり夢への考察であつたり、夢日記であったりするが、夢は抑圧された欲求や過去への憧憬など、精神の丸裸だったりするので、バラエティ過ぎてばらばらな書物になってしまう可能性がある。しかし「夢」への解剖と構成は「夢の検閲官」で試みられるように、手ばさき見事な俎板に乗せられて読者の席に運んで来られる。



光文社から1980年11月刊行されたこの前編となる、傑作というべきアンソロジーもあった。


『いかにして眠るか』筒井康隆・編


本書を、眠れぬ人、眠りたい人、睡眠に興味を持つ人、夢に興味を持つ人、寝ること(横たわる意味の)が好きな人に捧げる。編者自身も、なろうことなら一日中寝ていたい怠け者である。サラリーマン時代には、朝、起きることができず困った経験がある。さらに大学時代の卒業論文のテーマは夢であった。本書を編集する資格のある人間ではないかと思うがいかがであろうか。

さらにまた、眠れなくて困った経験も数多く持っている。ところで最近、その不眠症に対するこのような発言にしばしばお目にかかる。

「眠れなくて困る、などという人がいるが、人間は眠らずにいられるものではない。眠れなければ起きていればよろしい。そのうちに必ず眠くなる。無理に眠ろうとしなくてもよい」不眠に対する、なんたる無理解であろうか。この人はどのような生活をしているのであろう。もちろんぼくも含め、われわれが眠れなくて困る時は、翌朝に重大事をひかえているときである。だからこそ心配で眠れないのであって、無理に眠らなくてもいいのんびりした状態の時には、そもそも眠くなるなどという事態に遭遇したりはしない。
筒井康隆・編「いかにして眠るか」序文)


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【収録内容】

ベンチリー(訳:浅倉久志)「HOW TO SLEEP」

北畠美代「堀たゑ子様へ」

安部公房「睡眠誘導術」

星 新一「不眠症」

三木 卓「ねむる」

ヒルティ(訳:小池辰雄)「眠られぬ夜のために(序言)」

山口 瞳「睡眠」

筒井康隆「寝る方法」

モンテーニュ(訳:関根秀雄)「睡眠について(『随想録』より)」

島崎敏樹「意識のたそがれ」

井上光晴「木曽宿にて」

金子光晴「冬眠」

チェスタトン(訳:別宮貞徳)「ごろ寝の楽しみ」

サヴァラン(訳:関根秀雄・戸部松実)「眠りについて 食飼の休息睡眠および夢に及ぼす影響」

チェーホフ(訳:神西 清)「ねむい」

堀 辰雄「眠れる人」

生島治郎「ゆたかな眠りを」

デメント(訳:大熊輝雄)「夜明かしする人、眠る人〈第2章〉」


◆1988年/光文社文庫

図版収録された「HOW TO SLEEP」はDVD『マルクス兄弟・オペラは踊る』映像特典になって「眠る方法」という邦題で収録されて、映像を観ることができる。

posted by koinu at 08:28| 東京 ☔| 本棚 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする