2019年06月24日

天上の純粋な火に帰す

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「火も噴くが、同時に地震を起こし、農地に灰をまきちらして、都市や農村に壊滅的な打撃を与える火山活動は、人間生活にとってなるほどありがたいものではないかもしれない。しかしかりそめに安定した生活を破壊すると見えて、じつは高度の精神活動に向かって生活を変形するかけがえのない機会もまた、火山爆発は与えてくれる。古代地中海の人びとは二つの火を知っていた。ひとつは地下=冥府に閉じ込められた火であり、もうひとつは天上に燃える火である太陽だった。そもそもひとつの火=光であったものが二つに分割されて、一方は天上にのこり、一方は地中に閉じ込められ物質に囚われている。その地中の(汚された)火を物質の闇から解放して、天上の純粋な火にふたたび帰一せしめること。それが鍛冶師・錬金術師の究極の目的である。火山活動は自然界におけるそのモデルであった。」
種村季弘「みにくい神の話」(「CEL」 Vol.16 1991年 大阪ガスエネルギー・文化研究所)より
posted by koinu at 09:03| 東京 ☔| 観測 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする