人間が表情を見せてのは、顔や体をコントロールしている多くの筋肉の自律神経支配によるものであって、ポジティブな感情はいくつかの筋肉群をリラックスさせ、多くの顔の筋肉を自動的に引き上げる(眉や頬が上がるなどなどをして笑顔になる)。
そしてポジティブな出来事やものごとを始めさせたりそれらに近づけさせたりする傾向をもたらす。
ネガティブな感情は止めたり遠ざけたりするという反対の影響をもつ。いくつかの筋肉が緊張し、顔の筋肉のいくつかは下に引っ張られる(しかめっ面になる)。
感情状態のほとんどはポジティブなものとネガティブなものとが複雑に入り混じっていて、その喚起のレベルもさまざまであり、すぐ前の状態の名残りを引きずっている。
その結果としい生ずる表情は豊かで、情報に満ちている。そして真実味がある。
見せかけの情動はにせものだと分かる。私たちは自分をだまそうとするにせの企みを見分けることには長けている。だから、インターラクションする多くのコンピューターシステムの中で微笑んでいる、かわいらしいヘルパーや人工的な甘い声と感情をもつものには、役に立つというよりもイライラさせられてしまうのだ。
(第六章「情動をもつ機械」より)