2018年10月10日

白石かずこ心象世界

現実を描写するよりも、心象を言葉にして詩の世界が作られている。白石かずこ初期の作品はシュールレアリズムとビート詩の融合である。


「卵のふる街」 白石かずこ


青いレタスの淵で休んでると

卵がふってくる

安いの 高いの 固いたまごから ゆで卵まで

赤ん坊もふってくる

少年もふってくる

鼠も英雄も猿も キリギリスまで

街の教会の上や遊園地にふってきた


わたしは両手で受けていたのに

悲しみみたいにさらさらと抜けてゆき

こっけいなシルクハットが

高層建築の頭を劇的にした

植物の冷たい血管に卵はふってくる

何のために?


〈わたしは知らない 知らない 知らない〉

これはこの街の新聞の社説です



白石 かずこ(1931年2月27日 カナダ生まれ )詩人 翻訳家。バンクーバーから上京して、10代後半に北園克衛「VOU(バウ)」参加。昭和26年詩集「卵のふる街」、アメリカのビート詩やジャズの影響をうけて詩作する。46年「聖なる淫者の季節」でH氏賞。58年「砂族」で藤村記念歴程賞。平成9年「現れるものたちをして」で読売文学賞と高見順賞。「詩の風景・詩人の肖像」で読売文学賞随筆・紀行賞。


「今日のユリシーズ」。三十年前にある亡命詩人と出逢い、書かれた詩「中国のユリシーズ」は改題され、詩人の声をとおして蘇る。
posted by koinu at 09:00| 東京 ☀| 本棚 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする