2018年06月09日

ぼくはきっとうそをつくだろう


うそ  谷川俊太郎


ぼくはきっとうそをつくだろう

おかあさんはうそをつくなというけど

おかあさんもうそをついたことがあって

うそはくるしいとしっているから

そういうんだとおもう

いっていることはうそでも

うそをつくきもちはほんとうなんだ

うそでしかいえないほんとのことがある

いぬだってもしくちがきけたら

うそをつくんじゃないかしら

うそをついてもうそがばれても

ぼくはあやまらない

あやまってすむようなうそはつかない

だれもしらなくてもじぶんはしっているから

ぼくはうそといっしょにいきていく

どうしてもうそがつけなくなるまで

いつもほんとにあこがれながら

ぼくはなんどもなんどもうそをつくだろう



谷川俊太郎詩集「はだか」より
posted by koinu at 19:00| 東京 ☀| 本棚 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする