2009年07月04日

オルペウス Orpheus

ギリシア神話に登場する吟遊詩人であり、古代に隆盛した密儀教であるオルペウス教の始祖とされる。日本語では、オルフェウス、時にフランス語での発音の影響から、オルフェとも表記される。


アポロドーロスによれば、ムーサイのひとりカリオペーとオイアグロスの子として、ただし名義上の父親はアポローン神として、オルペウスは生まれたとされる。またオルペウスの父はトラーキア王であったともされ、グレイヴズはオイアグロスをトラーキア王としている。竪琴の技はアポローンより伝授されたともいう。その技は非常に巧みで、彼が竪琴を弾くと、森の動物たちが集まって耳を傾けたといわれる。



オルペウスの頭部オルペウスの妻エウリュディケーが毒蛇にかまれて死んだとき、オルペウスは妻を取り戻すために冥府に入った。彼の弾く竪琴の哀切な音色の前に、ステュクスの渡し守カローンも、冥界の番犬ケルベロスもおとなしくなり、冥界の人々は魅了され、みな涙を流して聴き入った。ついにオルペウスは冥界の王ハーデースとその妃ペルセポネの王座の前に立ち、竪琴を奏でてエウリュディケーの返還を求めた。オルペウスの悲しい琴の音に涙を流すペルセポネに説得され、ハーデースは、「冥界から抜け出すまでの間、決して後ろを振り返ってはならない」という条件を付け、エウリュディケーをオルペウスの後ろに従わせて送った。目の前に光が見え、冥界からあと少しで抜け出すというところで、不安に駆られたオルペウスは後ろを振り向き、妻の姿を見たが、それが最後の別れとなった。



オルペウスは、イアーソーン率いるアルゴー船探検隊(アルゴナウタイ)にもヘーラクレースらとともに加わった。人間を歌で誘惑し殺害する女魔物セイレーンに歌合戦を挑み一座を鼓舞、無事に海峡を渡った。このとき、ただ1人テレオーンの子ブーテースのみが誘惑に負けて命の危機に陥ったが、アプロディーテーが彼を奪ってリリュバイオンに住ませた。

妻を失ったオルペウスは女性との愛を絶ち、オルペウス教を広め始めた。ディオニューソスがトラーキアに訪れたとき、オルペウスは新しい神を敬わず、ただヘーリオスの神(オルペウスは、この神をアポローンと呼んでいた)がもっとも偉大な神だと述べていた。これに怒ったディオニューソスは、マケドニアのデーイオンで、マイナス(狂乱する女)たちにオルペウスを襲わせ、マイナスたちはオルペウスを八つ裂きにして殺した。

マイナスたちはオルペウスの首をヘブロス河に投げ込んだ。しかし首は、歌を歌いながら河を流れくだって海に出、レスボス島まで流れ着いた。オルペウスの竪琴も、レスボス島に流れ着いた。島人はオルペウスの死を深く悼み、墓を築いて詩人を葬った。以来、レスボス島はオルペウスの加護によって多くの文人を輩出することとなった。また、彼の竪琴は天に挙げられ、琴座となった。

(Wikipedia)





オルペウス教(Orphism、Orphicism)

古代ギリシャ世界における密儀教。冥界(ハーデース)を往還した伝説的な詩人オルペウスを開祖と見なしている。 また、冬ごとに冥界に降り、春になると地上に戻るペルセポネー、同じく冥界を往還したディオニューソスもしくはバッコスも崇拝された。
エレウシスの秘儀と同じく、 オルペウス教は来世における優位を約束した。

人間の霊魂は神性および不死性を有するにも関わらず、輪廻転生(悲しみの輪)により肉体的生を繰り返す運命を負わされている、という教義。
「悲しみの輪」からの最終的な解脱、そして神々との交感を目的として、秘儀的な通過儀礼(入信儀式)および禁欲的道徳律を定めていた点。
生前に犯した特定の罪に対し、死後の罰則を警告した点。
教義が、神と人類の起源に関する神聖な書物に基づいている点。


オルペウスによるものとされる神話はヘシオドスの『神統記』に範をとる系譜的な神話詩によって語られていたようである。この神話は近東諸国の神話の影響を受けた可能性もある。オルフェウス教に特徴的な人間の本質の起源を語る物語は以下のとおりである。: ゼウスとペルセポネの息子であり、かつザグレウスの霊魂の顕身であるディオニューソスは、ティーターン族により殺害され、その身を茹でられた。だが、ヘルメースがザグレウスの心臓を奪いかえし、怒ったゼウスがティーターン族に稲妻を浴びせかけた。 その結果、ディオニューソスの体の灰とティーターンの体の灰が混じりあい、その灰から罪深き「人類」が生まれた。そのため、ディオニーソス的要素から発する霊魂が神性を有するにも関わらず、 ティーターン的素質から発した肉体が霊魂を拘束することとなった。すなわち、人間の霊魂は「再生の輪廻(因果応報の車輪)」に縛られた人生へと繰り返し引き戻されるのである。

ディオニューソスの心臓は一時、ゼウスの脚に縫い込まれた。その後ゼウスは、死を免れえない人間の女性であるセメレの母胎に、生まれ変わったディオニューソスを宿させることとした。これらの物語にまつわる多くの詳細が、以下の古典文献にて散発的に引用言及されている。

『プロトゴノス神統記』(約紀元前500年頃成立。散逸)。デルヴェニ・パピルスにその影響が見出しうる。
『エウデモス神統記』(紀元前5世紀に成立。散逸)。バッコス信仰およびクーレーテス信仰を混合した文献。
『ラプソディーズ(Rhapsodic Theogony)』(ヘレニズム時代に成立。それ以前の詩編も収録。散逸)。後世のネオプラトニズムの学者による概要を通して知られる。
オルペウス賛歌。 後期ヘレニズム時代もしくは初期ローマ帝国時代の作品より短い、六歩格の詩87編。

終末論
近年発見された黄金版や骨製のタブレットに記された碑文からディオニューソスの死と蘇生にまつわるオルペウス神話と、来世における祝福への信仰との関連性が読み取られる。オルビアで発見された骨製のタブレット(紀元前5世紀) には、以下のような短く謎めいた銘文が刻まれている。「生、死、生、真実、ディオ(ニューソス)、オルペウス」。 これら骨製のタブレットの用途はまだ解明されていない。



トリオイ(テュリ、Thurii)、ヒッポニウム(現在のヴィボ・ヴァレンツィア)、テッサリアおよびクレタ島の墳墓から発見された黄金版(最古のものは紀元前4世紀)には、以下のような死者への教えが記されている。

冥界に降りたとき、レテの水(忘却)ではなく、ムネーモシュネーの泉の水 (記憶)を飲むように気をつけなくてはならない。そして、番人に次のように告げなくてはならない。「私は大地と星空の息子です。喉が乾いたので、ムネーモシュネーの泉から何か飲むものを私にください。」
さらに、他の黄金版にはこう書かれている。

さあ、今や貴方は死んだ。そして、三度祝福される今日、生誕した。ペルセポネーに告げよ。まさしくバックス自らが、あなたを救済したのだ、と。

ピュタゴラス教団との関連
オルペウス教の教義および儀礼には、 ピュタゴラス教団のものとの類似点が見られる。 しかし、一方がもう一方にどれほどの影響を与えたかを断言するには、史料はいまだ少ない。

(Wikipedia)
posted by koinu at 13:04| 東京 霧| 自然 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする