輸入が滞り、喫茶店での在庫切れが心配されるモカの豆
すっきりした酸味で国内でも人気の高いコーヒー豆「モカ」の販売を休止するコーヒー業者が相次いでいる。輸入の98%以上を頼っているエチオピア産から基準値以上の残留農薬が検出され、厚生労働省が事実上、輸入にストップをかけている。再開のめどはたっておらず、喫茶店やスーパーの店頭などからモカが今後、姿を消す可能性もある。また、「ブレンドコーヒーの味が変わってしまう」と困惑する声も上がっている。
業界トップのUCC上島珈琲(神戸市)は今月中旬、モカを使った業務用商品の販売を停止し、ブレンドコーヒーの一部もモカ以外の豆で代替し始めた。また、喫茶店チェーン「珈琲館」(東京)は17日からモカのネット販売を休止した。 発端は、4月下旬、エチオピア産コーヒー生豆から基準値を超える殺虫剤成分の検出が続いたこと。健康に影響を及ぼす値ではなかったが、原因が豆か、豆を入れる麻袋に付着していたのか特定できず、厚労省は5月9日から検査を強化した。
販売業者や商社などでつくる全日本コーヒー協会(東京都)は6月、現地に調査団を派遣。麻袋から残留農薬を検出したものの、原因は特定できなかった。エチオピア側は「日本は細かすぎる。他の国は何も言ってこない」などと主張。厚労省は「エチオピア政府が原因究明や検査の充実に努めない限り、日本側も対応のしようがない」として、輸入を停止させたままだ。
モカは、ブレンドコーヒーの定番品目だけに、業界関係者や愛好者は「ブレンドの味が変わる」と戸惑う。UCCは「モカの風味に似た代替の豆を喫茶店などに提案している。安全性が確認されるまでモカを使うわけにはいかない」と話す。 喫茶店「アラビヤコーヒー」(大阪市中央区)を経営する高坂明郎さん(52)は、「モカの在庫はあと1、2カ月。このまま入荷できなければ、モカを提供できなくなる」とあきらめ顔だ。(毎日新聞 - 07月20日)
◇モカ Mokha, Mocha エチオピアとイエメンで生産されたコーヒー生豆のこと。苦味が少ないが酸味が強く、フルーティーな香りが特徴とされる。コーヒー生豆の全輸入量(07年)は約38万9000トンで、エチオピアからは約2万9000トン。国別では、1位がブラジル、2位がコロンビアで、エチオピアは5位。
モカ (Al Mukha,)アル・ムハはイエメン共和国の港町である。アラビア半島南西端にあり、紅海に面している。イエメン共和国の首都サヌアの外港で、かつてコーヒーの積出港として栄えた。コーヒーノキの原産地はエチオピアであるが、これを世界に広めたのはアラビア半島の商人達で、モカはコーヒー発祥の地とされている。そのためモカはコーヒーの代名詞として使われることもある。
モカコーヒー (Mokha coffee, Mocha coffee)あるいは単にモカ とは、イエメンの首都サヌアの外港であるモカから積み出されたコーヒー豆を総称するブランド。 かつてモカの港からは、イエメン産のコーヒー豆の他、対岸のエチオピア産のものも一緒に輸出されたため、両国産のものを合わせて「モカ」と呼んでいる。
[イエメン産とエチオピア産]
イエメン産のコーヒー豆は特に「モカ・マタリ」 (Mokha Mattari) ともいい、イエメン北西部の高地産である。さわやかな香りと強い酸味のある味わいで、かつて「コーヒールンバ」に唄われていたためか、日本でも人気が高い。「No.9」というのが、欠点豆のほとんどない優良品である。
エチオピア産は、シダモ (Sidamo)、ハラー (Harrah)、ディマ、レケンプティなど、地区名をつけて販売されることが多い。苦みが少ない代わりに酸味が非常に強く、フルーティーな香りがある。
モカコーヒーは、フルーティーなアロマと、強い酸味が特長で、比較的高価なモカ・マタリはストレートで飲まれることが多いが、エチオピア産は、ブラジルなど苦みの強い豆とブレンドされることが多い。特に苦みの強い、ジャワ産のロブスタとのブレンドは、モカジャバとして親しまれている。
[日本での「モカ」と文化]
音楽
「コーヒールンバ」(歌:西田佐知子、1961年発売)
「一杯のコーヒーから」(歌:霧島昇、1939年発売)
「喫茶店の片隅で」(歌:松島詩子、1951年発売、1960年再発売)
色
焙煎したコーヒー豆のような、赤みを帯びた焦げ茶色をモカと言うこともある。
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