先月、ロニー・ウッドはミック・ジャガーやキース・リチャーズと共にロンドンのハックニー・エンパイアで記者会見を開いて、新作をリリースすることを発表している。同時にリード・シングル“Angry”も公開され、ミュージック・ビデオは『ユーフォリア』への出演で知られるシドニー・スウィーニーが主演しており、フォード・マスタングのオープン・カーでウエスト・ハリウッドをドライヴするものとなっている。アルバムには12曲が収録されて、10月20日にリリースされる。
今回の新プロジェクトにザ・ローリング・ストーンズは大御所ミュージシャンを迎えており、レディー・ガガとスティーヴィー・ワンダーが“Sweet Sounds Of Heaven”に参加しているほか、ポール・マッカートニーはパンク・ロック・ナンバーの“Bite My Head Off”でベースを弾いている。1993年に脱退したオリジナル・ベーシストのビル・ワイマンは“Live By The Sword”に参加しており、エルトン・ジョンは“Get Close”と“Live by the Sword”にピアノで参加している。
2021年に短い闘病生活の末に亡くなったチャーリー・ワッツは“Mess It Up”と“Live by the Sword”に生前叩いたドラムが参加している。チャーリー・ワッツに後任として選ばれたスティーヴ・ジョーダンは残りの曲でドラムを担当している。
2人のドラムの違いについてロニー・ウッドは次のように語っている。「それを語るのに一番いいやり方を知っているよ。チャーリー・ワッツは手数で花火を打ち上げていく感じなんだけど、スティーヴ・ジョーダンは爆弾が爆発する感じなんだ。アルバムを完成させるのはもう一押しが必要だったんだ」
――こんにちは、ロニー。チャーリー・ワッツが亡くなってから初めてのアルバムです。彼の存在をスタジオで感じることはありましたか?
「ああ、ずっとそうだった。自分は亡くなる前にロンドンの病院でチャーリーに会った最後の人物の一人だった。彼は『この忌まわしい場所を出たいけれど、それまではスティーヴ・ジョーダンに旗を渡してもらえないか?』と言っていた。『心配しないで。全部やっておくから』と言ったら、『分かった。(イタリア人ジョッキーの)フランキー・デットーリをテレビで観るから出て行ってくれ』と彼は言っていた。競馬がチャーリーは大好きだったからね」
――“Live By The Sword”ではチャーリー・ワッツとビル・ワイマンというオリジナルのリズム隊が復活していますね。
「プロデューサーのアンドリュー・ワットのアイディアだったんだ。チャーリーのドラム・トラックがあったからね。ビル・ワイマンが弾いてくれた時は自分たちの誰もいなかったんだけど、アンドリュー・ワットによれば、彼と一緒にやれて楽しかったと言っていたよ。彼がビル・ワイマンのためにスタジオの戸締まりをやってくれたんだ」
――“Sweet Sounds Of Heaven”でレディー・ガガとスティーヴィー・ワンダーと一緒にやったのはどうでした?
「彼女は床に座って、ミックと一緒に歌っていた。無造作な感じだったけど、ミックは『いいサウンドだ。やってみたいかい?』と言って、『ぜひ』と彼女が答えたから、『じゃあ、やってみよう。立ち上がって、一緒にやってみよう』とミックが言ったんだ。形になっていくのを見るのはすごく充実した体験だった」
――“Bite My Head Off”に参加したポール・マッカートニーはどうでした?
「スクールボーイだね。彼は喜んでいた。実際には2曲で弾いてくれたんだけど、1曲はもっとリリースしていくために取ってあるんだ。というのも、僕らは23曲をレコーディングしたんだけど、そこから12曲しか選んでいないからね」
――次のアルバムが出るまでは、また18年かかるんでしょうか?
「そんなに長くはかからないと思うよ」
――他の曲はどんなサウンドですか?
「ザ・ローリング・ストーンズの曲というのは進化していくんだけど、最初に曲をやった時のエッセンスがあるかどうかが重要なんだ。ちょっと気乗りしない曲というのもあったけど、でも、もう一度見てみる必要があるんだ。それがいい音楽を作る方法なんだ。粘土みたいにこねていくんだ。ミケランジェロのように大理石から車を作るんだよ」
――ライヴでは新曲を何曲ぐらい演奏しますか?
「それが次のことだね。来週、ライヴにどう変換していくかを見てみる予定なんだ。全幅の信頼を置いている。アルバム全編をやることもできるだろうけど、ミックとキースは『ロン、それはやり過ぎだ』と言うだろうね。俺たちはバックカタログを忘れることはない。“Paint It, Black”、“(I Can’t Get No) Satisfaction”はやらなきゃいけない曲だしね。そうなると、3曲から5曲くらいしか余裕がないかもね」
――グラストンベリー・フェスティバルはどうですか? もう一度ヘッドライナーを務めることはありますか?
「自分はやりたいね。絶対だよね。来年じゃなくても……ザ・ローリング・ストーンズじゃなかったら、フェセズかな。ロッド・スチュワート、ケニー・ジョーンズとね。不可能というわけじゃない。彼らがやりたがっているのは知っているからね」
――最近のミックとキースは仲良くやっていますか?
「これまででも一番仲がいいんじゃないかな。自分の努力が報われたのは素晴らしいことだね」
――あなたはザ・ローリング・ストーンズの世話役を務めてきましたよね。
「80年代、90年代にすべてが崩壊してもおかしくない時、『この集まりを崩壊させるわけにはいかない。あなたたちが元に戻って、話し合って、解決するんだ』と言ったよ。そして、実際にそうしてくれて、それは今も続いている。いまだにいがみ合ったりもしているけど、それは愛のある形で、クリエイティヴなものなんだ」
――ザ・ローリング・ストーンズの伝記映画の可能性はあるでしょうか?
「長年にわたって話はあるよね。様々なアプローチがあった。常にそのことについてはオリジナル・メンバーに任せてきた。口出しするつもりはない。ミックとキースに話してもらうよ」
――ミック・ジャガー役にハリー・スタイルズがいいのではないか?という話もあるのですが。
「彼には俺を演じてほしいね。ハリー・スタイルズは友人なんだ。彼にはきらめきはあると思うけど、昔のミックにあった生意気さは誰も持っていないと思うんだよね。いまだにそういう部分はあるしね。彼は自信満々なんだ」
――ロックンロールの灯火を継いでくれる若いバンドはいますか?
「長い間、バンドのライヴを観ていないんだけど、多くの人が言ってくるのはザ・1975だね。アークティック・モンキーズが頑張っているのも知っている。彼らは常にグラストンベリー・フェスティバルに出ているよね。チェックするべき音楽はたくさんあるし、僕らのようにもっとライヴをやってくれたらと思うね」