2021年08月04日

松村謙三『三代回顧録』小山書店

松村謙三没後50年 遺墨集と訪中記録 記念会館が発刊

日中国交回復に尽力した旧福光町(現南砺市)出身の政治家、松村謙三(一八八三〜一九七一年)の没後五十年を記念し、市松村記念会館は近く、砺波地域に残る松村の書をまとめた「松村謙三遺墨集」と、十回の訪中を解説した「山高水長 松村謙三と中国」を発刊する。松村の自伝を復刊した「三代回顧録復刻版」や過去に発行された松村関連の書籍二種類とあわせて、八月十日まで申し込みを受け付ける。


 遺墨集は、二〇一八年以降に調査した砺波地域の小中高校、福光地域の公民館や公共施設などに残る松村の書二百十点の写真集。松村は文相だっただけに学校には砺波、小矢部市も含め六十五点あった。A4判七十四ページ。

 「山高水長」は、早稲田大の学生時代から晩年まで、戦前五回、戦後五回の訪中について、松村の書き残した文書や新聞記事からまとめた。戦後は国交回復に向け動いたことが分かる。A4判約百七十ページ。

 回顧録復刻版は税込み三千円、ほかは各二千円、五冊一組で一万円(二百組限定)の割引価格で販売する。八月二十二日に市福光福祉会館で開く没後五十年記念フォーラムで渡す。送料は千円。(問)市福光福祉会館・松村記念会館0763(52)3022 (松村裕子)

【中日新聞】より


日本大百科全書(ニッポニカ)「松村謙三」の解説

松村謙三 まつむらけんぞう

18831971

政治家。富山県福光町(現、南砺市)出身。早稲田大学を卒業、『報知新聞』記者、富山県県会議員を経て、1928年(昭和3)の第1回普通選挙で衆議院議員に当選、以後19461951年(昭和2126)の公職追放期間を除いて、1969年に第一線を引退するまで連続当選。戦後、東久邇稔彦(ひがしくになるひこ)内閣の厚相兼文相、幣原喜重郎(しではらきじゅうろう)内閣の農相に就任、第一次農地改革を推進した。追放解除後は吉田茂の官僚政治に対抗、1955年の保守合同には「野合」として反対、1959年自民党総裁選では岸信介と対決するなど、清廉な、ほねのある保守政治家であった。改進党幹事長、鳩山一郎内閣文相を歴任。1959年の訪中以来、一貫して日中友好に努力、両国のパイプ役として貴重な存在であった。

『松村謙三著『三代回顧録』(1964・東洋経済新報社)』『田川誠一著『松村謙三と中国』(1972・読売新聞社)』『木村時夫編著『松村謙三』伝記編上下、資料編(1999・桜田会)』

[参照項目] | 日中関係 | 農地改革


松村謙三『三代回顧録』小山書店

戦後の混乱期から自民党創成期にかけて厚相、文相、農相などを務め、1959年には自民党総裁選にも立候補した保守政治家・松村謙三の自伝『三代回顧録』(東洋経済新報社、1964)の復刊。 

党人派"の面目躍如


【著者】松村謙三(まつむら・けんぞう

1883(明治16)年、富山県生まれ。 

早稲田大学政治経済学科卒業後、報知新聞社入社。1917年に福光町会議員、1919年に県会議員となり、1928年に第16回衆議院議員総選挙(1回普通選挙)で当選。 

戦前は立憲民政党に所属して衆議院選挙で連続6回当選。戦後は、戦後いったん公職追放になるものの、追放解除後に改進党から自由民主党に所属して衆議院選挙で連続7回当選、合計13回の当選を果たした。 

厚生大臣、農林大臣、文部大臣を歴任。1971821日、88歳で逝去。 


【編者】武田知己(たけだ・ともき

大東文化大学法学部教授。2000年東京都立大学大学院社会科学研究科博士課程中途退学、博士(政治学

〔主要業績〕 

『重光葵と戦後政治』(吉川弘文館、2002)、『日本政党史』(共編、吉川弘文館、2011)など。


松村老は、いまの日本の政治家のなかで、最も保守主義者らしい保守主義者だといってよかろう。保守主義者というのは、単なる反動主義者でもなければ、偏狭的な過激主義者でもない。過去の良いものをできるだけ守りながら、変転する未来へ対処してゆくことが、保守主義者の本領だといってもよい。松村翁の80年に及ぶ人生、明治・大正・昭和の三代におよぶ政治活動が、この本では実に淡々として語られている。保守主義者というのは、こういう人間だという証明のような語り方だ。この本では妙に肩を張ったり、誇張したところなど全くない。まことにこの人の人柄と思想のにじみ出たような回顧録であり、読んでいて楽しいのだ。

藤原弘達「淡々とした側面史 松村謙三『三代回顧録』」『日本経済新聞』昭和39921日付

https://www.sakuradakai.jp/『三代回顧録』の世界(1)『三代回顧録』の刊/

posted by koinu at 08:00| 東京 ☀| 本棚 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする