2021年02月07日

『アメリカ短編ベスト10』平石貴樹

アメリカ小説の魅力がぎっしり詰まった短編小説集。

「アメリカ人のいろいろな生活、いろいろな考えかたを、まずは楽しんでもらいたい」という主旨のもとベスト10作品をアメリカ文学研究の泰斗で本格推理小説作家・平石貴樹が厳選し翻訳した。氏、初の編訳アンソロジー。

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【内容】

1 エドガー・アラン・ポー「ヴァルデマー氏の症例の真相」

2 ハーマン・メルヴィル「バートルビー」

3 セアラ・オーン・ジュエット「ウィリアムの結婚式」

4 イーディス・ウォートン「ローマ熱」

5 ジャック・ロンドン「火をおこす」

6 ウィリアム・フォークナー「あの夕陽」

7 アーネスト・ヘミングウェイ「何かの終わり」

8 バーナード・マラマッド「殺し屋であるわが子よ」

9 ジェイムズ・ボールドウィン「サニーのブルース」 

10 レイモンド・カーヴァー「シェフの家」

次 リチャード・ブローティガン「東オレゴンの郵便局」

あとがき

松柏社 (2016/6/8)


小説家・平石貴樹ならではのセレクションと名訳でお届けする珠玉のアンソロジーとなっている。


エドガー・アラン・ポー「ヴァルデマー氏の病状の真相」

催眠術の研究をしていた男は、かねてより「死に行く人に対する催眠術の効果」について調査をしたいと考えていた。今まさに死につつある人には催眠術はかかるのか、かかりかたはどうなのか。

そんな彼の疑問に長患いの末死期が近いヴァルデマー氏が協力を申し出てくれた。今まさに臨終と言う時に男がかけた催眠術の影響で、ヴァルデマー氏は

 


ハーマン・メルヴィル「バートルビー」

法律家の男は代書人としてバートルビーという男を雇い入れる。問題だらけの他の従業員と比べ、バートルビーは黙々とたくさんの仕事をこなす能力を持っていた。

しかしバートルビーは、代書以外の仕事はどんな些細な雑用でも「しない方がありがたいのですが」と繰り返すばかりで何もしようとしない。そのやんわりとした拒絶は徐々に拡大し、やがて代書の仕事さえしなくなりだす。


セアラ・オーン・ジュエット「ウィリアムの結婚式」

久しぶりに田舎に戻った女性は、旧友の女性を訪ねる。そこで遠くで働く彼女の息子ウィリアムが帰省して、結婚式を挙げると知る。村はその噂でウキウキとわきたっていた。


イーディス・ウォートン「ローマ熱」

幼馴染の未亡人二人が、お互いの娘を連れてローマへと旅行に来た。娘たちが出かけたあとに、二人はかつて娘時代にローマへと来た時の思い出話を始める。そしてかつての悪意と裏切りが、今になって暴かれてゆくのだった。


ジャック・ロンドン「火をおこす」

極寒の山中に、男は犬を連れて一人で調査に出かけた。仲間の待つキャンプ地へと戻るところ、とてつもない寒さの中、川の氷を踏み抜いて足を濡らしてしまった。命を守るために火を起こして濡れた体を温めようとするのだったが。


ウィリアム・フォークナー「あの夕陽」

まだ幼い白人の少年。父が所有する黒人奴隷の女性は、失踪した内縁の夫である黒人奴隷が自分を襲うために隠れていると信じている。

少年は彼女に懐いているが、そんな妄想のような考えを持っているのに不安を抱いていた。


アーネスト・ヘミングウェイ「何かの終わり」

河原に釣りに来たふたり男女。いつも通り振る舞う女性に対して、男性は妙に心沈んでいるのだった。


バーナード・マラマッド「殺し屋であるわが子よ」

仕事もせず引きこもり、ただ街を徘徊する息子。心配する父は何をしてやればいいのかもわからず、ただ息子の後を追いかけている。


ジェイムズ・ボールドウィン「サニーのブルース」

教師である黒人青年は弟のサニーを心配していた。サニーは過去問題を起こし、刑務所に入っていた過去がある。出所後何をしているかもわからないサニーがバンドでピアノを弾くと呼ばれて、青年は弟を見守りに行く。


レイモンド・カーヴァー「シェフの家」

アルコール依存症の夫と離婚した女性。入院した元夫が友人のシェフの家をただ同然で借り、自分とやり直したがっていると聞く。現在の恋人と別れ、元夫を支えるためその家に行き、彼を支えることにする。

今までにないほど穏やかで満ち足りた生活を送る二人のもとに、家主のシェフから連絡があったのだが。


平石貴樹 1948年、北海道函館生まれ。アメリカ文学者、作家。東京大学名誉教授。斬新な切り口と強烈な筆致で読者未体験の世界を切り拓き話題を呼んだ『アメリカ文学史』(小社刊) 1983年すばる文学賞受賞作『虹のカマクーラ』、最近では『松谷警部と目黒の雨』『松谷警部と三鷹の石』 『松谷警部と三ノ輪の鏡』(東京創元文庫)を発表し作家として活躍する。

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『フォークナー短編集』ウィリアム・フォークナー著 (新潮社)

ノーベル賞作家が捉えた嫉妬、怒り、嘘――。ヘミングウェイと並び称される20世紀アメリカ文学の巨匠が映し出す、8つの物語。

ミシシッピー州に生れ、アメリカ南部の退廃した生活や暴力的犯罪の現実を斬新で独特な手法で描き、20世紀最大のアメリカ文学者に数えられるノーベル賞作家フォークナーの作品集。大人の悪の世界と子供の無邪気な世界を描いた「あの夕陽」をはじめ、黒人リンチ事件と老嬢の心境を捉えた「乾燥の九月」、南部人の中にくすぶる復讐心を扱った「納屋は燃える」など珠玉の8編を収録。

【目次】
嫉妬(Jealousy)
赤い葉(Red Leaves)
エミリーにバラを(A Rose for Emily)
あの夕陽(That Evening Sun)
乾燥の九月(Dry September)
孫むすめ(Wash)
バーベナの匂い(An Odor of Verbena)
納屋は燃える(Barn Burning)
解説 龍口直太郎/訳
《新潮文庫649円(税込)》

「想像力と数100円」
アメリカンな軽量嗜好な思考になる前に、想像力と数100円が可能となる文庫読書。頭が悪くなるような音楽を聴いている場合じゃない事態が続いている。
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『Sモームが薦めた米国短篇』小牟田康彦 編訳

名作の案内人としても名高いサマセット・モームがアメリカの大都市以外に住む、手軽に文学書が手に入らない読者のために選んだ20世紀初頭の英米短篇46篇から米国作家の6篇を厳選して新訳。

 【目次】

「贈り物」ジョン・スタインベック

「再訪のバビロン」F・スコット・フィッツジェラルド

「フランシス・マカンバーの短い幸せな生涯」アーネスト・ヘミングウェイ

「エミリーに一輪のバラを」ウイリアム・フォークナー

「詩は金になる」コンラード・バーコヴィッチ

「ローマ熱」イーディス・ウォートン

編訳者 あとがき


四六判上製256頁 2,500(税別)

ISBN978-4-89642-538-3 C0097


このところアメリカの短編小説がさまざまに、乱反射して面白く読んだりします。


「キリスト教を教会という場所や制度に閉じ込めることをやめ、個人の手に『霊性』を開放したために、アメリカの近代文学は、日本やイギリスのように、徹底的な世俗化をともないながら展開することはなく、「身近なもの」への注目が、そのまま『霊的なもの』への関心や思索を導くような、超越的な文学、アレゴリーやら象徴主義やらを招きよせやすい、いわば『前近代の香りの高い』文学を、産み出すことになった。」

平石貴樹『アメリカ文学史』より。

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