2021年01月21日

ポストコロナ期を生きるきみたちへ (犀の教室)

コロナ・パンデミックによって世界は変わった。グローバル資本主義の神話は崩れ、医療や教育などを「商品」として扱ってはならないことがはっきりし、一握りの超富裕層の一方で命を賭して人々の生活を支える多くのエッセンシャルワーカーが貧困にあえぐ構図が明らかとなった。私たちは今、この矛盾に満ちた世界をどうするかの分岐点にいる。この「歴史的転換点」以後を生きる中高生たちに向けて、5つの世代20名の識者が伝える「生き延びるための知恵」の数々。知的刺激と希望に満ちたメッセージ集。 

こんなに誠実な大人たちから、地球を引き継げるワクワクをあなたへ。 
──山邊鈴(長崎県立諫早高校3年/「この割れ切った世界の片隅で」作者) 

「ウイルス一つによって、わずか数ヵ月の間に、ほんの昨日までこの世界の「常識」だと思われていたことのいくつかが無効を宣告されました。それがどのような歴史的な意味を持つことになるのか、人々はまだそのことを主題的には考え始めてはいません。日々の生活に追われて、そんな根源的なことを考える暇がありませんから。でも、中高生たちはこの「歴史的転換点」以後の世界を、これから長く生きなければなりません。彼らに「生き延びるために」有益な知見や情報を伝えることは年長者の義務のひとつだと僕は思います」(まえがきより) 

9F3D1308-2792-42CD-A9D6-D28924CCC427.jpeg
【目次】 
まえがき 内田樹 

■1 Letters from around 30 
ポストコロナにやってくるのは気候危機 斎藤幸平 
楽しい生活──僕らのVita Activa 青木真兵 
これからの反乱ライフ えらいてんちょう 

■2 Letters from over 40 
君がノートに書きつけた一編の詩が芸術であること 後藤正文 
技術と社会──考えるきっかけとしての新型コロナ危機 白井聡 
「タテ、ヨコ、算数」の世界の見方 岩田健太郎 
支援の現場から考える、コロナ後の世界 雨宮処凛 
「大学の学び」とは何か──「人生すべてがコンテンツ」を越えて 増田聡 

■3 Letters from over 50 
コロナで明らかになった日本の最も弱い部分──対話・エンパシー・HOME 平田オリザ 
コロナ禍と人間──私たちはどう生きるのか 想田和弘 
台風とコロナ・パンデミックは同じか? 俞炳匡 
図太く、しぶとく、生きてゆけ──誰も正解を知らない問題にどう答えを出すか 山崎雅弘 

■4 Letters from over 60 
医療が無料であること 三砂ちづる 
人生100年時代、ポストコロナはダブルメジャーで 仲野徹 
メメント・モリ──思いがけない出会いに開かれているために 中田考 
ディレンマの知性 釈徹宗 

■5 Letters from over 70 
ポストコロナ期における雇用について 内田樹 
自分に固有の問題を考えること 池田清彦 
コロナと価値のものさし 平川克美 
マスクについて 鷲田清一

《著者について》
内田樹(うちだ・たつる) 1950年生まれ。武道家・思想家。凱風館館長。 

斎藤幸平(さいとう・こうへい) 1987年生まれ。経済思想。 

青木真兵(あおき・しんぺい) 1983年生まれ。人文系私設図書館「ルチャ・リブロ」キュレーター。 

えらいてんちょう/矢内東紀(やうち・はるき) 1990年生まれ。起業家・作家。 

後藤正文(ごとう・まさふみ) 1976年生まれ。ミュージシャン。

内田樹 
1950年生まれ。東京大学文学部仏文科卒業。東京都立大学大学院博士課程中退。凱風館館長。神戸女学院大学文学部名誉教授。専門はフランス現代思想、映画論、武道論。著書多数。『私家版・ユダヤ文化論』(文春新書)で第6回小林秀雄賞、『日本辺境論』(新潮新書)で新書大賞2010受賞。第3回伊丹十三賞受賞。
posted by koinu at 19:00| 東京 ☀| 本棚 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

『ブルシット・ジョブ(クソどうでもいい仕事)の理論』

世に蔓延る「ブルシット・ジョブ」の存在を明らかにすると共に、人類学的見地から「仕事」そのものを捉えなおした刺激的な書物である。

「本人でさえ正当化できないくらい完全に無意味・不必要で有害でもある有償の雇用の形態であるが、本人はそうではないと取り繕わなければならないように感じている仕事」


・ブルシット・ジョブの種類

1 フランキー(取り巻き)の仕事

だれかを偉そうに見せるだけの仕事。ドアマンやお飾りのアシスタントなど。

2 グーン(脅し屋)の仕事

他人を操ろうとしたり脅しをかけたりする仕事。ロビイストや企業の顧問弁護士、コールセンターの従業員や、他人を不安にさせた後に商品を売り込むようなマーケターなど。

3 ダクト・テーパー(尻ぬぐい)の仕事

組織に欠陥が存在するために、その欠陥を解決するためだけにある仕事。一部のソフトウェア開発者など、その気になれば簡単なシステムの見直しで解決できる問題を場当たり的に解決するためだけに雇われた人。

4 ボックス・ティッカー(書類穴埋め人)の仕事

ある組織が実際にはやってないことをやってると主張するための書類を作るだけの仕事。誰も読まないプレゼン資料や報告書などの書類を作ることに業務の大半を割かれるオフィスワーカーなど。

5 タスクマスター(ブルシット・ジョブ量産人)の仕事

もっぱら他人へ仕事を振り分けるだけの仕事。また、ブルシットな業務をつくったり、ブルシット・ジョブを監督する仕事。一部の中間管理職など。


『ブルシット・ジョブ(クソどうでもいい仕事)の理論』David Graeber(岩波書店)より


153DB917-F7CD-454B-ABB7-5FF09296267F.jpeg

意味のない仕事は其れに従事する人を惨めな気持ちにさせるだけでなく、時には脳に損傷を起こすほどのダメージを与える。

自分の行動が何かに影響を与えて結果が得られる広い意味での「仕事」に根源的な悦びを感じるように出来ている。ブルシット・ジョブは人からその喜びを取り上げる精神的暴力となる。


社会的価値の低いブルシット・ジョブが高給であったりする一方で、社会的価値の高いエッセンシャルワーカーの給料が低い問題もある。奇妙なことに、労働の社会的価値が高まるほどその仕事の経済的価値が下がっている現象がある。


「資本主義は想像力の飛躍を封じ込める。しかもそれはネオリベラリズムの段階に至ってからそうなったのではなく、資本主義がもともと持つ性格に想像力やイノベーションに対し阻害的に作用する性格がある」


「本人でさえ正当化できないくらい完全に無意味・不必要で有害でもある有償の雇用の形態であるが、本人はそうではないと取り繕わなければならないように感じている仕事」が増え続けている社会を考えよう。

D50EE133-12F5-46AD-AF3F-1C18D4A95044.jpeg
posted by koinu at 17:23| 東京 ☀| 本棚 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

『勝手にしやがれ』BS放送

NHKBSプレミアム1月21日(木)午後1時00分〜2時31分放送

フランスの鬼才ジャン・リュック・ゴダール監督初の長編映画。斬新な演出でそれまでの映画製作の常識をくつがえし、その後の映画作家に多くの影響を与えたヌーベルバーグの金字塔。
仲間だったフランソワ・トリュフォーの原案をもとに、ジャン・ポール・ベルモンド演じる自動車泥棒ミシェルと、ジーン・セバーグ演じるパトリシアの鮮烈な青春を描く。映画をこよなく愛するゴダール監督ならではの演出が、今も新鮮に見るものに迫る。
4662427A-A895-44CC-AF5C-F42D82986A34.jpeg
【監修】クロード・シャブロル
【監督・脚本】ジャン・リュック・ゴダール
【原案】フランソワ・トリュフォー
【撮影】ラウール・クタール
【音楽】マルシアル・ソラル
【出演】ジャン・ポール・ベルモンド、ジーン・セバーグ、ダニエル・ブーランジェ ほか
製作国:フランス
製作年:1959
原題:A BOUT DE SOUFFLE
備考:フランス語/字幕スーパー/白黒/スタンダード・サイズ

DF172457-8FBC-4089-9CBD-4B7AA9AA7F8D.jpeg
ゴダールの長編デビュー作にしてヌーヴェルバーグ映画傑作の恋愛青春ドラマ。
警官を殺してパリに逃げて来た自転車泥棒常習犯ミシェルは、アメリカ人の恋人パトリシアとの自由な関係を楽しんでいた。ある日、彼の元に警察の手が及んでくる。新聞に「警官殺し逃走犯」として大きく顔写真が載ったのだ…!
ヌーヴェル・ヴァーグの雄ゴダール監督が贈る、奔放に生きる若者たちの姿を描いて、音楽、美術、舞台を目指す若者に絶大な支持を得た作品。生涯此れ一本映画レベルですね。
posted by koinu at 10:00| 東京 ☀| 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする