『宇宙・肉体・悪魔―理性的精神の敵について』ジョン・バナール
科学という力を手に入れた人類が宇宙の未来にとって重要な役割を果たすとの前提に立ち、人類の行く先を想像力豊かに予測する。
スペースコロニー、人間のサイボーグ化や集合頭脳、進歩主義者と人間主義者の対立など、多くのSF的アイデアにも踏みこんでいる。特にサイボーグの概念はこの本で初めて示された。人類が自らの肉体とともにその精神までも変えてゆく時、一体なにを望むようになるのだろうか。
J・D・バナールは物理学者、1929年、27歳の時の著作。
http://www.marxists.org/archive/bernal/works/1920s/soul/で原文を閲覧できる。
『宇宙・肉体・悪魔―理性的精神の敵について』目次
第一章 未来(The Future)…p. 1
二つの未来──願望と宿命/未来を扱う科学/幻想の排除と既成概念からの脱出/科学的予測の指針/
偶然と必然性/本書で試みる予測の方針/合理的精神に対する三つの敵
第二章 宇宙(The World)…p. 12
物性物理学の応用/産業と生活の近代化/宇宙への進出/宇宙基地の効用/宇宙植民島の建設/
球殻植民島の外殻/植民島の内部/無重力下の生活/一種の生物としての宇宙島/宇宙島の乗務員と住民/
宇宙島の未来──太陽系からの脱出/大宇宙への生命の挑戦
第三章 肉体(The Flesh)…p. 34
自然の進化に頼っていた段階/道具の採用/既成器官の転用/人体諸器官の非能率さ/不死を求めて/
ホールデンの改造人間/サイボーグ人間へ向かって/脳のカン詰への進化/感覚器と運動器の延長/
複合頭脳の形成/進化の終極
第四章 悪魔(The Devil)…p. 58
内なる悪魔/専門分野の克服/自然界の複雑さ/科学への幻滅/天才と大衆/政治的要因と歴史の循環/
田園牧歌か、知的進化か/科学と芸術と宗教の新しい総合へ向かって/進歩に抵抗する諸力/
人類の二形分裂の可能性
第五章 総合(Synthesis)…p. 75
宇宙へ進出する機械化人間/脱肉体人の心理的発展/セックスの昇華を超えて/感情の意識的制御/
無限の闘い──生命の本質
第六章 可能性(Possibility)…p. 85
人類の目的は?──人間社会と昆虫社会のちがい/生物の進化との類比/
科学者が人類を置き去りにする可能性/科学者の分離を抑えている要因/
宇宙の科学人と地上の人間動物園の共存/われわれはどんな道を選ぶだろうか?
訳者あとがき…p. 101
J・D・バナール略歴…p. 107
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