2020年04月09日

古い世に別れを告げて、新しい世の入口へ

「老齢」エドマンド・ウォラー


今まで吹いていた風がやむと、海は静かになる。

それと同じで、激情が収まると、人間も穏やかになる。

結局無意味になるのが分かりきっているのに、

くだらないことを自慢していた自分の空しさが、

歳をとってやっとわかってくる。

若い時には、自惚れに眼が曇り、つい見落としていたものごとの儚さが、

老人になってやっと分かってくるのだ。


魂を覆っている肉体という小屋がぼろぼろになると、

「時」が穿った隙間から新しい光が射してくる。

人間というものは、弱くなってさらに強くなり、

神の御許に近づくに従っていよいよ賢くなってゆく。

古いこの世にまさに別れを告げ、新しいあの世の入口に立つに及んで、

やっと両方の世界が同時に見えてくるのだ。

Old AgeEdmund WallerEngland, 160687

『イギリス名詩選』岩波文庫より

posted by koinu at 19:00| 東京 ☀| 本棚 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

パンとサーカス

古代ローマが滅びたのは「パンとサーカス」が原因だったと言われる。

かつて政治と軍事において、権威の源泉である民衆は、一心不乱にも二つを熱心に求めるようになってしまった。

穀物の配給や、戦車競走(サーカス)によって、市民が政治的盲目に置かれていると古代ローマ社会を揶揄したもの。

「ユヴェナリスは、気まぐれな民衆が、食料の給付と、競技場、闘技場の魅惑のために、その政治責任を放棄したから、ローマ共和国は帝国に道をゆずったのだとほのめかす。」

それが食料と娯楽「パンと見世物」と言われた。


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「健全なる精神は健全なる身体に宿る」というユウェナリスは、そうはなってない権力者たちを皮肉っているようだ。

「ああ健全なる精神が、健全なる身体に宿ればいいのだがなあ」という嘆きのニュアンスで謳っている。


ユウェナリス「風刺詩集」第10

...orandum est ut sit mens sana in corpore sano.

fortem posce animum mortis terrore carentem,

qui spatium uitae extremum inter munera ponat

naturae, qui ferre queat quoscumque labores,

nesciat irasci, cupiat nihil et potiores

Herculis aerumnas credat saeuosque labores

et uenere et cenis et pluma Sardanapalli.


monstro quod ipse tibi possis dare; semita certe

tranquillae per uirtutem patet unica uitae.

posted by koinu at 11:46| 東京 ☀| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする