2020年03月26日

『スペイン風邪の調整報告書』無料公開中

東洋文庫『流行性感冒』スペイン風邪の調整報告書 全455ページを、平凡社が4/30日まで無料公開中です。

www.heibonsha.co.jp/book/b161831.html


90年前に世界中で猛威をふるった史上最悪の感染症、スペイン・インフルエンザ。主に日本での流行を克明に記録した貴重な調査報告書。


インフルエンザの歴史は遠く紀元前にまでさかのぼることができる。1918年から数年にわたって流行した「スペイン風邪」は、全世界での患者6億、死亡者3000万に達し、日本でも患者2300万、死亡者38万余という惨禍を残した。

この数年後に起きた関東大震災の死者・行方不明者は約14万人だといわれて、比しても「スペイン風邪」の被害が甚大だった。


「インフルエンザ」の流行は世界到る所の民族を襲ひ、凡ての社会的階級を冒し、其罹病率と死亡率と共に頗る大なるを以て、之が予防法策を講ずる事は凡ての国民に向つて焦眉の急務なりき。

A book summarizing of the Spanish Flu, released for free until April 30. Total 455 pages. Japanese text only, but posters are interesting.

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ダダイズム詩人の小野十三郎

 「明日」小野十三郎

古い葦は枯れ 

新しい芽もわづか。 

イソシギは雲のやうに河口の空に群飛し 

風は洲に荒れて 

春のうしほは濁つてゐる。 

枯れみだれた葦の中で 

はるかに重工業原をわたる風をきく。 

おそらく何かがまちがつてゐるのだらう。 

すでにそれは想像を絶する。 

眼に映るはいたるところ風景のものすごく荒廃したさまだ。 

光なく 音響なく 

地平をかぎる 

強烈な陰影。 

鉄やニツケル 

ゴム 硫酸 窒素 マグネシユウム 

それらだ

 (詩集『大阪』より)


小野十三郎(1903年−1996年)

詩集『大阪』は1939年に出版。多くの詩人たちが戦争に、対する痛みや象徴する言葉を表した。そんな状況のなかで反戦にも自然主義にも傾倒せず、「葦の地方」を見いだして、記憶される詩集。なかでも「明日」の最後三行が示している、安易に謳わないことが心に残る。ここに現代詩の萌芽が感じられる、モンタージュ効果あるフレーズが連発。〈短歌的叙情の否定〉は詩人一人の創造として余りに重責な、詩作の理論的な困難な舞台での実践。この感染季節にアナザーサイドの扉が、心に反応する詩でもあった。


「赤い雀」

赤い雀がいないと眼がたいくつだ

冬のみち

ぼくの頭脳から

白い絹糸のようなものが二本のびて一本は

すりすがすの空の太陽をひっかけて

もう一本は

ずっとはるかにのびてのびて

遠方のくっせつして

尖で半円を描いて

赤い雀をさがしている

〔処女詩集『半分開いたた窓』より〕

posted by koinu at 12:13| 東京 ☀| 本棚 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする