2020年03月01日

『死が二人を』エド・マクベイン(ハヤカワ・ミステリ文庫)

『死が二人を』エド・マクベイン(ハヤカワ・ミステリ文庫)

87分署シリーズ

警察に日曜日はない。初夏のさわやかな微風も明るい陽ざしも、一旦緩急あれば刑事にはもどかしいばかりだ ── 妹の結婚式当日も、キャレラはその花婿となるトミイに電話でたたき起こされた。

彼の家を至急訪れたキャレラがそこで見たものは、なんと、小箱にうずくまる猛毒の黒後家蜘蛛だった! 

しかも、花婿にとのカードまで添えられて……晴れの日に起きた忌わしい事件をセミドキュメント・タッチで描くシリーズの逸品。


『わが町\』ナレーション

眩い光に魅せられて人は都会に集まってくる

無数の光が輝くところに

そこには何かがあるような気がする

無数の富が、無数の幸せが、無数の喜びが

しかし、光のあるところには影がある

光が強く輝くところには、それだけ深い闇がある

美しくきらめく都会の明かりは

人の心から闇を引きずり出してしまう力をもっているのだろうか


(ラスト)

町に光と影があるように

人の心の中にも光と影がある

光の部分で人と付き合う人間もあれば

影の部分でしか人と付き合えない人間もいる

眩く輝く都会の明かりを人はどんな思いで見ているのだろう

都会を愛している人間もいれば

憎んでいる人間もいる

人を愛している人間もいれば

人を憎んでいる人間もいる

無数に輝く都会の明かりは

人の心の中ではそれぞれ別の色なのかもしれない

『わが町\』ナレーション(脚本:鎌田敏夫 ナレーター:湯浅実)



87分署シリーズ】

  1. 警官嫌い(1956) 
  2. 通り魔(1956) 
  3. .麻薬密売人(1956) 
  4. ハートの刺青(1957) 
  5. 被害者の顔(1958) 
  6. 殺しの報酬(1958) 2015/07/28 既読
  7. レディ・キラー(1958)
  8. 殺意の楔(1959) 
  9. 死が二人を(1959) 
  10. キングの身代金(1959)
  11. 大いなる手がかり(1960)
  12. 電話魔(1960)
  13. 死にざまを見ろ(1960)
  14. クレアが死んでいる(1961)
  15. 空白の時(1962)
  16. たとえば、愛(1962)
  17. 10プラス1(1963)
  18. (1964)
  19. 灰色のためらい(1965)
  20. 人形とキャレラ(1965)
  21. 八千万の眼(1966)
  22. 警官(さつ)(1968)
  23. ショットガン(1969)
  24. はめ絵(1970)
  25. 夜と昼(1971)
  26. サディーが死んだとき(1972)
  27. 死んだ耳の男(1973)
  28. われらがボス(1973) 
  29. (1974)
  30. 血の絆(1975)
  31. 命果てるまで(1976)
  32. 死者の夢(1977)
  33. カリプソ(1979)
  34. 幽霊(1980)
  35. 熱波(1981)
  36. 凍った街(1983)
  37. 稲妻(1984)
  38. 八頭の黒馬(1985)
  39. 毒薬(1987)
  40. 魔術(1988)
  41. ララバイ(1989)
  42. 晩課(1990)
  43. 寡婦(1991)
  44. キス(1992)
  45. 悪戯(1993)
  46. 87分署に諸人こぞりて(1994)
  47. ロマンス(1995)
  48. ノクターン(1997)
  49. ビッグ・バッド・シティ(1999)
  50. ラスト・ダンス(2000)
  51. マネー、マネー、マネー(2001)
  52. でぶのオリーの原稿(2002)
  53. 歌姫(2004)
  54. 耳を傾けよ!(2004)
  55. Merely Hate(2005)
  56. 最後の旋律(2005)
posted by koinu at 19:19| 東京 ☀| 本棚 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

内田樹「今さえよければそれでいい」という発想

内田 “サル化”というのは「今さえよければそれでいい」という発想をすることです。目の前の出来事について、どういう歴史的文脈で形成されたのか、このあとどう変化するのかを広いタイムスパンの中で観察・分析する習慣を持たない人たちのことを“サル”と呼んだのです。


歴史学的なアプローチも探偵の推理術も同じです。目の前に断片的な情報が散乱している。そこから「何が起きたのか」をいくつかのパターンで考え出し、すべての断片をつなぐことのできるストーリーを選ぶというのが探偵の推理術です。それが論理的思考ということです。でも、今の日本では、政治家も官僚もビジネスマンもメディアも、論理的にものを考える力そのものが急速に衰えた。広々とした歴史的スパンの中で「今」を見るという習慣がなくなった。時間意識が縮減したのです。それが「サル化した社会」です。


内田 「サル化」という言葉は「朝三暮四」の故事から採りました。サルたちにこれまで給餌していた8つの栃の実を7つに減らすことになったとき、「朝3、夕方4ではどうか」と言ったらサルは怒り出し、「じゃあ、朝4、夕方3は?」と言ったら狂喜した。朝の自分と夕方の自分が同一であるということが仮想できなかったのです。ある程度長い時間を通じて自己同一性を保持できない人を笑ったのです。

https://bunshun.jp/articles/-/35353 より


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内田樹『サル化した世界』

ポピュリズム、敗戦の否認、嫌韓ブーム、AI時代の教育、高齢者問題、人口減少社会、貧困、日本を食いモノにするハゲタカ……モラルの底が抜けた時代に贈る、知的挑発の書。 
・「自分らしく生きろ」という呪符 
・なぜ「幼児的な老人」が増えたのか? 
・トランプに象徴される、揺らぐ国際秩序 
・「嫌中言説」が抑止され、「嫌韓言説」が亢進する訳 
・戦後日本はいかに敗戦を否認してきたのか 
・どうすれば日本の組織は活性化するのか……etc. 

内田 樹 
1950年東京生まれ。思想家、武道家、神戸女学院大学名誉教授、凱風館館長。東京大学文学部仏文科卒業。東京都立大学大学院人文科学研究科博士課程中退。専門はフランス現代思想、武道論、教育論など。『私家版・ユダヤ文化論』で小林秀雄賞、『日本辺境論』で新書大賞を受賞。

posted by koinu at 09:00| 東京 ☀| 本棚 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする