2020年02月29日

山極 寿一「サル化」する人間社会 (知のトレッキング叢書)

「上下関係」も「勝ち負け」もないゴリラ社会。 

厳格な序列社会を形成し、個人の利益と効率を優先するサル社会。 

個食や通信革命がもたらした極端な個人主義。そして、家族の崩壊。 

いま、人間社会は限りなくサル社会に近づいているのではないか。 

霊長類研究の世界的権威は、そう警鐘をならす。 

なぜ、家族は必要なのかを説く、慧眼の一冊。 

・ヒトの睾丸は、チンパンジーより小さく、ゴリラより大きい。その事実からわかる進化の謎とは

・言葉が誕生する前、人間はどうコミュニケーションしていたのか

・ゴリラは歌う。どんな時に、何のために


その答えは、本書にあります。 


本書の目次 

第一章 なぜゴリラを研究するのか 

第二章 ゴリラの魅力 

第三章 ゴリラと同性愛 

第四章 家族の起源を探る 

第五章 なぜゴリラは歌うのか 

第六章 言語以前のコミュニケーションと社会性の進化 

第七章 「サル化」する人間社会

「サル化」する人間社会 | 集英社インターナショナル 公式サイト


https://www.shueisha-int.co.jp/publish/%E3%80%8C%E3%82%B5%E3%83%AB%E5%8C%96%E3%80%8D%E3%81%99%E3%82%8B%E4%BA%BA%E9%96%93%E7%A4%BE%E4%BC%9A


【人間の持つ普遍的な社会性は3つ】

.見返りのない奉仕をすること。共感能力を成長期に身につけ、家族の枠を超え、共同体、そしてより広い社会へと広がっていく。

2.互酬性。何かを誰かにしてもらったら、必ずお返しする。お金を払ってモノやサービスなどの価値を得るという経済活動。

3.帰属意識。人間は相手との差異を認め尊重し合いつつ、きちんと付き合える能力を持っているのは帰属意識があるから。


山極寿一 

1952年東京生まれ。京都大学理学部卒、同大学院理学研究科博士課程修了。理学博士。カリソケ研究センター客員研究員、()日本モンキーセンター・リサーチフェロー、京都大学霊長類研究所助手を経て、京都大学大学院理学研究科教授。1978年よりアフリカ各地でゴリラの野外研究に従事。類人猿の行動や生態をもとに初期人類の生活を復元し、人類に特有な社会特徴の由来を探っている。

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「近代的短編小説の創始者」独歩の中・後期の名作

『独歩氏の作に低徊趣味あり』夏目漱石

『巡査』はただ巡査なるひとりの人問を描き出したもので、その巡査がよく出ている。この編のおもしろみはちょうどチェホフかだれかの書いたもので『爺』というものがある。その『爺』のおもしろみが、『巡査』のようなああしたおもしろみである。巡査なら巡査、爺なら爺を表わしたのは、巡査がどうしたということを書いたものではない。爺がどうしたということを書いたものではない。ただ巡査なる人はこういう人であった、爺なる人はこういう人であったということを書いたにすぎぬ。そこがおもしろいのである。巡査なら巡査についての観察を書いたものだからして、まえの『運命論者』とはそのおもしろみがちがう。余のことばでいうと、こういうものは低個趣味という。巡査がどうして、それからこうしたというように、原因結果を書いたものではない。その巡査があしたはどうなっても、あしたのことはかまわない。ただ、巡査そのものに低侶していればいいのである。

小さんが酔漢の話をする。聴者はその酔漢の話をただ楽しんでいればいいのである。その酔漢があしたの朝になってどうしたとか、こうしたとかいうことを聞く必要はない。聞かなくても、酔漢そのものの所作行為に楽しむことができる。すなわち、筋とか結構とかいうものがおもしろいのではなくて、 一酔漢なるものに低個して、その酔漢の酔態を見るそのことに興味あり、おもしろみあるのである。それを余は低掴趣味という。普通の小説は、筋とか結構とかで読ませる。すなわち、その次はどうしたとか、こうなったとかいうことに興味を持ち、おもしろみを持って読んでいくのである。しかし、低徊趣味の小説には、筋、結構はない。あるひとりの所作行動を見ていればいいのである。

『巡査』は、巡査の運命とかなんとかいうものを書いたのではない。あるひとりの巡査を捕えて、その巡査の動作行動を描き、巡査なる人はこういう人であったという、そこがおもしろい。すなわち、低徊趣味なる意味において、『巡査』をおもしろく読んだのである。

(明治四十一年七月十五日『新潮』)


山田銑太郎というのは、作家の国木田独歩がひょんなことから知り合った巡査だった。非番の日に独歩がその家を訪ね、杯を酌み交わすうちに引き出しから書き物を出し「見てもらいたい」という。それは「題警察法」という漢文だった

「夫れ警察の法たる事無きを以て至れりと為す。事を治むる之に次ぐ」。警察は功のないのが一番良く、功を立てるのは次善である。最上の法は治めるのでも功を立てるのでもなく、事件を未然に防ぐことにほかならない

山田巡査は上機嫌でこれを読み上げ、独歩もあいづちを打ちつつ大いに盛り上がる。結果、警察の道を尽くす者は功名も治績もなく、その神機妙道は愚者には理解できぬ−−ということで2人は意気投合した。この小説「巡査」は1902(明治35)年の作である

「神機妙道」とは隠れた霊妙な機微をいうのだろうが、何とも情けない神機妙道もある。してもいない捜査の費用を請求して飲食費に流用し、警官自らが刑事事件の容疑者になってしまうというお粗末である。兵庫県警宝塚署の少年事件担当者らの集団不祥事だった

非道な殺人の容疑者を捕らえれば警察官だった衝撃に心が凍った今年だった。こちらはいじましい公金流用だが、職務にかかわる日常的不正で、かかわった人数も多い。市民の信頼を損ね、職務に精勤する同僚を意気阻喪させることはなはだしいといわねばならない

功名も成績も求めず、ひたすら世の安寧のために力を尽くすという明治の巡査の心意気は作家が書きとどめた。誰にでも分かる平成の「神機妙道」を新聞が書きとどめる機会はこれきりにしてほしい。

【毎日新聞】


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「近代的短編小説の創始者」独歩の中・後期の名作を収録。 

理想と現実との相剋を超えようとした独歩が人生観を披瀝する思想小説『牛肉と馬鈴薯』、酒乱男の日記の形で人間孤独の哀愁を究明した『酒中日記』、生き生きとした描写力を漱石がたたえた『巡査』、ほかに『死』『富岡先生』『少年の悲哀』『空知川の岸辺』『運命論者』『春の鳥』『岡本の手帳』『号外』『疲労』『窮死』『渚』『竹の木戸』『二老人』。詳細な注解を付す。 


『牛肉と馬鈴薯・酒中日記』解説より 

独歩の作品(とくに初期、中期のそれ)は荒削りというほどでないにしろ、何か手触りがごつごつしてなめらかでないところがあります。 

これは彼の文章の飾り気なさからもきますが、もっと深く考えれば、そういう表現を必然とする彼のモチーフの性格にもとづきます。 

彼の初期短編の作因は、文学的というより、むしろ倫理的哲学的なので、うまい作品を書くことより、ある人間の問題をなげかけるところに、その主眼があります。 

――中村光夫(評論家


国木田独歩 

1871(明治4)年、下総銚子生れ。山口県に育つ。東京専門学校中退後新聞記者などを経て、1897年田山花袋らとの合著『抒情詩』で詩人として出発。次いで、1901年短編小説集『武蔵野』を刊行。自然の中に人事を見つめる小説家へと転身した。その後発表した『牛肉と馬鈴薯』『春の鳥』は自然主義文学の先駆として迎えられた。1908年茅ヶ崎で死去。没後、『欺かざるの記』刊行。 

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2020年02月28日

マスクの材料に紙が不足する?

熊本県内のドラッグストアやスーパーマーケットで、トイレットペーパーが品切れする事態が相次いでいる。会員制交流サイト(SNS)では、肺炎を引き起こす新型コロナウイルスの影響を指摘した上で「マスクの材料に紙が回されるので不足する」「中国から原材料を輸入できなくなる」といった臆測の声が続出。不安に思った人が購入に走っているとみられるが、西日本新聞「あなたの特命取材班」の取材に業界団体は「全くのデマ」と否定している。

【西日本新聞】

https://www.nishinippon.co.jp/item/n/587598/

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アオサがヒトコロナウイルスを抑制 「新型」へも効果期待 中部大チーム確認

 中部大学(愛知県)の研究チームは24日までに、沖縄料理にも欠かせない海藻のアーサ(アオサ、ヒトエグサ)に、ヒトコロナウイルスの抗体を増やす効果があることを確認したと発表した。アオサに含まれるラムナン硫酸という多糖類(食物繊維)にウイルスの増殖を抑える効果も確認されたという。世界的にも感染の拡大が続いている新型コロナウイルスも構造が似ていることから、研究チームは新型ウイルスにも効果があると期待している。  研究は、中部大生命健康科学部の河原敏男教授と同大大学院工学研究科の林京子客員教授が実施。化学薬品メーカーの江南化工(三重県)とラムナン研究所などと共同で研究している。今後、論文にまとめて発表し、商品開発も目指す。


 研究では培養したコロナウイルスにラムナン硫酸を接触させると、高い抗ウイルス活性を示した。同じ構造を持つA型インフルエンザウイルスを用いたマウスへの感染実験では、ラムナン硫酸を与えると3日後にウイルスの量が半減。抗体ができる量を見ると、与えなかったマウスと比べ7日で1・5倍、2週間で2・3倍に増えた。


 研究チームはラムナン硫酸が、ウイルスが人体の細胞に取り付くのを阻害するのと同時に人体が持つ免疫細胞を活性化して抗体をつくるのを促進させる効果もあると分析。ウイルスの構造が似ている他のインフルエンザウイルスやおたふくかぜ、麻疹のウイルスにも増殖抑制の効果があると期待している。 


 【琉球新報社】


【追記】中部大学は2020年2月25日、「世界的に拡大している新型コロナウイルスに効果があると、リリースの内容と違う形で受け止められている」として、当該リリースをホームページから削除しました。

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2020年02月27日

分岐点と選択

人が生きていく中で、毎日毎時に選択を求められる。それによって自分自身と対社会も、高められたり低くなったする。しかし誰でもない自分が選んだ道のりなんだから、しっかりと歩んで行かねばならない。
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当然過ぎることを、そのままやっても創造的とはならない。模範は模範であってそれ以上のものではない。そこで囚われない判断から整理して、新しい可能性を引き出させるか。
具体的な世界から抽象的な世界へ飛び、再び具体的な世界に戻りながら、堰き止められている水路を見出せるか。日常的風景から非日常世界を絶え間なく想い描けるかというのは創造する仕事で、反対側は消費する世界がある。
posted by koinu at 09:39| 東京 ☀| 観測 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年02月26日

電通は在宅指令

大きな組織は在宅基本、劇場公演など延期か中止となっているケースも増えてきている。


コロナウイルス感染状況は、しばらく収まる様子がない。卒業式や入学式などセレモニーも、電信機器Skypeなどで開催することも考えられる。

https://www.agara.co.jp/article/49008



卒業式、入学式の延期・中止相次ぐ 新型コロナ感染拡大で(毎日新聞) 

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200225-00000093-mai-soci

posted by koinu at 06:05| 東京 ☔| 報道 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年02月25日

焼酎と清酒と麦酒

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今日は早くから飲む日です。
エネルギー・チャージ‼️
posted by koinu at 15:00| 東京 ☀| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

胡麻豆腐とピリ辛料理

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免疫力を強化するために、
ミントや唐辛子や胡麻などが効果的です。
posted by koinu at 11:00| 東京 ☀| 観測 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年02月24日

おでんを食べよう!

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暖かい料理は、
心も温かくなってきます。
posted by koinu at 10:04| 東京 ☀| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年02月23日

『明治の人物誌』星新一(新潮文庫)

作者の父親である星一(ほしはじめ)とかかわりあった、明治10人の人物を伝記とした。医療、法律、金融、産業、思想、政治など日本の近代化に貢献した人々の列伝。ムーブメントを新たに吹かせた、時代ならではの発言行動が胸を打つ。


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野口英世

「もう、私は覚悟しております。私は一生の仕事をすませましたから、いつ死んでもよろしゅうございます」(P.73:野口英世の母シカの言葉)


岩下清周

「銀行は、金利のかすりを取ってもうければいいというものではない。事業を育て、産業を進歩させ、国を富ませるのが使命だ」(P.100)

「銀行家として、なすべきことだと思って融資したのだ。それなのに、こんなことをされては困る。取引は中止だ」(P.102:融資のお礼に対して)


新渡戸稲造

「才気的な自分がいやになり、なにかもっと高級なものを求めたい気になった」(P.176)

「彼は日本の代表的な自由主義者なのに、軍部に依頼されて、その宣伝にやってきた」(P.211)


伊藤博文

「きみ、韓国人は偉いよ。歴史を調べても、日本より進歩していた時期がある。この民族にして、これしきの国を自ら経営できない理由はない。」(P.163:新渡戸に対して)


「きみは、酒を飲んで道楽をしただけだよ。これはぼくもやるし、だれでもやっている。問題は、それ以外に何をするかだ。それを忘れぬことだな。」(P.310:後藤猛太郎に対する言)


後藤猛太郎

「しかも、ぼくも働くのだ。いいか、堂々と盗むぞ。文句があるか」(P.308)

大政奉還を実現させた明治の元勲、後藤象二郎の息子もまた破天荒な人生。晩年は多くの物事を支援して、星製薬の創業にも大いに力を貸した。


後藤新平

「病人や貧民になってから与える百円より、ならぬようにする一銭のほうが大切なのです」(P.397)

「後藤によき点がありとすれば、それは夫人からの影響によるもので、夫人に欠点がありとすれば、夫人が後藤から影響を受けたためである」(P.410

「人のお世話にならぬよう。人のお世話をするように。そして、むくいを求めぬよう」(P.424

台湾と満州を経営しアジアのインフラ的基礎を作った大政治家。


杉山茂丸

「なにごとも、ことの成功不成功にかかわらず、真相がわかった時、あいつはじつに親切なやつだと思われるようにしないと、あとの仕事がつづかない」(P.484)  

『明治の人物誌』星新一(新潮文庫)

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明治の人物で代表する杉山茂丸が、『百魔』という奇書にも残した言葉こそ多くの本質を表している。

「依頼心は自殺以上の罪悪である」

 自分自身を有効に動かすことのない、叱咤と罵声すべきものだろう。


『百魔』杉山茂丸

http://books.salterrae.net/amizako/html2/sugiyamahyakuma.txt


星製薬株式会社創立時には、明治の元勲後藤象二郎の長男で伯爵の後藤猛太郎 ( 後に映画会社日活を設立)を取締役とした。

https://stella.repo.nii.ac.jp/?action=repository_action_common_download&item_id=135&item_no=1&attribute_id=22&file_no=1

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posted by koinu at 13:00| 東京 ☀| 観測 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

後継者を養成せよ

またわれわれは常に二つのことを心すべしとされてきた。

一つは「師を追い越すような弟子をつくれ」ということを、二つには、常に「自分の後継者を養成せよ」とのことである。(三島通陽)



「よく聞け!

金を残して死ぬ者は下だ。

仕事を残して死ぬ者は中だ。

人を残して死ぬ者は上だ。

よく覚えておけ!」

(後藤新平)


「ボーイスカウト十話」三島通陽

http://www.scout-ib.net/09SCIB-DB/DATA/mishima01.html

posted by koinu at 10:00| 東京 ☀| 歴史 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年02月22日

潜在意識に共鳴するタロット

シンボリズムを極めて、深い意識下の世界から、俊敏なメッセージを詠むパワーカード。
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ピクトグラム図案風タロットは、秘法22枚組のみ限定印刷。
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潜在意識に共鳴するカードを手にすると、あなたの世界が変わります。

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ペンギンタロットを使用した、占い方のページ。
限定制作カード格安販売中。

http://penguintarot.seesaa. net/

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何が愚かなことかと言うと、それはお前のものの言い方だ。お前はまるで影も悪も認めないような口振りじゃないか。こういう問題をよく考えてみてくれないか。もし悪が存在しないなら、お前の善はどうなる、もし地上から影が消えてしまうなら、大地はどんなふうに見えるだろうか?

(ミハイル・ブルガーコフ『巨匠とマルガリータ』)
posted by koinu at 14:00| 東京 ☀| 本棚 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年02月21日

『葡萄酒の魂』ボードレール

ある晩、葡萄酒の魂が壜の中で歌っていた。

《人間よ、君に届けと歌い上げよう、おお親愛な廃嫡の子よ、

赤い封蝋にとざされた私のガラスの牢獄の中で、

光と友愛にみちた 一つの歌を!


わかっているとも、焔と燃える丘の上に、どれほどの

苦労と、汗と、灼けるような太陽がなければ

私のいのちを生み出して 魂を吹きこむことができないか。

でも私は恩知らずでも悪者でもないつもりだよ。


なぜって 私は大喜びで落ちこんで行くからさ

つらい仕事に疲れ果てた男の咽喉の中へ、

その男の熱い胸が居心地のいい墓となるんだ

冷たい地下の穴倉にいるよりもよっぽど気持がいい。


聞こえるかね 私の脈打つ胸の中にこだましている

日曜日の歌のルフラン 希望のさえずり。

肘をテーブルについて 両袖をたくし上げて、

君は私をほめたたえ いい御機嫌になるだろう。


君の奥さんもうっとりと目を輝かすようにしてあげる。

息子さんには力と元気な顔色をよみがえらせて

人生の競技に向かう このかよわい選手のために

レスラーの筋肉を引き締める油ともなってあげる。


では君の中へと落ちて行こうか、植物性の不死の食べ物、

永遠の「種まく人」が投げ落す貴重な種だぞ、

こうすれば われらの愛の結ぶところに詩が生まれ出て

神に向かって珍しい花に伸び上がるのだ!》


『悪の華』安藤元雄訳(集英社)より

posted by koinu at 21:00| 東京 ☀| 本棚 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

『ボードレール語録』横張誠編訳(岩波現代文庫)

象徴派の先駆者として知られるボードレールの「現代性(モデルニテ)」の美学とは何か.19世紀当時の現代的な文学・芸術運動であったロマン主義の超克として提示された「現代性」を軸に据え,「ブルジョワジー」「メランコリー」「陶酔」などをキーワードにして19の詩・散文のテクストを解説し,近代の相貌を浮かび上がらせる.書下ろし.岩波現代文庫オリジナル版

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翻訳者からのメッセージ

「吸血鬼の頭目」で「謎と恐怖を間抜けに駆使して読者を驚かせる」人物,「死体置き場と屠畜場の詩」,『悪の華』刊行前に,ジャーナリズムではさして話題にもならなかった詩人ボードレールとその作品について書かれた数少ない新聞記事で目立ったのは,このような評価だった.『悪の華」は,1857年出版されとすぐ,その背徳性を攻撃する書評が新聞に掲載されたのに続いて,公衆道徳宗教道徳紊乱の咎で告発され,宗教道徳侵害の嫌疑は却下されたが,公衆道徳良俗紊乱で有罪判決が下された.要するに作品の猥褻性と同性愛描写の非道徳性が公に非難されたのである.

 他方,友人やジャーナリストが,悪意や批判を込めることなくボードレールの奇怪な言動を報告している.そのうちでも特にどぎついのは,子供(の脳みそ)を食べるという話だ.また,晩年近くブリュッセルに居住し始めたころ,ボードレールは,亡命中の共和派フランス人たちの動向を探っているスパイだと囁かれた.すると彼は,自分は事実密偵だし,おまけに殺人犯なのだと,ベルギー人たちに言い触らしてやったと書き残すのである.

 こうして,不吉で猥褻な,鬼面人を嚇す類いのボードレール像の素材が出揃う.

 根づいた奇人・怪人伝説は,ボードレールの作品に含まれた,異様な表現,有無を言わせぬ断言調の発言を,納得した気持ちにしてくれる.これで,わかりにくい奇怪な見解も,悪い冗談なのだと割り切れる.ガラス屋の理由なき虐待を描いた散文詩「益体ないガラス屋」を『黒いユーモア選集』に入れて片付けたアンドレ・ブルトンもそうしたのだ.

 本書で紹介する,詩作品や批評文等から選んだボードレールの19のテクストは,どれも一筋縄ではいかないものばかりで,中には奇人・怪人伝説に頼ったのではまったく歯がたたないものさえある.いずれにせよ,ここで目指すのは,伝説のごときものは視野に入れず,冗談抜き,大真面目(!)で,それらを,ボードレールが古典主義に対置されたロマン主義をさらに超克することを意図して提唱した「現代性modernité」の美学に照らして解読し,また逆にそれを通してこの美学が真に何を意味するのかを解明することである.表題が示す通り,一般読者に向けて編纂されたものであるが,従来ボードレール研究では参照されることがなかった資料に少なからず依拠しているので,研究者の参考にも資するものと期待している.


1943年生まれ。東京大学文学部卒業。同大学大学院人文科学研究科修士課程修了。一橋大学名誉教授。専攻は、フランス文学。


⭐︎ 単なる注釈つきアンソロジーとは一線を画すものである。重要テクストを選別して、いわゆるExplication de texteを行った「著作」といって過言ではないだろう。


《本文より》

色彩家種族はあまり憤慨しないでほしい。仕事は、難しさが増すので、かえってより栄誉あるものとなるのだから。偉大な色彩家なら、燕尾服、白ネクタイ、灰色の背景からでも色彩をつくりだすことができるのだ。 


新しい情念に根ざした、特殊な美をわれわれは占有しているのかという、主要かつ本質的な問題に戻るなら、気づくのは、現代的主観に取り組んできた芸術家たちの大部分は、公共的、公式的な主題、つまりわが国の戦勝やわが国の政治的英雄性を扱うにとどめてきたことである。しかも彼らは渋々そうするのであり、また、金を払ってくれる政府からそうした主題の注文を受けるからそうするのだ。しかしながら、私的な主題はあるのだし、これのほうがはるかに英雄的なのだ。 


裸体という、あの芸術家にとってとても大切なもの、あの成功の不可欠要素は、昔の生活でそうだったように、〔今も〕よく見られるし、不可避でもある、ーーベッドや風呂や死体解剖室でだ。絵画の手段もモチーフも豊富で多様であることは今も同じなのだ。ただし新しい要素があって、それが現代の美なのである。 

(『一八四六年のサロン』より) 

posted by koinu at 13:00| 東京 ☀| 本棚 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

『前世』ボードレール

  余は長らく大いなる柱廊のもとに暮らしていた

  海上の太陽が千々の色合いに染め上げ

  厳かに聳え立つ列中は

  夕べの影を落とし 洞窟の如くにみえた


  波は空を映して渦巻き

  厳粛と神秘のうちに 打ち寄せる音は

  豊かな音楽となって 夕日と溶け合い

  我が瞳のうちに反射しあった


  かの静寂な逸楽のうちに 余は暮らした

  青い海 高巻く波 光に包まれ

  よき香を放つ裸の召使にかしずかれつつ


  召使らは椰子の葉で余の額を飾り

  余が追い求める苦き秘密の

  如何ばかりに深いかを測り続けた

  《悪の華》より

posted by koinu at 11:00| 東京 ☀| 本棚 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

秘法17番のカード

 古い池はもはやない。池全体が月の笏杖の下で、そのたっぷりとした呼吸をとりもどし、その波のくぼみくぼみは、熱い海のあらゆる魚で、色とりどりに飾られる。

その魚たちの間に、たがいに顔を見交すことにたえられず、自分といきうつしの相手といまにも死をかけてたたかおうとする、緋色と青鴉色の《闘魚」たちがいるのが見てとれる。
奴らの剣さばきはじつに活発なもので、微光が奴らの後へのこり、透明で液状の貝殻を、もっともしなやかなものからもっともきららかで細身のものまで、あらゆる方角へはせめぐるのだ。けれども波はしずまり、風変りな闘いも終りになるというより、曙の光の中に消え失せる。

二つの流れは音もなく流れ、そして大地からは、感覚の全域をひとりじめにしようと、て本の薔薇の香がたちのぼって来る。今、辛うじてかいまみられたばかりの薔薇は、不意に、ふるえる夜の中で、聖なるエジプトのすべてを告げる。薔薇は、めまいを起こさせるほどくるくると旋回して、崇められたる鳥、鴇トキの衿飾りとなり、そこからとりだされて来るのは、人間の夢が、荒縄で自分の建て直しを実行し、葉脈の方向にひびわれた自分の白い靴底を星々の間にはりわたされた糸にそって、あらためてすべらせようとするために、必要となるかもしれないすべての蟻装用品だ。
薔薇は、再生能力に限度はないと告げ、そして主張する、いかに苛酷であり汚れにみちていようと、冬は、過渡的なものとしかけっしてみなされないと。それどころか、冬の鞭は、エネルギーをよびもどすために、鞭の先端で数千匹のエネルギーの蜜蜂を集めるために定期的に道々を打たなければならぬ、さもないと蜂どもはしまいには太陽のあまりに酔心地をさそいすぎる柘榴の実の中で、ねむりこけるだろう、と。

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 さて、今度は蝶が語るのだ。あいつぐ世代の発生の中に、いかに心なぐさめる神秘があるか、いかなる新しい血が止むことなく循環するか、そして、種が個体の損耗に悩まないでもよいために、いかなる淘汰が適時に行われ、何か何でもその掟を課することに成功するかを、述べようとするのだ。
 その植がふるえるのを人間は見る。その麹は、どの国語においても。

 「再生」という単語の最初の大文字だ。そうだ。もっとも高い思想、もっとも偉大な感情も集団的な滅亡という目にあうかもしれず、人間の心もやはり砕けるかもしれず、書物も古びるかもしれぬ。そしてすべてのものが、外見上は、死ななければならない。だが、いささかも超自然的なものではない一つの力が、この死そのものから更生の条件を作り出す。貴重なものが何一つ内的に失われることがなく、暗い変身の数々を経つつも、季節から季節へと蝶がその高揚した色彩をとりもどすように気を配るあらゆる交換を、その力はあらかじめ保証しているのだ。

 とはいえ、私がおまえたちの加護を祈るのはここでなのだ。それというのも、おまえたち、この錬金術を秘密のうちにつかさどっている精たち、事物の詩的な生の支配者だちよ、おまえたちが姿を現わすことなしにはもはや何一つできないことを、私は意識しているからだ。 

アンドレ・ブルトン『秘法17番』より

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ペンギンタロット記事サイト

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「ペンギンタロット」原画図鑑

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ペンギンタロットの世界へ

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2020年02月20日

無意識を解くタロット

無意識のうちにザリガニが、這い上がる世界。ふたつの塔に挟まれた月の変化とは?
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タロット占い方のページ。

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《タロットカードの星座と天体》

T 魔術師 双子座・処女座(水星)

U 女教皇 蟹座 (月)

V 女帝 牡牛座・天秤座(金星)

W 皇帝  牡羊座 (火星)

X 法王  牡牛座 (金星)

Y 恋人たち 双子座(水星)

Z 戦車 蟹座 (月)

[   獅子座 (太陽)

\ 隠者  乙女座 (水星)

] 運命の輪 射手座 (木星)

]T 正義  天秤座 (金星)

]U 吊し人 魚座 (海王星)


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]V 死神 蠍座 (冥王星)

]W 節制 射手座 (木星)

]X 悪魔 山羊座 (土星)

]Y   牡羊座 (火星)

]Z   水瓶座 (天王星)

][  魚座 「海王星)

]\ 太陽 獅子座 (太陽)

]] 審判 蠍座 (冥王星)

]]T 世界 山羊座 (土星)

愚者 水瓶座 (天王星)


《不正は正すべきか》

「LA JUSTICE」の天秤は平衡を保とうとします。正義というより「公平」。剣は、違法を罰する力。
人は生きる上で様々な想いを重ねるので、天秤は揺れます。昂まりと鎮まり、昇りと降り、喜びと苦しみ、得ることと与えること。
そして「公平」も「法」も、時代と社会その時々の価値観で揺れ動くもの。
8番のカードはただ厳しく罰する正義ではなく、慈悲も含んでいるのでしょう。
と、いうことで、ピクトスタイルのペンギンタロットでは、剣は少しだけ傾いています。天秤は、穏やかな和を願って、左右の違いはほんの少しだけ。

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タロット解説

http://zerogahou.cocolog-nifty.com/photos/22/

「さぁて、身軽に行こうかなぁ」

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posted by koinu at 13:00| 東京 ☀| 美術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年02月19日

検察内からも意見「国民に経緯説明を」 検事長定年延長

東京高検の黒川弘務検事長(63)の定年延長問題をめぐり、19日に法務省で開かれた法務・検察幹部が集まる会議の場で、参加した検事正から「国民に経緯を説明すべきだ」との意見が出たことが分かった。複数の出席者が明らかにした。検察の公正中立に疑念の目が向けられていることに対し、検察内部からも不満の声が上がった形だ。

 会議は、全国の高検や地検のトップが一堂に会する「検察長官会同」。冒頭以外は非公開となる。議題は「検察運営上、考慮すべき事項」とされ、捜査や裁判の問題点などについて話し合われるのが通例だ。今回も黒川氏の定年延長は議題に含まれておらず、人事の質疑が出るのは異例

 関係者によると、会議の終盤に中部地方の検事正が挙手をし、法務省の首脳に黒川氏の定年延長について質問。「検察は不偏不党でやってきた。政権との関係性に疑念の目が向けられている」といった内容の発言をした上で、「このままでは検察への信頼が疑われる。国民にもっと丁寧に説明をした方がいい」という趣旨の提案をした。辻裕教・法務事務次官が質問を引き取ったが、「延長の必要性があった」と答えるにとどめたという。

 検察官の定年延長について、政府は1981年の国会で国家公務員法の規定が「適用されない」と答弁していたが、森雅子法相は17日の衆院予算委で、今年1月に解釈を変更したと説明。野党や一部の識者からは「政権に近いと言われる黒川氏の定年を延長するため、内閣の都合で法解釈をつくりあげたのではないか」との批判が出ている。【朝日新聞】より


《不正は正すべきか》

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検事正から「国民に経緯を説明すべきだ」との意見が出た。

「検察は不偏不党でやってきた。政権との関係性に疑念の目が向けられている」

「このままでは検察への信頼が疑われる。国民にもっと丁寧に説明をした方がいい」

検察さんたち不正に立ち向かってほしい。

posted by koinu at 22:00| 東京 ☀| 報道 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

水の恵み

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生命の源に感謝を込めて
posted by koinu at 10:00| 東京 ☀| 観測 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年02月18日

青空に虹🌈

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レンズのようにも見えてます
posted by koinu at 09:00| 東京 ☀| 観測 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする