2019年12月21日

『戯曲 榎本武揚』安部公房

伝説によれば、脱走した三百人の囚人たちははてしない雪原をどこまでも越えて行き、阿寒の山麓あたりに彼等だけの共和国をつくり上げたと言われる。しかし、その後の消息は杳として知られない…。


百年をへだてて彼等とその背後にあった榎本武揚を執拗に追う元憲兵、昨日の忠誠と今日の転向のにがい苦しみの中で唯一の救いである榎本は、はたして時代を先どりした先駆者なのか、裏切者なのか。


《思想と行動との関係を、その具体的な内容に即してとらえようとはせず、もっぱら忠誠は善、転向は悪と割り切ってしまう、明治以来の伝統的美徳だけは、どうやら左右を問わず、いまだに健在のままで生きのびているらしいのである。忠誠でもなく、裏切りでもない、第三の道というものはありえないのだろうか。》安部公房「幕末・維新の人々」


戯曲『榎本武揚』プロローグと3幕

 安部公房・戯曲『中央公論』1967年2月号

刊行『戯曲 友達・榎本武揚』 河出書房新社 1967年11月30日 装幀:安部真知

初演 劇団雲 日経ホール 1967年9月20日

第22回芸術祭・文部大臣賞


〔某君からは、榎本批判の形をかりた、榎本擁護の説であるとののしられ、別の某君からは、榎本擁護と見せかけた、榎本批判がねらいだと腹を立てられ、まったく相反する立場から、しかしきわめて似通った情緒反応を示された。

批評家の一部が、こうまで登場人物化してくれたことを、黙って見のがしておく手もあるまいと思い、これらの批評家諸君に、せめて地獄(舞台)で榎本武揚と直接対面してもらうことにしたわけである。〕安部公房「『榎本武揚』について」

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輝く海岸

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色彩が刻々変わっていく様を観察する。
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