2019年10月27日

李箱 [二人‥‥1‥‥]


キリストは見窄らしい着物なりで説教を始めた。
アアルカアボネは橄欖山を山のまゝ拉撮し去つた。
     ×
一九三〇年以後のこと――。
ネオンサインで飾られた或る教会の入口では肥つちよのカアボネが頬の傷痕を伸縮させながら切符を売つていた。
一九三一、八、一一

底本:「李箱作品集成」作品社 2006(平成18)年9月15日第1刷発行
底本の親本:「朝鮮と建築 第十集第八号」朝鮮建築会  1931(昭和6)年8月
初出:「朝鮮と建築 第十集第八号」朝鮮建築会
   1931(昭和6)年8月
posted by koinu at 15:00| 東京 ☀| 本棚 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「二人‥‥2‥‥」李箱

 アアルカアボネの貨幣は迚も光沢がよくメダルにしていゝ位だがキリストの貨幣は見られぬ程貧弱で何しろカネと云ふ資格からは一歩も出ていない。

 カアボネがプレツサンとして送つたフロツクコオトをキリストは最後迄突返して已んだと云ふことは有名ながら尤もな話ではないか。
一九三一、八、一一


底本:「李箱作品集成」作品社 2006(平成18)年9月15日第1刷発行
底本の親本:「朝鮮と建築 第十集第八号」朝鮮建築会  1931(昭和6)年8月
初出:「朝鮮と建築 第十集第八号」朝鮮建築会
   1931(昭和6)年8月
posted by koinu at 09:00| 東京 ☀| 本棚 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする