我が夜毎の夢に現れる
黒い瞳の
象牙のサンダルを履いた女よ
お前ほどの美しさにはどのダンサーも及ばない
お前ほどにすばしこい女はいない
お前ほどの女を夜明けのテントの中に探したが
見つからなかった
お前ほどの女を井戸に集まった女の中に探したが
見当たらなかった
お前の腕は樹皮をはいだ若木のようだ
お前の顔は陽を浴びた水面のようだ
お前の肩はアーモンドのように白い
皮をはいだばかりのアーモンドのように
宦官がお前を守ってくれるわけでもなく
銅の柵で守られているわけでもないが
お前の寝床にはトルコ石や銀の細工があしらわれ
黄金の糸で刺繍された褐色のローブが
お前の体を包んでくれる
おおナータット・イカナイエ 川辺の木よ
お前の手はスゲの林を流れる小川のようだ
お前の指は凍りついた沢水のようだ
お前の侍女たちは小石のように白く
お前を囲んで音楽を奏でている
お前ほどの美しさにはどのダンサーも及ばない
お前ほどにすばしこい女はいない
EZRA POUND エズラ・パウンド 詩集「ペルソナ」(壺齋散人訳)から