2018年10月22日

山中智恵子 秀歌

水原紫苑選3首


わが生みて渡れる鳥と思ふまで昼澄みゆきぬ訪ひがたきかも     『紡錘』


青空の井戸よわが汲む夕あかり行く方を思へただ思へとや     『みずかありなむ』


星空のはてより木の葉降りしきり夢にも人の立ちつくすかな     『青草』


雑誌「短歌研究」平成十八年六月号より


山中智恵子  ヤマナカ・チエコ。

古典と前衛短歌をおりまぜた作風の現代女性歌人。

1925年、愛知県生まれ。45年、京都女子専門学校(現・京都女子大学)国文科を卒業。46年から前川佐美雄に師事し、「オレンヂ」の創刊に参画。さらに「日本歌人」の復刊に携わり、同人歌人としても活躍り57年、第1歌集「空間格子」を刊行後、前衛短歌運動に加わり、59年に寺山修二や塚本邦雄らと「極」を創刊。63年に第2歌集「紡錘」を発表。

74年の第4歌集「虚空日月」に掲載された代表歌「くちびるに水のことばはあふれつつ吟遊なべて渇食の秋」など、鋭敏な言語感覚と叙情性や韻律から「現代の巫女」と呼ばれた。85年、病死した夫を歌った歌集「星肆」で迢空賞、2005年に「玲瓏之記」で前川佐美雄賞を受賞。主な歌集に「みずかありなむ」、評論集に「三輪山伝承」などがある。80歳没。

posted by koinu at 09:29| 東京 ☀| 本棚 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする