2017年07月31日

ビートルズは「ただのみすぼらしい4人の少年だった」


  ビートルズ(The Beatles)の1966年の曲「タックスマン(Taxman)」で、ジョージ・ハリスン(George Harrison)は当時の英政権が富裕層に課した税率95%を非難した。「5%では少な過ぎますか?」「すべてを取り上げはしないことに感謝しなさい」と、ハリスンは嫌味たっぷりに歌った。


  そんな中、税金に関してビートルズが心から感謝していた一人の男性がいた。彼らの収入の帳簿を付けていた会計士のハリー・ピンスカー(Harry Pinsker)氏(87)だ。
  ピンスカー氏は1961〜70年の間、ビートルズの財布を管理し、彼らの会社を興し、彼らが家を購入するのを手伝った。「ただのみすぼらしい4人の少年だった」と、ピンスカー氏はビートルズに初めて会ったときのことを振り返る。「彼らのことは聞いたことがなかった。リバプール(Liverpool)の外ではほとんど知られてなかったから。それも変わったがね」
  ロンドン(London)東部ハックニー(Hackney)で生まれたピンスカー氏は、医師か弁護士になるのが夢だった。だが戦争で疎開を余儀なくされ、ユダヤ人差別で志望大学には入れず、病を患ったこともあり、何か月間も学校に通えない時期があった。そこで医学と法学の道を諦め、会計士になったという。
  1947年に学校を卒業したピンスカー氏は、会計事務所「ブライス・ハンマー」のロンドン事務所に入った。そのリバプール事務所のクライアントの一人に、地元で家具店を経営していたハリー・エプスタイン(Harry Epstein)氏がいた。彼の長男が、後のビートルズのマネジャー、ブライアン・エプスタイン(Brian Epstein)氏だ。

  そして1961年、エプスタイン氏がポップグループのマネジメントに乗り出したときに、ピンスカー氏をはじめとするロンドン事務所の会計士らが紹介された。
  ピンスカー氏は、違法にならない程度に機転を利かせたさまざまな手法で節税し、ビートルズの資産を守った。例えば、こんなエピソードがあったという。
 「私たちは作曲企業レンマック(Lenmac)を立ち上げた。それは売上高が不労所得として高税率の対象となる投資企業とみなされた。しかし私はそれを商社と同じだと主張した。フィッシュ&チップスの包みとして新聞紙が使われていても、それはまだ新聞紙なら、レノンやマッカートニーの曲だって、いつまでも曲であり、だから勤労所得になると訴えた。所得査定官は納得したよ」
  ピンスカー氏は一方で、「少年たち」に浪費しないよう警告せねばならなかったという。「メディアは彼らをミリオネアだと呼んだ。私はそのミリオンは収入であって資産ではない、税金のために収入の多くを残しておかなければならないと、彼らに分からせる必要があった」
 「彼らは不満げだった。だからジョージはタックスマンを書いたんだ。貧しかった少年たちが懸命に働き、大金を稼げるようになったのに、誰かがそれを奪おうとしてたのだから」
  ピンスカー氏は、予想される高い納税額を新会社の設立によって相殺することを提案。それがアップル・レコーズ(Apple Records)の設立につながった。しかし、皮肉にもこの会社がきっかけとなり、ピンスカー氏はビートルズに別れを告げることになる。
  1968年11月、ジョン・レノンは初のソロアルバム「トゥー・ヴァージンズ(Two Virgins)」をアップルからリリース。ジャケットの写真はレノンとオノ・ヨーコ(Yoko Ono)のヌードだった。「うちの事務弁護士たちから、ジョンがアルバムを取り下げないとアップルはわいせつ罪で訴えられ、私が代表として責任を負うことになると言われた」と、ピンスカー氏。
 「私はジョンに電話をかけてアルバムを取り下げてくれと頼んだが、答えはノーだった。それで私は辞めた。彼らの他の会社では仕事を続けていたが、それから数か月後もたたないうちにビートルズは解散した」
  しかし、ビートルズは最後に、深い賛辞をピンスカー氏に贈った。
  1969年、アビイ・ロード(Abbey Road)のスタジオで最後のアルバム「レット・イット・ビー(Let It Be)」のリハーサルをしていたときのこと。彼らは「ハレ・クリシュナ(Hare Krishna)」の歌詞を「ハリー・ピンスカー」に変えて歌い始めた。
 「彼らがそんなことをやっていたなんて、何年も後になってからようやく知った」と、ピンスカー氏は言う。「今はその映像がユーチューブ(YouTube)に上がっている。とても光栄に思う」 【翻訳編集】AFPBB News

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ストーンズ新作発表「あともう少し」

【AFP=時事】英ロックバンド「ザ・ローリング・ストーンズ(The Rolling Stones)」のギタリスト、キース・リチャーズ(Keith Richards)がこのほど、バンドが新アルバムを制作中であることを明らかにした。これに先立ち、英ラッパーのスケプタ(Skepta)と一緒にスタジオ入りしている写真が公開されていた。


メンバー全員が70代となったストーンズは昨年12月、ブルースのカバー曲を収録したアルバム「Blue and Lonesome」をリリースしているが、それまでは10年以上新作の発表はなかった。大規模なコンサートなどは精力的に開催していた。


先週末に行われたYouTubeでのファン向けのフォーラムで、次のアルバムを出す予定はあるのかと質問されたリチャーズは、「ああ、実はあともう少しのところまで来ている」と答え、「新しい楽曲に取り組んでいる。ここからどうしようかを検討中」とコメントしている。


ストーンズをめぐっては今月、英LondonにあるMidnight Studiosの創設者が、スケプタとストーンズのフロントマン、ミック・ジャガー(Mick Jagger)を捉えた画像をInstagramに投稿しており、これを受けてコラボレーションの臆測を呼んでいた。


ストーンズは50年以上のキャリアを通じて、ブルースやソウルのトップアーティストらと共同制作をしてきたが、ヒップホップ歌手との経験はあまりない。


新作についてリチャーズは、「Blue and Lonesome」の収録をメンバーが大いに楽しんだことに触れながら、次もブルースの名曲を複数収録する可能性があると述べ、このような名曲のさらなる収録は「喜んでやる」とした。


また、今でも通用するのかといった不安がある中、新作への取り組みは、バンドのエネルギーを上昇させることにもつながったとコメントしている。

2017/07/25 【翻訳編集】AFPBB 


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2017年07月30日

ミック・ジャガーが新曲発表“Gotta Get A Grip”と“England Lost”

【ロンドンAFP=時事】英ロックバンド「ローリング・ストーンズ」のボーカル、ミック・ジャガーさん(74)が27日に新曲を発表した。タイトルは「イングランド・ロスト」。なかなか勝てないサッカーのイングランド代表を嘆いているようだが、実は昨年6月の国民投票で欧州連合(EU)離脱を決めた英国の不安な心理を表現したともみられている。(2017/07/30-07:36)


〈世界は混乱している 愚か者と道化がしきっている 誰も本音は語らない
そして混乱状態のまま 街を牛耳っている〉

“Gotta Get A Grip”と“England Lost”
「タイトルを書き留めて、タイトル以上のものがあるのではないかと感じた。英国史の中でも難しい時代を生きている。どこにいるのか分からない不安感。それを感じた」


ミュージック・ビデオ監督:サーム・ファラマンド 出演:ジェミマ・カーク

「この2曲を書き始めたのは4月で、これらをすぐに出したかった。アルバム1枚を作るとなるとかなり長い時間がかかる。レコーディングが終わった後でもレコード会社の準備期間とか、世界リリースの段取りとかがあるからね。別の方法でクリエイティヴなことをやるのはいつでも新鮮な気持ちになれる。即座にレコーディングして、リリースするなんていうのは、ちょっとだけ、そういうことを今よりも気軽に自由にやっていた昔に戻ったような気分になった。とにかく来年まで待ちたくはなかったんだ。でないともしかするとこの2曲のインパクトが薄れて、意味がなくなってしまうかもしれないから」


「うわべは、イギリスのサッカーチームの負け試合を見に行ったという内容だけど、タイトルを書いた時に、それだけでは終わらないなと思った。歴史的にも困難な時代を生きているという気持ちについて歌っている。不可知状態で、自分たちがどこにいるのか分からずに、不安に思う気持ち。書いている時にはそう思っていた。僕はあまり生真面目に取り組むのは好きではないから、もちろんユーモアも含まれている、でも僕たちの国の抱える脆弱さなどにも触れている」

posted by koinu at 11:37| 東京 ☔| 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

都内の高層建造物を遠目からから観測する

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posted by koinu at 09:19| 東京 ☔| 観測 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年07月29日

映画『夜明けの祈り』

「ヴァンサンは本当に面白い人でした。エネルギッシュで繊細で、サミュエルは実際の彼のキャラクターのよう。
人間の非道さをずっと目の当たりにするマチルドが、自分と同じ仕事をしているサミュエルに優しさを求める気持ちはよく分かる」(ルー・ドゥ・ラージュ)


第2次世界大戦末期の悲劇的な事件によって傷ついた修道女たちを救うべく尽力した、実在の医師マドレーヌ・ポーリアックをモデルに、「ココ・アヴァン・シャネル」のアンヌ・フォンテーヌ監督が描いたヒューマンドラマ。

1945年12月、ポーランド。赤十字で医療活動に従事するフランス人女性医師マチルドのもとに、ひとりの修道女が助けを求めに来る。彼女に連れられて修道院を訪れたマチルドは、ソ連兵の暴行によって妊娠した7人の修道女たちが、信仰と現実の間で苦しんでいる姿を目の当たりにする。マチルドは修道女たちを救うため激務の間を縫って修道院に通うようになり、孤立した修道女たちの唯一の希望となっていく。

『夜明けの祈り』公式サイト

監督&翻案:アンヌ・フォンテーヌ『ココ・アヴァン・シャネル』『ボヴァリー夫人とパン屋』

出演:ルー・ドゥ・ラージュ『世界にひとつの金メダル』、アガタ・ブゼク『イレブン・ミニッツ』、アガタ・クレシャ『イーダ』

2016年/フランス=ポーランド/フランス語、ポーランド語、ロシア語/1時間55分/アメリカンビスタ/カラー/音声5.1ch/原題:Les Innocentes/日本語字幕:丸山垂穂

提供:ニューセレクト、ロングライド 配給:ロングライド 宣伝:ポイント・セット
後援:アンスティチュ・フランセ日本/フランス大使館   協力:ユニフランス 推薦:カトリック中央協議会広報
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映画『ローサは密告された』

第69回カンヌ国際映画祭 主演女優賞受賞(ジャクリン・ホセ)
/世界が注目する鬼才ブリランテ・メンドーサ監督最新作

雑貨を売る。麻薬を売る。それが日常。マニラの不法地帯。
腐敗した警察も、密売する女も、法の目をくぐりここで生きている。


7月29日(土)シアター・イメージフォーラム 公開

ブリランテ・メンドーサ 監督。「アクションも、状況も、感情も、すべて内側から生まれるものに任せました。撮影は俳優が登場人物の陥った苦境を感じ取れるよう順撮りで行いました。最終的に大量のラッシュがあり、編集は映画製作の中でも非常に重要な過程になりました。シナリオ執筆と準備が創作活動の50%、2週間もかからなかった撮影は20%、そして数か月かかった編集作業が30%です。」
ローサの娘ラケルが転ぶ場面は象徴的です。彼女はとても狭い路地を歩いている。ほかに道はありません。誰かが水を捨てる。別に悪意からではありません、仕事だからです。娘は滑り、転ぶ。でも彼女は文句も言わず、自分を転ばせた老婆をなじりもしない。ただ立ち上がって、歩みを続けるだけです。」


『ローサは密告された』エネルギーと構成の美

ふりかえると古典的な構成の美もあり、ふと、名作「自転車泥棒」(1948年)を思い出させたりもする。1時間50分。
https://style.nikkei.com/article/DGXKZO19327090X20C17A7BE0P01?channel=DF260120166507


posted by koinu at 14:50| 東京 ☁| 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

手塚治虫『ザ・クレーター』

17本の読み切り漫画からなる連作短編シリーズ。1969年から1970年に『少年チャンピオン』(秋田書店)連載。

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創刊まもない『少年チャンピオン[1]』の1969年8月10日号から連載が開始され、1970年4月1日号で連載終了した。単行本は1970年10月及び12月に新書版の少年チャンピオン・コミックスとして全2巻が発売されたが、この時は収録可能ページ数の問題[2]で3作品(後述)が未収録となる。その後、1977年から刊行が開始された講談社手塚治虫漫画全集には17作品全てが収録された(通し番号218/219/220、全3巻とも1982年発行)。2009年に刊行が開始された手塚治虫文庫全集(講談社)第一期でも、同じく17作品全てが全1巻(BT-045)として収録されている。


執筆された17作品は、描かれた内容、舞台、登場人物など全てが異なっており、それぞれが独立した作品になっている。オクチン=奥野隆一という少年が複数の作品で登場しているが、それぞれ別作品の中のオクチンとは無関係な別の人物として描かれており、幾つかの作品では名前や人種も変わっている。連載時の謳い文句は『人間の心をテーマにした物語[3]』というものだったが、手塚は講談社全集のあとがきの中で、「連載開始当初は一貫したテーマも決めておらず、『ザ・クレーター』という表題にも別に意味は無いのです」「オクチンという少年を登場させたり、統一感を持たせようと苦心したものです」と述べている[4]。また、同書の同あとがきでは、「この『ザ・クレーター』は他の連作シリーズより出来の差が激しくなく、一応のレベルを保っていると思います」[4]とも述べている。

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【収録作品】


二つのドラマ 
1969年8月10日号掲載[5]。29ページ[6]。
スラム街に住むジムと、そのガールフレンドのナンシーは、貧窮した生活から抜け出したいと願っているものの、その方法を手にすることができずにいる毎日だった。ある日、道路でひったくりをしたジムは、逃げる途中でトラックにはねられて意識を失う。気がついた時、ジムは東京の資産家の息子である隆一という少年に変わっていた。その後、頭痛が起こるたびに身体が入れ替わるジムは、隆一となってシカゴの大学に留学した時、スラム街でナンシーと知り合い、隆一の財力でナンシーをスラムから連れ出そうとする。だがその時、もうひとりのジムが2人の前に出現した。


八角形の館 
1969年8月27日号掲載。29ページ。
進学するか漫画家になるか悩んでいた熊隆一の前に、不思議な老婆が現れ、コインを渡してその出目で将来を決めろと勧める。コインの出目は漫画家を示していたが、隆一は不安そうだった。それを見た老婆は、「もし漫画家でいることが嫌になったら、八角形の館に来い。そうすれば一度だけもうひとつの人生に変わることができる。ただし二度目は許されない」と言い残して消えた。漫画家になった隆一は多くの連載を抱える人気作家として成功したが、一度だけファンの好みを無視した作品を描き、それがきっかけで人気が落ちてしまう。漫画家に失望した隆一は八角形の館で人生を切り替えた。別の世界では隆一はボクサーになっていたが、ここでも意に添わない試合をする結果となり、ボクサーにも失望する。その時、隆一に破滅が訪れた。


溶けた男 
1969年9月10日号掲載。29ページ。
学生運動が行われているR大学で、佐藤栄作という科学者が、米軍から依頼を受けて死体を溶かす薬を研究していた。ある夜、その日の研究を終えて帰ろうとした佐藤は、見慣れない古ぼけた教室で、岡田四郎という学生と知り合う。岡田の様子が気になった佐藤は後日に調査し、岡田とその教室が現在は実在しないこと、第二次世界大戦時に実在して軍命令で人間の身体を溶かす能力を持つ薬を研究していたこと、その薬を軍に渡さない為、受け取りに来た軍人の目の前で自ら薬をかぶって骨だけになったこと、そしてその骨が骨格標本として、改装された教室に展示されていることを知った。佐藤はその出来事が、自分の研究に対する岡田のメッセージだと考え、研究の中止を決意する。だがその時、研究室に学生運動の集団が突入した。


風穴 
1969年9月17日号掲載。32ページ。新書版少年チャンピオン・コミックス未収録作品。
同居する2人のレーサーの話。そのうちのひとり(オクチンの顔だが、名前は書かれていない)が等身大のマネキン人形をマスコットにし、レースで車にまで乗せていた。もうひとりのレーサーである酒井はそれが気に食わず、日頃から人形を傷つけたり捨てようとしたりしていた。ある日遂に全面衝突し、富士山麓にある風穴で話し合ったものの決裂。酒井は無理やり人形を捨てたが、その後2人は風穴の出口を見失ってしまう。人形を捨てられたレーサーは絶望を口にするが、酒井はそれを詫びながらはげましつづけ、ようやく病院にたどりつく。翌朝、助けてくれた酒井に礼をいおうと病室から玄関に向かったレーサーだったが、そこに酒井の姿は無く、代わりに泥だらけで手足がバラバラになったマスコットのマネキン人形の残骸が散らばっていた。


墜落機 
1969年10月1日号掲載。31ページ。
架空の国。戦闘機のパイロットである奥野隆一は、空戦中に被弾し無人島に不時着した。1年以上かけてようやく島から脱出した奥野は、自分が軍の思惑によって「胸に被弾しながら最後の力を振り絞って敵軍の司令塔に突入した英雄」に祭り上げられていると告げられた。戦意高揚の収束と捏造の発覚を恐れた軍上層部は、再度出撃して英雄伝と同じ死に方をしろと奥野に命じた。奥野はそれを嫌がるが、あらかじめ胸を撃たれて無理やり戦闘機に搭乗させられる。だがそのダメージによって基地上空で意識を失い、味方の軍の司令塔に突入してしまう。


双頭の蛇 
1969年10月15日号掲載。30ページ。新書版少年チャンピオン・コミックス未収録作品。
1990年代。黒人と白人の比率がほぼ均等となっていたアメリカ。シカゴのギャングの帝王で双頭の蛇と呼ばれるキケロという白人の男がいた。キケロは黒人の実力者を次々と暗殺し、自分を裏切った部下も容赦なく殺す男だったが、一人息子のアーティは大切にしていた。まだ幼いアーティは父親の正体を知らなかったが、その友達で黒人のリュウがキケロに自分の父親を殺され、そのこととキケロの正体をアーティに知らせた。アーティは父親に絶望して家出し、それを知ったキケロは全力で息子を探すが見つけられずにいた。そして黒人の警察官に協力を約束し息子の捜索を願い出たが、キケロはそのことによって幹部から裏切り者とされてしまう。


三人の侵略者 
1969年11月5日号掲載。30ページ。
3人の宇宙人が、偵察目的で地球に降り立った。宇宙人たちは、その時発生していた脱獄囚の逃走事件を隠れ蓑にしようと、あらかじめ入手していたフィルムや本から得た知識に基づいて犯罪者の風体をまとい、ある3人家族の家に押し入ってそこを根城にしつつ、情報源として最適な人物を探し始めた。そのリーダーが、一人の漫画家を「一日中机に向かって図面を引いている優秀な学者」だと思い込んで部下とともに襲い、その脳を吸って知識を奪い取ったが、その途端、彼らは締め切りに追われる気分を感じる様になってしまう。一方、根城にしていた家の3人家族こそが、実は本物の脱獄囚であり、宇宙人の目の前で逮捕され連行されたが、彼らには締め切りが迫っており、それを気にする時間も無くなっていた。


鈴が鳴った 
1969年11月19日号掲載。30ページ。
山奥の温泉ホテルに、3人の客が別個に宿泊していた。3人は素性も経歴も異なるが、唯一、「鈴の音に対して恐怖を感じる体験」を有するという共通点を有していた。露天風呂でそれぞれ鈴の音を聞いた3人は、ホテルの主人にそれを訴えるが、いくら調べても何も出てこなかった。宿の主人は妻が飼っている猫を嫌っており、ある日遂に我慢できずに捕獲、ホテルの熱帯植物園で飼っていたニシキヘビの餌にしてしまった。だがその直後、ニシキヘビから鈴の音が聞こえ始めた。


雪野郎 
1969年12月3日号掲載。29ページ。
奥野隆一と佐々木は全日本スキー選手権で優勝を争うライバルであり、同時に友人でもあった。毎年、大会直前に旧知のロッジで落ち合い、お互いの腕を確かめ合うことを恒例としており、その年も2人で山奥にスキーに出かけた。しかし突如として濃霧が発生し、しかもその濃霧の中から一台のトラックが出現して2人を襲い始めた。逃げ惑う中、奥野は崖から転落し、雪の反射光で目を傷めてしまう。


オクチンの奇怪な体験 
1969年12月17日号掲載。30ページ。
新聞で、被爆症の少女が苦しんでいることを知ったオクチンは、名前も知らないその少女の治療代の為に自分で30万円を稼ごうと決意するが、少年の力では中々貯まらない。そんな時、ジョーダンという変わった身なりの男が現れ、死ぬ予定ではなかった北田悠子という少女が突然死んでしまったので、天国で受け入れるまで北田悠子の魂を預かってくれるようオクチンに依頼した。男の身体に男女2人分の魂を宿すことになったオクチンは悪戦苦闘しながらもなんとか1ヶ月を乗り切り、ジョーダンから報酬を受け取った。北田悠子の魂を見送ったオクチンは、喜び勇んで記事を載せた新聞社に出向いて寄付を申し出たが、その新聞社の人間は、その少女が1ヶ月以上前に突然死んでおり、名前は北田悠子だとオクチンに告げた。


巴の面 
1970年1月7日号掲載。27ページ。
長宗我部家に双子の娘がいた。妹の伏見姫は容姿は美しいが歪んだ性格を有している。逆に姉の巴姫は素直で優しい心と、美しいとは言えない容姿を有していた。2人は共に土佐の本條忠道を愛していたが、忠道は心の美しい巴を選び妻にした。ただしこれは忠道が極度の近眼であったことも作用していた。一方伏見はその本性を現し、巴を鬼女に仕立て上げる策略を巡らした。その策略に乗せられた忠道は刀を振るって巴を追い出そうするが、近眼ゆえ手元が狂い、巴の顔面を切り取る様にして殺してしまう。その直後、巴の顔は風に乗って実家に飛び、伏見の顔に張り付いた。巴の顔になった伏見はそのまま狂い死にし、巴の顔は恐ろしい面として後世に遺された。時は変わって現代、マンガ家の手塚は、巴の面と同じデザインでおもちゃのお面を作れと依頼され、巴の面の現物を押し付けられる。恐ろしい逸話を持つ巴の面と一晩過ごす羽目になった手塚は伏見姫と同じように巴の面に取り殺されてしまい、巴の面は行方知らずになった。さらに時が流れて21世紀、巴の面は或る古美術商の家に飾られていた。その時代、女性の美しさの基準は大きく変わってしまっており、古美術商は息子(オクチン)が付き合う女のあまりの顔の酷さにあきれかえるほどだった。そして古美術商とその息子のやりとりを前に、巴の面は笑うような音をたてながらドロドロに溶けて崩れ去ってしまったのだった。


大あたりの季節 
1970年1月21日号掲載。29ページ。
オクチンに幸運の連続が訪れた。中でも学校で一番美人のクミという少女と恋仲になったことは学校中で話題となり、密かにクミを好きだった番長の井戸井は、嫉妬も絡めてオクチンの運の良さの秘密を子分に探らせた。子分はオクチンを尾行するうちに、土管の中にある不思議な川を発見した。その報告を受けた井戸井は直接オクチンを締め上げ、川の秘密を白状させる。その川は時間を逆行することができる川で、オクチンはその川を使って何度も過去に戻り、失敗した出来事をやり直して成功に変えていた。クミへの告白も、実は数回ふられた後の成功だった。井戸井はさらに過去に戻ってオクチンより先にクミに告白しようとするが、オクチンもそれを阻止するために川に入った。2人の川泳ぎはいたちごっこになり、徐々に年単位の過去に戻っていくようになるが。


ブルンネンの謎 
1970年2月4日号掲載。29ページ。
P中学校の陸上競技部が、有名な正月明けの富士山一周マラソンを行った。みどりという名の美しい娘がいることで部員から人気があるブルンネンという街道際の喫茶店で小休止し、その後マラソンが再開されたが、もともと発熱して体調が悪かったオクチンがこの時倒れてしまった。しかし休むことは許されず、後からでも付いてくるよう命じられた。ひとりフラフラになりながらも少しずつ進んでいたオクチンの目の前に、またブルンネンが現れた。疑問を感じる気力も無くブルンネンに救いを求めたオクチンは、みどりが森にある湖の底から集めたコケで作った万能薬を与えられた。そしてブルンネンの主人である青年は、みどりが人間ではなく湖に住んでいたニンフであること、みどりの父親に黙って連れてきてしまったこと、そして今日、みどりがオクチンのための薬を作る苔を取りに行って父親に発見されてしまったことを告げた。


紫のベムたち 
1970年2月18日号掲載。29ページ。
紫色のベム型宇宙人が、地球の情報を手に入れようとしていた。彼らは山村に住むカン太郎という知能の低い少年を選んでおびき寄せ、情報を得る時だけ知能を飛躍的に高めて話をさせた。カン太郎が話していたのはおとぎ話である桃太郎だったが、宇宙人たちはそれを実際の戦争と勘違いして真剣に分析していた。カン太郎の兄である隆一はそれを知り、桃太郎の話を作り変えることによって宇宙人をうまく追っ払う方法を思いつく。


オクチンの大いなる怪盗
1970年3月4日号掲載。28ページ。新書版少年チャンピオン・コミックス「やけっぱちのマリア」第2巻収録。
担任の教師に反抗しているオクチンは、未来にも過去にも希望を感じていない少年だった。そのオクチンの前に泥棒と名乗る青年が現れ、「未来」を盗もうと誘う。青年は不思議なメガネをオクチンに渡し、そのメガネをかければ、普段は見えない人間の尻尾を見ることができると説明した。青年が言うには、人間の尻尾の中には「未来」が入っていて、幸運な人間の尻尾を奪って自分の尻尾に付け替えれば幸運になれるという。青年はスイスにいるジャクリーヌ・オナシスの尻尾を盗もうと言いだした。


生けにえ 
1970年3月18日号掲載。29ページ。
2000年前のメキシコ。マヤ帝国の祭壇では、チクワナという少女が神への生けにえとして首をはねられる直前にあった。チクワナは、死ぬ前にあと10年生きて結婚し、子供を作りたいと神に願った。神はその願いを聞き入れ、チクワナから記憶を消し去って現代の日本に転生させる。名前も何もかも忘れたチクワナはオクチンという少年と出会い、やがて結婚して普通の家庭生活を営むことになったが、記憶を失くしたはずの彼女が「首切り」や「生けにえ」に異常な反応を示すことを、周囲もチクワナ自身も不思議に感じていた。そして10年後、メキシコへの栄転をオクチンに聞かされたチクワナは記憶を取り戻し、生けにえにされた少女へ祈りを捧げることを彼に願うと、その場から消失した。愕然とするオクチンをよそに気が付いた時、チクワナは祭壇で首をはねられる直前に戻っていた。


クレーターの男
1970年4月1日号掲載。29ページ。
197X年、アポロ18号の乗組員であるウイリアム・フロスト・ウイリーは、月面のクレーターの1つであるアルフォンズス火口(英語版)へ調査に向かい、その付近で地球から時折観測される雲の正体を探ろうとしていたが、成果を得られぬまま帰途につこうとした際、崖から落ちて宙吊りになるという不幸に見舞われる。連絡手段も自力での脱出方法も絶たれたウイリアムは、酸素が尽きるとともに死亡した。やがて、ウイリアムの身体がミイラ化するほどの時間が過ぎた後、周囲で始まった火山活動によって発生したガスを浴びた彼は、死の眠りから揺り起こされた。ウイリアムはガスが衰えると死亡し、ガスを浴びると生き返るということを繰り返した果てに、月面を訪れた新たな宇宙船に遭遇する。宇宙船内で最初の死亡から130年が経過していることを知らされたウイリアムは、ガスを調査してくれと乗組員たちに訴えるが、彼らは世界を分断する戦争の最中にあり、それに必要なウラニウムを採掘するためだけに訪れていたため、ウイリアムの願いは叶わなかった。ガスの効果が切れかかってきたこともあってアルフォンズス火口へ戻っていくウイリアムをよそに、ウラニウムを積載した宇宙船は地球への帰途につく。それから数日後、天空に浮かぶ地球は核爆発の光に包まれる。それを眺めながら、ウイリアムは自分が最後の人間になってしまったことを自覚するのだった。



併録作品 


講談社手塚治虫漫画全集の『ザ・クレーター』第3巻には、同巻第5話として『ジャムボ』という短編が併録されている。『ジャムボ』の初出は旺文社が発行していた学習誌『中一時代』の1974年1月号で、『ザ・クレーター』のシリーズとは出自が異なるが、便宜的に本稿にて概略する。


ジャムボ 
『中一時代』1974年1月号掲載。31ページ。
航行中の旅客機の中で、乗客の一人が持ち込んだ大型の蜘蛛が逃げ出し、機内は大騒ぎになる。あるものは宝石の密輸が露見し、あるものは蜘蛛に怯えて恋人を見捨て、あるものは人種差別的な考えから無実の黒人を吊るし上げようとし、果ては乱闘のなか死人まで出す事態になる。姿の見えぬ毒蜘蛛に怯えつつ、人々は何とか蜘蛛を捕まえようとするのだが…。


【脚注】[ヘルプ]
1.『ザ・クレーター』連載当時は月2回刊行誌で、誌名は『少年チャンピオン』だった。『ザ・クレーター』の連載が終了した直後の1970年6月24日号から週刊化され、誌名も『週刊少年チャンピオン』に改称された。詳細は週刊少年チャンピオン#創刊期を参照のこと。
2.手塚治虫文庫全集版の解説(森晴路)より。
3.本作連載時の第一回作品冒頭部のナレーションより。文庫版解説に再掲載。
4. a b 手塚治虫漫画全集MT220『ザ・クレーター』p196 あとがきより。大意。
5.日付は講談社全集および手塚治虫文庫全集の掲載データより。
6.ページ数は講談社全集より。いずれも扉のページ(小題の表題ページ)を除く。
【Wikipedia】より

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手掛けたジャンルは、SF、歴史物、少女向け、4コマ、ピカレスクなどがある。 だが、熱血・スポ根物は好まず、これらを題材にした作品はまず無い。

戦時中に多くの死人を目にしたことなどから「生命の尊厳」 を作品のテーマとしていた。
昆虫マニアであり、中学生の時に作った細密な昆虫図も残っている。
自身のペンネーム「治虫」も、甲虫のオサムシから名付けたもの。虫の習性などを題材にした作品も描いている。
ただし、虫でも蜘蛛は大嫌い。子供の頃に蜘蛛の巣に突っ込んだら卵が破け、沢山の蜘蛛の子が体を這い回る地獄を経験をしたため。
キャラクターを役者のように使い、色々なキャラクターが、 別作品のモブや脇役として出演している。顕著なのが『ブラック・ジャック』)。 いきなりヒョウタンツギやスパイダー(おむかえでごんす)などの名物キャラが登場したり、 雰囲気ぶち壊しなギャグを挟んだりするが、これはこっ恥ずかしいラブシーンやシリアスな場面を描いてしまった時の息抜き・照れ隠しらしい。

神様だけあって、常識では考えられないようなエピソードを山ほど持っている。
幾つか挙げるだけで人外ぶりがまざまざとわかるほど。
?他人の漫画作品を見せてもらったとき「これなら僕にも描けるよ」といって 本当にそっくりの絵をその場で描いてみせた。
?揺れる列車や自動車の中で フリーハンドで直線を引く 。
?円を描くのに コンパスなど要らない。
?うろ覚えで描いた野球場のスケッチがライトの数に至るまで 写真で取ったかのように全くいっしょ という記憶力。
?別々の漫画を1ページづつ並行して描いて締め切りに間に合わせた。

漫画家としての40余年間で描いた漫画は全604作700タイトル以上、原稿の枚数は非公式だが15万枚とも言われる。
こち亀が160巻で3万弱ということを考えると凄まじい量である。
この膨大な作品数はいつもギャラは二の次三の次で限界まで、というか限界以上に仕事を引き受けていたためで、 「漫画を描くなと言われたら死ぬと同じ」
「アイデアはバーゲンセールできるくらいあるんだ」 と後年語っていたくらいであり、しゃにむに漫画を描き続けた。
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2017年07月28日

ロベール・アンリコ(Robert Enrico, 1931年4月13日 - 2001年2月23日)

フランス・パ=ド=カレー県出身の映画監督・脚本家。トゥーロンやパリで学んだ後、パリのIDHECで映画監督・編集を学んだ。1963年の『美しき人生』でジャン・ヴィゴ賞を、1975年の『追想』でセザール賞作品賞を受賞している。

https://youtu.be/2W_K_Gmk9tY


監督作品

ふくろうの河 La Rivière du hibou (1962)

美しき人生 La Belle vie (1963)

冒険者たち -Les Aventuriers (1967)

若草の萌えるころ Tante Zita (1968)

オー! Ho! (1968)

ラムの大通り Boulevard du rhum (1971)

暗殺の詩/知りすぎた男どもは、抹殺せよ Le Secret (1974)

追想 Le Vieux fusil (1975)

二つの影の底に Pile ou face (1980)

愛する者の名において Au nom de tous les miens (1983)

夏に抱かれて De guerre lasse (1987)

サン=テグジュペリ/星空への帰還 Saint-Exupéry: La dernière mission (1996)

【Wikipedia】より



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『ふくろうの河』(仏: La Riviere du hibou)1961年制作のフランス映画。

1963年アカデミー賞短編実写賞、1962年カンヌ国際映画祭パルム・ドール(短編)を受賞。オリジナルは3部作で構成されているが、『ふくろうの河』は3部(白黒、28分)。

ロベール・アンリコ監督は、アメリカ合衆国の作家アンブローズ・ビアスの、南北戦争下の兵士と市民を描いた短編小説集『生のさなかにも』から3つの短編をそれぞれ短編映画とした。第3部『ふくろうの河』は「アウル・クリーク橋の一事件」を映画化した。


【あらすじ】
南北戦争中のアラバマ州のアウル・クリーク鉄橋で、農場主ペイトン・ファーカーが、南軍に味方して鉄橋を破壊しようとしたスパイ容疑で絞首刑にされようとしていた。彼は残してきた農場や妻子のことを思いながら、もう一度家に戻れたらと思いを巡らせる。絞首刑が執行されたが、首を吊るす縄が途中で切れたためファーカーは川に落ち、そのまま逃げ出した。銃弾をかいくぐって川を泳ぎ、野山を走り、かろうじて逃げおおせたファーカーは、死に直面する前には思いもしなかったほど樹にも草にも鮮烈な印象を受ける。森の道をたどったファーカーはやがて一軒の家にたどり着く。そこは妻と子供が暮らす自分の家であった。

ファーカーが我が家に駆け寄り、妻を抱きしめようとした瞬間、強い衝撃と共にファーカーの体がアウル・クリーク鉄橋からぶら下がった。すべては処刑の瞬間に彼の強い願望が見せた幻覚だったのだ。


1891年刊行のアメリカの作家アンブローズ・ビアス Ambrose Gwinnett Bierce (1842‐1914?)の短篇集『いのちの半ばに』(In the Midst of Life)から7篇を収めています(『いのちの半ばに』 '55年/岩波文庫)。
ビアスはエドガー・アラン・ポーの後継者とも言われた作家で(没年が不詳なのは、1913年の年末に知友に宛てた手紙を最後に失踪したため)、本書にあるのは、〈死の間際〉にある人間の極限や神秘をミステリアスに、或いはその過程や結末を悲劇的または皮肉的に描いたものが殆どです。

アンブローズ・ビアス作『アウル・クリーク橋でのできごと』の全文訳


Ambrose Bierce
「アウル・クリーク橋の一事件」は、まさに今死刑を執行されようとする男が体験したことの話で、これは一般に「メリーゴーランド現象現象」「走馬燈現象」「パノラマ視現象」などの名で呼ばれているものでしょうか。
原作もいいけれど、「冒険者たち」の監督ロベール・アンリコによる本作の映画化作品「ふくろうの河」(La Riviere du Hibou/'61年/仏)も良くて、逃走する主人公の息づかいが聞こえる緊張感に、モノクロならではの瑞々しさが加わった傑作短篇映画となっています。

セリフも音楽もほとんど無く、アテネフランセで英字幕版で久しぶりに観ましたが、充分堪能することができました(1962年カンヌ国際映画祭パルム・ドール賞(短編部門)、1963年アカデミー賞短編実写賞受賞作。あの淀川長治氏のお薦め作品でもあった)。
An Occurence at Owl Creek Bridge ( La riviere du hibou)
「アウル・クリーク橋の一事件」もそうですが、結末の一文で読者を唸らせる意外性にエンタテインメントとしての完成度の高さを感じ、「生死不明の男」「人間と蛇」「ふさがれた窓」などは本当にその一文(1行)で決まりという感じです。「生死不明の男」のタイム・パラドックスもいいけれど、特に、「ふさがれた窓」のラスト一文は、強くぞっとするイメージを湧かせるものでした。
ビアスを日本に紹介したのは、彼を短篇小説の名手と絶賛していた芥川龍之介だったそうですが、『侏儒の言葉』などには『悪魔の辞典』のアフォリズムの影響も見られるし、ビアス作品全体に漂うアイロニカルな死のムードも、彼には結構身近に感じられ(?)惹かれたのではないかと思います。

その他にも、筒井康隆氏が『短篇小説講義』('90年/岩波新書)の中で「アウル・クリーク橋の一事件」を取り上げているし、『乱歩の選んだベスト・ホラー』('00年/ちくま文庫)という本では「ふさがれた窓」が紹介されています。
「ふくろうの河」●原題:LA RIVIERE DU HIBOU●制作年:1961年●制作国:フランス●監督・脚本:ロベール・アンリコ●撮影:ジャン・ボフェティ●音楽:アンリ・ラノエ●原作:アンブローズ・ビアス「アウル・クリーク橋の一事件」●時間:95分(第3部「ふくろうの河」23分)●出演:ロジェ・ジャッケ/アン・コネリー/サミー・フレイ●日本公開:1963/09●配給:東和

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2017年07月27日

藪の中、竹藪の上

「藪の中」芥川龍之介の短編小説。

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複数の視点から同一の事象を描く内的多元焦点化の手法がとられ、殺人と強姦事件をめぐって4人の目撃者と3人の当事者が告白証言として語られる。

それぞれが矛盾して錯綜して、真相をとらえることが著しく困難になるよう構造されている。未完結な印象から、証言の食い違いなど真相が不分明になるのを称して「藪の中」といわれる。

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野党委員から指摘があったように昨年8〜9月にかけて加計理事長は農水大臣、特区大臣、文科大臣に次々に面会陳情。通常陳情は自治体の長が大挙して押しかけても副大臣以下の対応が基本。大臣が会うのは「よほどの場合」だけ。つまり一私学代表への対応としては異様で、総理の意向がなければ無理な話。



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2017年07月26日

NHKスペシャル「AIに聞いてみたどうすんのよ!?ニッポン」が注目

7月22日に放送されたNHKスペシャル「AIに聞いてみたどうすんのよ!?ニッポン」が注目を集めている。
 NHKでマツコ・デラックスが初MCを務めた同番組のテーマは「AI(人工知能)に聞く日本の閉塞感を打破する手がかり」。2020年まで全7回にわたり放送が予定され、今回は「プロローグ」となる。


 NHKが開発したというAIが導き出した「40代ひとり暮らしが日本を滅ぼす」「健康になりたければ病院を減らせ」といった一見、荒唐無稽とも思える提言を紹介。
「どのような根拠に基づいてAIが判断したのか?」を解説するスリリングな教養番組となった。
 そんな同番組に関して、NHK局内での評判は意外なことに散々だという。
「局としての意気込みは去年の『新・映像の世紀』以上だったにもかかわらず『やらかしてしまった』と激震が走っているんですよ」と同局関係者。

「多くの視聴者から指摘の声が届いているのですが『相関関係』と『因果関係』を完全に取り違えた構成になっていました。番組で扱われた問題で言えば、決してAIが『健康になりたければ病院を減らせ』と提言したわけではないということです。単に『住民の健康指数が高い地域は病院が少なかった』という発見があっただけなのに『健康になりたければ病院を減らせ』と言いきるのは、AIでなく番組側によるミスリーディング。これでは『AIの提言に耳を傾ける』のではなく単にAIの立場を借りて無茶苦茶言っているだけの印象を視聴者に与えてしまう。文系の私でさえ見ていて『ヤバい』と思いました。『第7回まで持たないんじゃないか』といった声まで飛び出す始末ですよ」

 NHK内で「どうすんのよ!?」の声が続出しているのであった。
posted by koinu at 21:03| 東京 ☁| テレビ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年07月25日

李下に冠を正さず

李下に冠を正さず

【読み】りかにかんむりをたださず

【意味】李下に冠を正さずとは、誤解を招くような行動はすべきではないといういましめ。

【李下に冠を正さずの解説】

【注釈】スモモ(李)の木の下で曲がった冠をかぶり直すと、スモモの実を盗んでいるのではないかと誤解を招く恐れがあることから。

「正さず」は「整さず」とも書く。

【出典】『古楽府』君子行

【類義】瓜田に履を納れず/瓜田李下/李下の冠瓜田の履


【英語】He that will do no ill, must do nothing that belongs thereto.(悪事をすまいと思う者は、悪事と思われることをしてはならない)

【用例】「あの業者の接待を受けるのは遠慮したほうがいいだろう。李下に冠を正さずだ」


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『瓜田(かでん)に履(くつ)を納れず、李下(りか)に冠を整さず』
―瓜田不納覆、李下不整冠―


<文選>

「疑わしきは罰せず」は法律の世界だが、個人のモラルとしては、「疑わしきは為さず」ぐらいの心構えが必要なのかもしれない。それを語っているのが、このことばである。

「瓜畑(うりばたけ)では靴をはきかえてはならない。李の木の下では、手を上げて冠を直してはならない」というのだ。なぜなら、そんなことをすれば、瓜や李を盗み取ろうとしたのではないかと疑われるからである。

誰しも、人から疑われるのは気持ちのよいことではない。なかには、濡れ衣を着せられて、腹立たしい思いをした人も、たくさんいるにちがいない。

だが、人から疑われる原因を自らつくっているケースもあるように思う。たとえば、不注意な言動とふしだらな行為などは、人の疑いを招きやすい。それを避けるためには、ふだんから厳しく自分を律する必要がある。


加計の計画認識時期 首相、過去の答弁修正 「急な質問で混同」【東京新聞 】より

https://www.google.co.jp/amp/amp.tokyo-np.co.jp/s/article/2017072590135941.html

posted by koinu at 10:35| 東京 ☀| 本棚 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「忖度まんじゅう」注文殺到 関西限定

白い皮に「忖度(そんたく)」と刻印された「忖度まんじゅう」(9個入り、税抜き680円)が人気。 

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箱の包みには「人の心をおしはかること」という意味や例文も。


大阪市福島区の企画会社「ヘソプロダクション」が商品化。上司や取引先、親戚などに土産物として渡し、談笑のきっかけにして欲しいと企画。

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最近で本来の意味から離れ、マイナスイメージに捉えられがちな言葉だが、注文は殺到。関西限定販売ながら「他の地域の意向も忖度させて頂きたい」とのことだ。 


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株式会社「ヘソプロダクション」

「やりたいこと」で世界を切り開くヘソ集団「種も仕掛けもある」雑・菓企業

弊社は雑貨だけでなく、雑貨と菓子の融合企画会社=「雑・菓」企業として歩み始めます。

https://www.heso-pro.com/


posted by koinu at 04:30| 東京 ☀| ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年07月24日

内閣支持率39%に続落 「政権におごり」65%

日本経済新聞社とテレビ東京による21〜23日の世論調査で、安倍晋三内閣の支持率は39%となり、6月の前回調査から10ポイント下がった。不支持率は10ポイント上がって、2012年12月の第2次安倍政権発足以降で最高の52%となり、支持率と逆転した。
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学校法人「加計学園」の獣医学部新設計画や、南スーダン国連平和維持活動(PKO)の日報問題が影響したとみられる。第2次政権以降のこれまでの内閣支持率の最低は安全保障関連法が衆院を通過した15年7月の38%。安倍政権が安保法以来の厳しい局面に入ったことを示す。内閣支持率の前月からの下落幅は、15年6〜7月の9ポイントを上回って最大だった。

第2次安倍政権が発足してからすでに4年半以上が経過しており、政権に「おごりがある」とする回答は65%に上った。「おごりがあるとは思わない」は25%だった。
政党支持率は自民党が35%と前回から5ポイント下がった。民進党は2ポイント低下の6%で、民進党が発足した昨年3月以降では最低となった。無党派層は41%と9ポイント上昇した。
調査は日経リサーチが21〜23日に全国の18歳以上の男女に携帯電話も含めて乱数番号(RDD方式)による電話で実施。1069件の回答を得た。回答率は48.6%。
日本経済新聞 2017/7/23


毎日新聞は22、23両日、全国世論調査を実施した。安倍内閣の支持率は26%で、6月の前回調査から10ポイント減。不支持率は12ポイント増の56%だった。支持率が20%台になったのは2012年12月の第2次安倍内閣発足後、初めて。安倍晋三首相の自民党総裁任期が来年9月に終わることを踏まえ、「代わった方がよい」との回答は62%(3月調査は41%)で、3期目も「総裁を続けた方がよい」の23%(同45%)を大きく上回った。首相の政権運営は厳しさを増している。(3面にクローズアップ)
毎日新聞2017年7月24日 東京朝刊




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2017年07月23日

リンキン・パーク、ONE OK ROCKも出演予定北米ツアーがキャンセル

現地時間7月20日にChester Bennington(Vo)が亡くなったLINKIN PARK。ONE OK ROCK は、現地時間7月27日のマサチューセッツ公演から8月5日のコネチカット公演までの全4公演に出演する予定だった。

両バンドはかねてから交流があり、5月放送されたリンキン・パークの特別番組ではチェスター・ベニントン、マイク・シノダとTakaが対談。リンキン・パークの来日秋公演ではONE OK ROCKがゲストアクトも決定していた。

Taka「悲しすぎて。もう空っぽです。まだ信じられない。もうすぐ会えると思ってたのに。彼は僕らがバンドをやる理由を作ってくれた人。残念でたまらない」と沈痛のコメント。「彼の家族!メンバー!彼に関わる全ての人々に愛を送ります!そして心からご冥福をお祈りします」とメッセージを添えた。



ONE OK ROCK は元NEWSメンバー森内貴寛が、ボーカルを務めているロックバンド。


posted by koinu at 15:00| 東京 ☀| 観測 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年07月22日

映画『ボンジュール、アン』

単なる車の移動だったのに!
フランシス・フォード・コッポラ監督の妻であり、『ハート・オブ・ダークネス/コッポラの黙示録』などを手掛けてきたエレノア・コッポラ監督作。
人生の岐路に立つ女性が旅を通して自らを見つめ直し、新たな喜びや幸せを見いだすさまを描く。



『運命の女』などのダイアン・レインと『恋するベーカリー』などのアレック・ボールドウィンが妻と夫にふんし、監督としても活躍するアルノー・ヴィアールが夫の仕事仲間を演じる。


映画『ボンジュール、アン』
配給: 東北新社 配給: STAR CHANNEL MOVIES
posted by koinu at 13:20| 東京 ☀| 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

『ファウンダー ハンバーガー 帝国のヒミツ』♥‿♥ Love

世界最強のハンバーガー帝国を創った男、 レイ・クロック。


マクドナルドの物語を通して、この映画は、アメリカ社会を批評しています。アメリカは、大きな家と大きな車に象徴される豊かな国、さらに身分、所得、人種や宗教を問わず、豊かな生活を実現する機会を手にすることのできる自由の国であるとともに、市場経済では自由競争を、そして弱肉強食を認める国でもある。アメリカの持つその天使と悪魔の二重性を、マイケル・キートンという善悪の彼岸にある俳優が文字通り体現した作品。アメリカを考える手がかりとして、ぜひご覧ください。(東京大教授・藤原帰一)


『ファウンダー  ハンバーガー 帝国のヒミツ』
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2017年07月21日

リンキン・パーク『感覚を失くす』

2000年代の音楽に革命を起こしたリンキン・パーク。7月20日ボーカリストのチェスター・ベニントンが自宅で死亡しているのが発見。彼の亡き親友クリス・コーネルの誕生日が7月20日なのだった。

Linkin Park
Numb『感覚を失くしていく』


I'm tired of being what you want me to be


お前が望む俺でいるのはもううんざりだ
Feeling so faithless, lost under the surface
本当のところ 信じられなくなってるんだ
I don't know what you're expecting of me
俺に何を期待してるかなんて知ったことじゃない
Put under the pressure of walking in your shoes
お前でいるプレッシャーに押しつぶされてるんだ


(Caught in the undertow just caught in the undertow)
(心の声を聴け ただ心の声を聴くんだ)
Every step that I take is another mistake to you
俺のしてきたことは全部 お前にとっちゃ過ちなんだ
(Caught in the undertow just caught in the undertow)
(心の声を聴け ただ心の声を聴くんだ)


I've become so numb I can't feel you there
何も感じなくなっていく お前がそこにいることすら
Become so tired so much more aware
もうどうだってよくなっていく
I'm becoming this all I want to do
俺は俺のやりたいようにやる
Is be more like me and be less like you
それは俺らしく そしてお前とは違う


Can't you see that you're smothering me?
俺の息苦しさがわからないか?
Holding too tightly, afraid to lose control
きつく締め上げられて 自分を失うのを恐れてる
Cause everything that you thought I would be
お前が俺だと思っていたものは
Has fallen apart right in front of you
目の前でバラバラになってるさ


(Caught in the undertow just caught in the undertow)
(心の声を聴け ただ心の声を聴くんだ)
Every step that I take is another mistake to you
俺のしてきたことは全部 お前にとっちゃ過ちなんだ
(Caught in the undertow just caught in the undertow)
(心の声を聴け ただ心の声を聴くんだ)
And every second I waste is more than I can take
いつだって得るものよりも 失くすほうが多いんだ


I've become so numb I can't feel you there
Become so tired so much more aware
I'm becoming this all I want to do
Is be more like me and be less like you


And I know I may end up failing too
わかってる 俺は失敗に終わるんだろう
But I know you were just like me
だがお前もそうだった
With someone disappointed in you
誰かの失望と一緒に


I've become so numb I can't feel you there
Become so tired so much more aware
I'm becoming this all I want to do
Is be more like me and be less like you
I've become so numb I can't feel you there

I'm tired of being what you want me to be
I've become so numb I can't feel you there
I'm tired of being what you want me to be


合掌。
posted by koinu at 15:30| 東京 ☀| 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

Linkin Parkのチェスター・ベニントン(Chester Bennington)自宅で死亡


【AFP=時事】人気ハードロックバンド、リンキン・パーク(Linkin Park)のボーカル、チェスター・ベニントン(Chester Bennington)さん(41)が20日、自宅で死亡しているのが見つかった。自殺とみられる。(AFP=時事)
合掌。




Linkin Park - One More Light (2017)
 Track List: 1. Nobody Can Save Me 2. Good Goodbye (feat. Pusha T & Stormzy) 3. Talking to Myself 4. Battle Symphony 5. Invisible 6. Heavy (feat. Kiiara) (had to be deleted due to copyright) 7. Sorry for Now 8. Halfway Right 9. One More Light 10. Sharp Edges




posted by koinu at 09:10| 東京 ☀| 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年07月20日

リドリースコット指揮する『高い城の男』

ハリウッドで活躍する俳優・尾崎英二郎が、「高い城の男」シーズン3に準レギュラー出演。「物語もただ単に、ドイツや日本がアメリカの『敵』として描かれているような勧善懲悪の話では決してなく、一触即発の危機の中で、様々な人物たちが懸命に生きていて、人間味も実に豊かに描かれているため、どの国のどの立場の人間にも感情移入ができるようなストーリーが、巧みなバランスで構築されています」


リドリースコット指揮する『高い城の男』も、製作陣が思い切った『多様性あるキャスト構成』を打ち出している番組。米国内でアジア系俳優たちが、これだけ多く出演する群像劇は珍しいし、描かれ方にも深みがある。



posted by koinu at 09:00| 東京 ☀| ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする